先週閉会した6月定例市議会について、報告を続けます。
今議会で私は、「医師・看護職員確保対策の充実・強化についての意見書(案)」を作成して、提案しましたところ、全会派の同意が得られて採択となり、鶴岡市議会の総意として関係省庁に送付されました。
案文は、
「高齢社会の進展、医療の高度化・専門化にともなって、保健、医療、福祉に対する需要が増大しており、それを担う医師・看護職員の確保が重要かつ緊急の課題となっております。
本県における人口10万人あたりの医師数は、全国平均が211.7人であるのに対し、198.8人、庄内ではさらに166.4人にとどまっています(H16年末現在)。
そもそも日本の医師数が、OECD加盟国の中でも最低の水準にあることが、日本の医療の困難の要因となっていることを想起すれば、庄内の状況はきわめて憂慮すべきものと言わなくてはなりません。
さらに平成16年度から始まった医師の臨床研修制度の必修化をきっかけに、都市部への医師の集中が進み、地方の病院での勤務医不足が深刻化しております。
また、看護職員においても、平成17年12月に策定された国の「第六次看護職員需給」見通し」でも、今後いっそう需要増加が見込まれているところですが、さらに昨年4月の診療報酬改定に伴う看護基準の見直しにより、都市部の大病院などへの集中が急激に進み、地方の中小病院等での看護職員確保が困難となっており、地域医療に重大な影響がもたらされています。
このように、本市を始めとする地域医療の状況に鑑み、医師養成数の抜本的拡大を始めとする医師確保対策の強化、看護職員の養成拡大・労働条件改善など看護職員確保対策の強化を図ることを強く要望します。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。」というものです。
文中の「平成16年度から始まった医師の臨床研修制度の必修化」とは、「新臨床研修制度」と言われるもので、それによって、従来医学部生の半数以上が大学の医局に残っていたものがその半分程度にも激減したことから、大学が自治体病院などに派遣していた医師を呼び戻す動きに出ました。
しかし医師不足の根本的問題は、これまでの医師養成数があまりにも少な過ぎたことにあります。
政府・与党などは、「医師が偏在している」などとして、医師の数が足りないのではないと言い張っていますが、「医師が余って困っている地域」があったら教えてもらいたいものです。
今から20年前の1986年、厚生省(当時)は、「昭和70年を目途に医師の新規参入を最小限10%削減」という方針を打ち出し、医学部の定員の削減を始めました。
当時は、与党はもちろん、日本医師会やマスコミなども、一緒になってこれを煽りたてたようです。
20年前に始められた過ちが、今、災いを為しているのです。
これから医師養成を拡大したとしても、効果が現れるのは10年も先になります(その間に不足を少しでも補う方策は尽くさなければなりません)。
政治が将来を正しく見通しておこなわれなければならないことを浮き彫りにする好例(悪例)です。
※なお、意見書作成・ブログ編集にあたっては、「医療構造改革と地域医療」「日本医療の焦点」「日本医療の展望」などを参考にしました。