鑑真像です。
いわきヒュ―マンカレッジ 第2回講座
仏法による国作りと国際化
・・・鑑真伝の「東征伝」を読む・・・
講師は田嶋一夫先生(いわき明星大学教授)
1) 古都奈良の文化財の形成
① 日本の国際的基準化
・・・中国に倣う律令制度(律は刑罰・令は行政法)・・・
この時代、
日本という国が基準化を目指して中国の律令制度を倣って
行政法に基づいて刑罰を行う制度を作った。
そして、
全国的に国・郡・里の地方制度と東海道、山陽道などの官道を作る。
② 精神的には、仏法による国作りを・・・
国分寺や東大寺建立、鑑真の招来など。
710年:平城京の遷都
741年:国分寺建立の詔
752年:東大寺大仏開眼供養
754年:鑑真入京
③ 遷都(794年平安京)による平城京の古都化
平城京跡は農地へ変貌
外京(周辺)は宗教、文化の都として変貌=南都の成立
→宗教的文化的聖域→南都の成長、宗教勢力としての一権力化
(12cには天皇と上皇、延暦寺と南都の3つの政治的権力として)
→治承寿永の乱による壊滅的な打撃へ
→文化遺産として残り、世界遺産へ(1998年)。
・・・法隆寺地域の仏教建造物は1993年世界遺産に登録。
2) 鑑真来日の意味・・・
なぜ、招かねばならなかったのだろうか?
☆日本側:日本仏教を国際標準に近づける意図が
…戒律を授ける(守る・守らせる「戒」)
仏教の三学・・・戒・定(瞑想)・慧(智慧)
大蔵経・・・・・経・律・論(戒律を記した律蔵・仏説を記した経蔵
・哲学的な議論を記した論蔵
☆鑑真側:日本における教団の布教、舎利3000粒の布教活動へ
3) 鑑真の伝記・・・どのように伝えられてきたのか
①「唐大和上東征伝」一巻・・・779年(宝亀十年二月、真人元開(淡海三船)著。
②「東征絵伝」5巻 絵巻 唐招提寺蔵・・・1298年(永仁六年)
鑑真和尚が日本に来朝し唐招提寺を建立するまでの行状記を
③「天平の甍」・・・井上靖著昭和32年12月(鑑真の渡日の意義を書いている
小説)・・・栄叡(えいよう)・普照(ふしょう)の視点から鑑真の渡日の意義を。
4) 鑑真伝を読む・・・5巻の絵巻の内容を紹介されました。(渡日の地図も紹介)
5) 鑑真はどう描かれているのか?
① 東征伝・・・仏法の為に不惜身命を貫こうとする鑑真像=わが身をかえりみない
② 東征絵伝 5巻・・・不惜身命に加えて義理、
なかんずく人情=より人間的な鑑真像を描いている。
田嶋先生は鑑真の伝記を読むことにより
すなわち、
このような歴史を考えることにより
21世紀にもう一度振り変えなければいけない
問題を含んでいるのではないかと!!
中国では日中友好の懸け橋として考えられている。
日本では日本の国際化=経済の自由貿易などの問題として考えられている。
このように
この当時の時代と今の時代が重なっているのではないかと。
そこに鑑真の伝記を読む意義があるのではないかと結ばれました。
田嶋先生
熱い講座をありがとうございました。