嬉(うれ)しさは 92のじいちゃん わしの歳 精神年齢 78と言うとき
Tさんちのじいちゃんは、実に元気です。
体も気持ちも、シャキッとしています。
炊飯器の配達に伺いました。
『こんにちわ~、Tさんこんにちわ~』、
『お持ちしましたよ、上等の炊飯器。ご注文の炊飯器をお持ちしましたよ』と、大きな声かけ入ります。
小柄ですが、シャキッとされていますTさんは、確か耳が少し聞こえが悪いはずなのに、
小さなチャイムの音でも聞こえたのでしょうか、サササッと小走りに玄関の方に出てこられます。
Tさんちは、
愛想の良いばあちゃんとの二人暮らしです。
元は校長先生をされていたTさんは、言うこと為すことキッチリしています。
そのうえ、頓智とユーモア備えた、
とっても素敵なお方です。
「アトムさんから買ってた炊飯器、時計が狂って予約ができないの」、
『どうしましたか、時刻合わせができないのでしょうか?』、
「いや、確か買って3年になるけど、時計が4分かな遅れてるのだよ」、
『あらら、時計の合わせ方簡単ですよ。あのね、この分のボタン押してね、一分ずつ進むでしょ』、
『何よ、これだけで新しいのお買いになるのでしょうか?』、
奥さん傍からおっしゃる、
「いえ、良いのです。炊飯器はご飯が残っている時のかえしたに、もう一台ほしかったのよ」とニコニコ笑顔で話します。
『お元気そうですね。Tさんはおいくつになられましたの、
シャキッと頭も冴えてますね、背筋も伸びてますね』と尋ねると、
奥さんは、
「7月18日で92歳になります」と間髪入れずに答えます。
Tさんは耳がほとんど聞こえていない筈なのに、
「ワシの生活年齢は92歳です。7月で92になります。但し、但しだ、精神年齢は78歳なんです」、
「ずっと何年たっても、シャキッと78歳のまんま、
わしゃ精神年齢78だっちゃ」と笑って答えて話します。