日本維新の会の橋下徹代表代行は20日、記者団に企業・団体献金の全面禁止を撤回する方針を示し、「旧太陽の党と合流する時に現職の国会議員について(禁止すること)は難しかった」と釈明しました。
橋下氏は9月に維新の会の政策公約として、企業・団体献金の全面禁止を党内にある反対を押し切って打ち出しましたが、それに関して「維新の会の特徴の一つ。絶対に自民党や民主党ではできない。今までの政治と決別するという意味で譲れない線だ」と豪語し、党規約にも明記して、賛同しない議員の維新加入を認めない考えを示していました。それが太陽の党との合流協議で、旧太陽の党の園田博之前衆院議員が「法制度ができるまでは一定の上限を定めることが限界だ」と全面禁止に難色を示し、維新側がそれを受け入れました。「賛同しない議員の維新加入を認めない考え」はどうなったのでしょうか。今後、全面禁止を定めた党規約を改正し、献金の上限額や受領できる期間を定めるとのことです。
「今までの政治と決別するという意味で譲れない線だ」と言っていたのに、太陽の党との合流を優先して引っ込めましたが、「企業・団体献金の禁止」は大阪維新の会の公約とも言うべきマニフェスト(俗称「維新八策」)にも挙げられていたもので、日本維新の会も当然受け継ぐものでしょう。大々的に売り込んでおきながら、太陽の党との合流を理由に引っ込めるようでは、マニフェスト違反と批判、非難されている民主党を嗤えません。勇ましいことを言っていても旧勢力の壁に当たるとあっさり変えてしまいました。橋下代表代行は「当初の維新の会からすれば、若干修正した形だが、上限の枠は、はめるので、他の党に比べれば一歩前進だ」と述べています。「若干の修正」とは相変わらずの強弁ですが、これからいろいろ批判されても、例によってあれこれ言い抜けるのでしょう。
あるツイッターには「橋下氏は太陽の党との合流に対する『政策抜きの野合』との批判に対し、『政治に一番必要なのは政策を語ることではない』『政治に一番重要なのは実行することだ』と述べた」とツイーとされています。政治家は自己の政策を有権者に示し、それを実行することが大切なのですが、橋下氏はどうやらそういう考えではないようです。ある女性のツイッターでは「本来は自分達の掲げた政策を成し遂げることが政治家・政党の目的であるはずなのに、橋下徹にとって政策なんてものは天下を取るための道具に過ぎない。だから原発問題でも企業献金でも『その時に大衆受けすること』を口からペラペラと垂れ流しておき、状況が変われば躊躇なく撤回する」と痛烈に批判されています。
橋下氏は確かに頭の良い政治家で弁も立ちます。本人に言わせるとケンカも強いそうです。そういうことでかなり自信過剰になっているのではないでしょうか。おそらく彼にとっては有権者などというものは自分の口先で丸めこむことができる愚衆のように見えているのではないかという気がします。それでも少なからぬ有権者がこれまでの政治家とは違って彼は何かをやってくれるという期待、幻想を抱くのはなぜかと不思議です。政治家や政党の真贋を見抜くための目を有権者は心して磨かなければとつくづく思います。