ブクログより
深緑野分さんの「ベルリンは晴れているか」以来、ナチス政権関連の書籍に目が行く。(政権に対してではなく、その犠牲者ユダヤの人々について)
ドイツのテレジンに作られた収容所は、主に西ヨーロッパ諸国のユダヤ人たちをアウシュビッツに送り込む中継地として使われていました。
その中で、子供たちのための絵の教室が開かれました。
貴重な紙や筆記用具で、子供たちは様々な絵をかきました。
紙がなくなると大人たちは命がけで紙を集めてきました。
書類の紙、ごみ箱から拾ってきたしわくちゃの紙、箱のふた、子供たちはどんなものにでも描きました。
きれいな花、自由に飛び回る蝶、楽しかった家庭、優しいお母さん、書いている時だけ寂しさや悲しみや空腹を忘れられたのです。
それらの絵には、名前と生年月日とテレジンからどうなったかが記されています。
ほとんどの子供はアウシュビッツでその短い生涯を終えています。
わずかな生存者によってそれらは保存され、詳細が語り継がれています。
子供たちが絵の中に描いた、楽しかったこと幸せな出来事はほとんどが二度とかなわないままで終わってしまいました。
いつの戦争もどんな戦争も、子供が犠牲になるのが一番かなしい・・・
テレジン収容所の小さな画家たち詩人たち / 野村路子