<原宿駅から代々木公園方面に向かって>
<代々木公園の脇を通って>
<NHKホールの前には入場者の行列が>
<ようやくNHKホールの正面入り口に到着>
<本日9月4日のキャスト表>
昨日、NHKホールにミラノスカラ座のアイーダ(初日)を観に行ってきました。
HNKホールの方に教えられた通り、原宿駅から代々木公演の脇を通って会場へ向かいました。
開場時間直前だったため、たくさんの方が同じ道を通るので迷うことはなかったです。
でも、いつもながら思うことですが、駅で降りた人を見ると不思議とこの人は私と同じ目的で来ているんだろうなということがわかります。
着ているものとか、持ち物とか、年齢とかでなんとなく察しがつくようになるんですね。
おそらくこちらも同じようにみられているんでしょう。
会場につくと、すでにまたキャストの変更があり、アムネリス役のルチアーナ・ディンティーノが来日後に喉を傷めたため、急遽エカテリーナ・グバノヴァになっていました。
ダブルキャストで、しかも、「ドン カルロ」のキャストもいるのに、急遽招聘とはよっぽどやりくりがつかなかったのでしょう。
現に、今日の配役ではありませんが、アイーダのラダメス役が変更したばかりですし。
問題の終演時間はというと、20時55分に設定されていました。
これなら、すこしぐらい公演が延びても、カーテンコールまで十分観て行かれそうです。
公演は5分ほど遅れて始まりました。
3階席なので1階席の埋まり具合はわかりませんが、そこそこ、満席といったところでしょうか。
1幕の最初、微弱音から始まるオープニングはきれいに響いていましたが、全幕通してオーケストラの音が弱く、キャストの声が全面に出ているような感じです。
意図して行われていることかと思いますが、オーケストラは終始キャストの伴奏といった趣です。
大スペクタクルもの、グランドオペラとしては、音が物足りないように感じました。
そして、1幕の“清きアイーダ”を歌うヨハン・ボータ、気のせいかもしれませんが、歌の最後の方がきれいに決まっていなかったような、なんか変な感じの終わり方でした。
2幕の凱旋のシーンでも、一番盛り上がるときにオーケストラの音量が弱く盛り上がりに欠けていたように思います。
しかも、アイーダトランペットを使っているのかどうかわかりませんが、それにしても、トランペットの音が特に弱くて凱旋の感じがしません。
また、新国立劇場で行われたアイーダの公演もゼフィレッリの演出でしたが、凱旋の場面ではもっとたくさんの人が舞台を通り過ぎ、群集劇的な趣があったのですが、今回は静止画像を見ているようで、動きの少ないものでした。(しかも新国立劇場では本物の馬もちょっとだけ舞台横切ったりしていたので、今回もそれを期待していたのですが)
バレエシーンの振り付けもいまいちな感じでした。
特に子供が踊るシーンの振り付けはヘンテコな踊りでちょっとがっかりしました。
後でプログラムをみると、振り付けはウラジーミル・ワシーリエフと書いてあるではありませんか。
ワシーリエフと言えば、かつてソビエト時代、長い間一世を風靡した名バレエダンサーです。
名ダンサーが必ずしも名振り付け家とはかぎりらないということですかね。
プログラムには、協力 東京バレエ団と書いてありましたから、大人のダンサーはスカラ座の専属としても、子供のダンサーは明らかに東洋人の顔つきでしたから、東京バレエ団関係の子供たちなのでしょう。
子供たちにとっては素晴らしい体験になったことでしょう。
この中から未来の名ダンサーが出現することに期待しましょう。
確かにゼフィレッリの演出は絢爛豪華でどこをとっても絵になる素晴らしいものでしたが、今回はお得意の群集劇的な要素が少なく、絵画のような静的な演出だったようです。
この凱旋のシーンはアイーダの中でも特に有名で盛り上がるところなのですが、バレエシーンが終わって合唱がグローリアと入るところで観客からかなり長い拍手がおこり、しばし中断。
ここは一番盛り上がるところですから、拍手で流れをさえぎるのはやめてもらいたいものです。
せっかくの盛り上がりが台無しになってしまいます。
3幕はアイーダと父のアモナズロ、ラダメスの密会の場面。地味な場面なので、ともするとダレ気味になることが多いところですが、ここはオケとのコンビネーションもよく、緊迫感が感じられてよかったと思います。
そして、4幕が始まる時、指揮台に立ったバレンボイムに数人からブーイングが浴びせられます。
私の席からはバレンボイムの後頭部しか見えないので、表情はわかりません。
しかし、そのブーイングが起こるとすぐに、私の右隣の女性も「私もブーだな」と小さくつぶやいていました。
4幕は、アイーダとラダメスの再会の喜びと死、アムネリスの悲嘆と後悔が対比されるところですが、アムネリスの悲嘆があまり感じられません。
そのため、ラストシーンとしては盛り上がりに欠けてしまったような気がします。
4幕が終わって幕が下りると、拍手の嵐、しかし、ブラボーの声はほとんどかからず、スタンディングオベーションもありません。
これが今日の観客の評価なのでしょう。
全体を通しての私の感想はというと、結構平凡だったなという印象です。
平凡といってもただの平凡ではなく、バレンボイム的平凡な感じです。
バレンボイムは器用で、何でもこなすマルチプレーヤーですから、いつでも破たんなくうまくまとめているんですが、良くも悪くも人の心をわしづかみにするインパクトに欠けているように思います。
そういう意味での平凡ということなのですが。
ミラノスカラ座の音を生で聴くのは初めてなので、オーケストラとしてどうだったのかといわれると、ちょっとイメージとは違っていたような。
映像やCDで聴くともっとセクシーな音だったような気がするので、指揮者バレンボイムのせいでそう感じるのかもしれません。
できれば、ムーティーの指揮で聴きたかったですね。
そして、ほぼ時間通りに終演し、カーテンコール。
舞台上には次々にキャストが登場し、その間、バレンボイムはオケの面々となにやら話し込んでいます。
今日の出来が悪かったので反省会?
そのあと、オケの面々も次々に退場してきます。
そして、なかなかバレンボイムがカーテンコールに登場しないなと思ったら、次のカーテンコールではバレンボイムを始め、オーケストラの面々が舞台上に登場しました。
千秋楽でもないのに、初日からずいぶんサービスがいいなと思ったのですが、さらに次に幕があいたときには、オーケストラ、キャスト、スタッフと思える私服の面々も舞台上に勢ぞろいしています。
舞台のセット自体が立体的で、その上に乗っている人たちは、客席から見るとまるでひな壇に勢ぞろいしているようで、どっちが客席かわからないくらいです。
しかも、舞台上から手を振ったり、フラッシュをバシバシたいて客席を撮影しています。
舞台衣装をつけたままで撮影している人も多く、エジプトの神官らしき衣装を着た人がカメラを構えている光景はかなり異様です。
イタリア人らしいなと思いつつも、それにしてもこのノリはすごいなと思わせるものでした。
さて、これで帰るかなと客席を立ったところ、さらに大きな歓声があがります。
なにごとかと思って舞台を見ると、舞台の上から「祝・日本通算公演100回記念」という看板が下りてきて、テープもまき散らされます。
そして、いつの間にか舞台正面には樽酒が置かれ、青い法被を着たバレンボイムほか数名による鏡割りが行われました。
この異常な盛り上がりは、このためだったんですね。
アイーダ初日の4日がミラノスカラ座が日本来日公演を始めてちょうど100回めに当たっていたとは、知りませんでした。
おかげで、すばらしいサプライズに遭遇することができました。
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