「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」のパンフレットです。
ラファエル前派からウィリアム・モリスへ
いわき市立美術館
・・・9月11日(土)~10月24日(日)
一昨日、配偶者と鑑賞してきました。
これらの画家や装飾美術家たちは日本でも人気がありますが、
そもそもラファエル前派とは何か?
パンフレットなどによりますと
産業革命によって急速に近代化を遂げた19C半ばのイギリスでは、
物質的な充足の一方で、
都市や労働の変化が起こり
(いわゆる産業革命による工場による大量生産や、かつての職人が労働者になり、労働の喜びや手仕事の美しさを失った時代
すなわち、マルクスが生きた時代と重なります。)
人びとが精神的な豊かさが失われていることに不安を覚え始めた時代でした。
こうした社会の不安に警鐘を鳴らしたのが、ラスキンで、
その思想に共鳴し、
形骸化した当時の芸術を憂い、芸術家と職人が分離しない、
「中世」にあこがれ、
人びとが日常の労働の中に創造のよろこびをみいだした
16Cイタリアのラファエロ以前の芸術
(初期のイタリアルネッサンス、フランドル絵画の自由な表現力)に
芸術の新たな未来を切り開こうとした運動でした。
その名前は、「ラファエル前派同盟」と名乗ったからといわれています。
・ウイリアム・ホルマン・ハント(1827~1910)
・ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829~1896)
・ダンテ・ゲブリエル・ロセッティ(1828~1882)の3人が中心でした。
そうした因習的な芸術への反抗の中でその影響を受けた
ウィリアム・モリス(1834~1896)
・・・いのしし君の好きな芸術家であり社会革命家でもありました。
エドワード・バーン=ジョーンズ(1833~1898)等に引き継がれると同時に
影響は日本まで広がり、
美術だけでなく文学やデザインに影響を与え、
現代のモダンアートまで与える基礎となったのではないか。
ウィリアム・モリスは、
アーツ・アンド・クラフツ運動(芸術と生活の融合)の中で、
モリス商会を作りインテリアの装飾やステンドグラスや
美しい書籍を作った。
また、アール・ヌーヴォーなどの基礎を作りました。
その流れを
今回のいわき市立美術館では、
展示数120点で紹介しています。
絵はもちろん装飾美術のステンドグラスの美しさ!!
書籍の美しさ!!
絨毯の素晴らしさ!!
にほれぼれしたひとときを過ごせました。
いのしし君が、
本などでも親しんでいました
ウィリアム・モリスの装飾品の壁紙・ステンドグラスや
美しい書籍の実物が見られて良かった。
絵画では何といっても
ロセッティには感動させられました。
ミレイの有名な「めざめ」にも感動しましたが・・・・・
資本主義の矛盾に目覚めた19C半ばの時代の彼らの芸術に対峙し
高度に発達した資本主義の最先端の私達が行きついた現在の社会。
すなわち情報化社会の現在
「ものと情報」に翻弄される社会。
そうした社会に生きる現在の私たちは、
彼らの芸術から、
何をくみ取らねばならないかを感じさせる展示会ともなりました。
会期中に再度観てみたいと思います。
今回の作家たちの中でウィリアム・モリスは
日本でもよく知られています。
詩人・装飾家・社会革命家として。
いのしし君も岩波文庫のモリスの「ユートピアだより(原書は1891年発行)」
・・・本文だけでP380の大作を
1973年10月4日ですから、
37年前に読んだことになっています。
この本を読んだということは、
夢が語れた時代だったのですね?
モリスが或る夜夢見た、
19世紀のイギリスの資本制と機械文明の害悪から完全に解放された
21Cの美しい理想社会が語られている本です。
すなわち、
芸術家ならびに社会革命家としての自己の理想を
ユートピア物語に書いた本といえます。
再度読み返して、
モリスの理想を感じたいと思います。