たなぞうより
人は何故山に登るのか?
そんなこと決まってるじゃない・・・・が、この山野井泰史に関しては当てはまらない。
私も彼に問いかけたい。
どうしてそんな苦しいつらい思いをしてまで、垂直の壁に向かうのか、と。
ましてや戦う相手は、壁だけではなく孤独との戦いも壮絶である。
壁にとりついているときはもちろん、天候の回復をひたすら待っているベースキャンプでもひとり、登頂を果たし頂上で喜び合うパートナーも、キャンプに戻っても祝福してくれる人もいない。
何をそこまで彼を駆り立てるのだろう。
ルポルタージュとも言える本書は、とにかくリアルすぎて、忠実すぎて、良いことも悪いことも一切の装飾のない言葉で、語られるので読んでいてとても疲れた。
山野井泰史。やはり「天国に一番近い男」である。
ソロ 単独登攀者 山野井泰史 / 丸山 直樹 著
★★★☆☆