清運寺だより

ようこそいらっしゃいました。甲府市にある日蓮宗寺院の住職のブログです。日々の出来事、感想、行事などをご紹介します。

見果てぬ夢~バイロイト音楽祭

2009-09-08 22:05:26 | クラシック

<どんな夢をみているんでしょう。>

先日、ミラノスカラ座のオペラ「アイーダ」を観に行った時のことです。

30分程度の休憩時間が2回あるのですが、その休憩時間での近くの席に座っていた方々3人の話でです。

 それぞれが別々に来た方々ですが、1人の男性が隣に座っていた女性に当日のキャスト変更のこととか、3階後ろの席だったので、やはりオーケストラの音が遠いとかの話をしていたのですが、そのうち、前に観に行ったオペラの話に移り、何とその男性は今年バイロイト音楽祭に行ったという話になりました。

 私も、え~うらやましいと聞き耳を立ててしまいましたが、もう一人話をしている女性の隣に座っていた女性も「うらやまし~い」と言って話に参加し始めました。

男性の話によると、毎年チケットを申し込んで12年目にやっとチケットを手にすることができたそうです。

しかも7演目全部の。仲間の一人は9年目で手に入れたとか。

 やっぱりチケットを取るのは大変なんですね。

ちなみに今年の演目はニーベルングの指輪4作、パルシファル、ニュールンべルグのマイスタージンガー、トリスタンとイゾルデだそうです。

 チケットの取り方もいろいろあって、7演目全部とか、ニーベルングの指輪4作だけ、あるいはそれ以外の3作品とかあるそうです。

 それでも、12年もかかったので、これが最後だと思って行ってきたそうです。

うらやましいと言って話に参加してきた女性はさらに突っ込んだ質問を投げかけます。

「バイロイトまではどこから経由していくんですか?」

「ニュールンべルグから地下鉄でも行けますし、タクシーでも日本円で1万円ちょっとぐらいですよ。」

「劇場の近くに宿泊施設はあるんですか?」

「私が泊まったのは劇場から歩いて15分ほどのところでした。」

「チケットはいくらぐらいなんですか?」

「日本円で2万円にならないくらいに設定されているようですよ。私がチケット代を支払ったときは1ユーロ110円ぐらいだったのですが。」

一番円高でいい時に行ったんですね。

「劇場の音はやっぱり違うんでしょうね。劇場の中はどんな感じですか?」

「音はやっぱり、オケが舞台下にあるので、歌手の声が全面に出るようですね。劇場はとても質素で豪華じゃないですよ。」

「日本人は結構来ているんですか。言葉は通じますか?」

「ツアーできている日本人の方も結構いましたが、そういう人たちは全演目観ないで途中で帰りますね。結構最終日までいるのは、アメリカ人らしき人が多かったような感じですね。リング4作も4日続けて上演するわけではなく途中2日ほど休みの日があるし。私も言葉は喋れませんが、別になんとかなりましたよ。」

「どの演目が一番よかったですか?」

「あくまで私の感想ですが、パルシファルがよかったですね。」

たしか、昨年末にNHKFMでやっていたバイロイト音楽祭2008の解説でもパルシファルが一番良かったと言っていましたが、今年も昨年と同じ演出だったのでしょうか。

 「出演者はどうでしたか?」

「去年のキャストと変わっているところもありましたね。最近はワーグナー作品を上演するのに、バイロイトが必ずしも一番いいとは限らないようです。むしろ、バイロイトに出演するのが成功者への登竜門になっているようです。というのも、出演者によってギャラが変わるのではなく、役によって金額が決まっているんですよ。トリスタン役をやったらいくらとかで、また、金額も安いらしいんですね。だから大スターがで出ると出てやったという感じになったり、むしろお金よりも名誉ということになっているようですよ。」

 「そうなんですか、でもたとえば、トリスタン役とイゾルデ役の両方の主役がいいことって少ないですよね。」

「そうですね。主役の男女がどちらもすばらしいというのはなかなかないですね。 でも、あなたもお若いですから、十分チャンスはありますよ。行かれたらいいんじゃないですか。」

そういうこのお二人の年齢はおそらく60歳前後と思われます。

この女性は本当に行きたいんでしょうね。

その気持ち私もわかります。

たとえ今のバイロイト劇場がワーグナー作品を上演するのに最高の劇場ではないとしても、ワーグナーが自分の作品を上演するためだけに作られた劇場で、ワーグナーが吸った空気と同じ空気を吸って、同じ音を聞いてみたいと思います。

しかし、バイロイト音楽祭のチケットを取るのが大変という問題よりも、私にはもっと大変な問題があります。

それは、バイロイト音楽祭が行われるのが8月だということです。

お盆に施餓鬼と1年に一番忙しい時期です。

とても、旅行などできる状態ではありません。

「バイロイトに行きますか、それとも住職やめますか」という究極の選択をしなければなりません。

ということは、残念ながら、ハムレットならぬ、ドンキホーテのかなうことのない見果てぬ夢でしかないということになるのでしょう。

見果てぬ夢のバイロイトの情報ですが、大変参考になりました。

話を聞くだけでしたが、いい夢を見させてもらったような気がします。

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