長楽寺の散り椿(ちりつばき)

2013年03月07日 | ふるさとの話
(長楽寺の駐車場には山茶花の花が満開です。地面に花弁がひらひらと)

天気がよろしいな~、「アトムの特選品カタログ」を持って一軒一軒訪ねます。
道行く家々の庭先や垣根に、山茶花の花が満開ですね。真っ赤に開いた花はひらりひらりと花弁を落とし、地面を真っ赤に染めてます。
長楽寺の駐車場に車を止めて、お寺に届けに参ろうか、お寺はずっとずっと山の中、ちょっと高いよ急な坂、時間が無いです用事が多く、今月は郵便受けにて失礼します。

駐車場の隅っこに、背丈が3,4メートルくらいの、ちょっと小振りな山茶花の木、今が盛りの満開ですね。
幹の根っこの地面には、花弁が一面に散って赤いじゅうたんを敷き詰めてます。
よく見ると、椿のように花が丸ごとコロリと落ちたりしません。山茶花の花は花弁一枚一枚一面に散って落ちてます。
山の斜面には椿の木もあります。椿の花はまだ蕾(つぼみ)は真ん丸固い、あったか陽気に誘われて今に蕾は開きそうです。

長楽寺は、国府で一番古いお寺、真言宗の本山であります高野山よりも、100年ほど古くって創建1300年といわれます。
長楽寺の境内にあります「散り椿」は、とても有名でして全国からの旅人が見物に訪れますね。
今がちょうど満開の盛り、散り椿にふさわしく大木の幹の周囲は、赤いじゅうたんを敷き詰めたようになっています。
と書きましたが、実は数年前から椿の大木は、ちょっと弱ってきまして椿の花もとても少なくなっています。
ここ数年にわたって、樹勢回復の手立てをやっています。そのうち又、今までと同じような元気な姿になって、真っ赤な花びらを境内一面に散らしてくれる事でしょう。

「国府ものがたり」に載っています。「長楽寺の散り椿」のさわりの文を、ちょっと拝借しましてそのまま紹介します。

《長楽寺には一つの天然記念物と二つの有形文化財があります。
天然記念物は有名な散り椿である。昭和53年に兵庫県の天然記念物に指定された。この椿は根まわり1.9メートル、樹高約7メートル、枝張りは東西約11メートル、南北約9メートル、推定樹齢500年とされている。
花期は3月中ごろから4月末で、花弁数約20枚の白い斑の入る深紅の花色である。椿の花が散るときは、一重であれ八重であれ一花全体がまとまって落ちるのが一般的である。
ところが、散り椿は山茶花のように、花弁が一枚一枚散り落ちる。このことから散り椿と呼ばれ、全国的に多くは存在しない珍しい椿である。しかも、長楽寺の散り椿ほどの偉容を誇るものは稀であり、天然記念物に指定されている。
花期になると、樹下に一面に散った花弁で、まさに赤い絨毯を敷いたような光景を呈する。

有形文化財の一つは茶湯釜である。
千利休専属の釜師与治郎の作であるが、いつごろ、どのような由来で長楽寺に招来されたものか分からない。資料的にも貴重で、美術品としての価値も高く、昭和45年に日高町(現豊岡市)有形文化財に指定された。

もう一つは本堂の薬師堂である。
この薬師堂は先に述べたように、築造(再営)は寛政3年(1791年)であり、日高町内でも数少ない江戸時代の建築物である。多くの彫刻が施されている優れて建築で、昭和53年に日高町(現豊岡市)有形文化財に指定された。》

《散り椿 ひらひら花弁 樹下を染め》