11月7日
○米国の大統領選挙は現職のオバマ氏の勝利に終わった。米国の大統領選挙は膨大な資金と長時間をかけて行われる。米国民にとっては4年に1度の政治的ショー、お祭り騒ぎらしい。日本人にはなかなか理解できないことだが、選挙戦の最中には激しいネガティーブ・キャンペーンが行われ、相手候補の欠点や裏面が暴きたてられる。選挙が終わるとケロリとして相手を讃え合うのも何だか芝居じみて滑稽に感じることがあるが、米国人の気質なのだろう。それにしてもテレビ討論なども激しいもので、それで国民の評価を問うのだから、さすがに日ごろからディスカッションやディベートで弁論力を鍛えている国だけのことはある。日本の与野党党首討論などとは規模も質も違うようだ。
しかし大統領選挙のやり方は選挙のたびに新聞などで解説されるが、どうもよく分からない。州ごとに選挙民は候補者のどちらかを支援する「選挙人」に投票し、多数を取った方が、その州全体の候補者の獲得選挙人の数となる。ここのところがどういう歴史的背景があるのかさっぱり分からない。選挙人を選ぶのなら直接候補者に投票した方が簡単だと思うのだが、そうはいかない事情があるのだろうか。
再選された大統領は次の選挙には出られないから、再選後の4年間は「レイム・ダック」と言われて、政策に生彩を欠くのが通例だそうだが、さてオバマ氏の場合はどうなるか。
11月8日
○新設大学の不認可の問題で騒ぎを起こした田中文科相は一転して認可することになった。不認可を言ってからわずか5日の変身だ。その間でもつじつまの合わない発言をしていた。実際わけの分からない人物だ。大臣たる者もっと自分のことばに責任を持つべきだが、最近の粗製乱造のような大臣が多いと無理な注文かも知れない。そもそもこういう喧騒で唯我独尊的な人物を大臣に任命した野田首相の見識が問題だ。ともあれ、振り回された3大学は何とか来春開学ができるので一安心というところだろう。 田中文科相は問題になった3大学について、「今回(の騒動が)逆にいい宣伝になって4、5年間はブームになるかもしれない」などと語ったそうだが、軽率で懲りもしない口だ。
○新聞などの写真につけてあるコメントは作った者の主観が表われていて面白い。これは7日の衆議院文部科学委員会での質疑の最中の田中文科相の姿だが、『毎日』紙は「疲れた様子の」とあり、『産経』のネット版では「ふんぞりかえって事務方から書類を受け取る」としている。どちらとも取れるが、我々も報道写真を見るときには自分の主観に左右されて、見たり、解釈したりするのだろう。私は疲れたように見えたが、いずれにしてもこの文科相の恰好はあまり行儀の良いものではない。委員会の答弁に立つ大臣が、こんな恰好をしても咎められないのだろうか。