「事務所費問題」で自殺に追い込まれた松岡利勝前農相の後任として就任した赤城徳彦農水相の「事務所費問題」が発覚し、「政治と金」の問題が参院選の争点としても改めてクローズアップされています。これは、地元(衆院茨城一区)の政治団体が大臣の実家を事務所として届け、実体が無いのに10年間で9千万円もの経費を計上していたものです。
実家に住む母親や父親がテレビの取材に答えて、「家賃や光熱費など受け取っていない。秘書などはおらず、私たち(夫婦)が住んでいるだけ」と話す姿が放映されたのに対し(翌日、「訂正」を図っていました)、大臣は「(実家は)精神的、象徴的場所」などと釈明していました。
親がわざわざ息子の不利になるような作り話をするハズは無く、勘違いするような問題でも無く、本人も「実体的場所」ではなかったということを自ら表明したようなものです。
安倍首相は、「農水相はしっかり説明をした」などと言いましたが、昨年末、架空の事務所経費など10年間で約7800万円を政治資金収支報告書に計上していたことから閣僚を辞任した佐田玄一郎行政改革担当相と同じ性格の問題であり、領収書の公開等を指示し、問題が証明されれば辞任させるべき問題です。今回も最低限のリーダーシップに欠けていることを明らかにしてしまいました。
苦しい生活の中からむしり取られた税金が、政党・政治家によってでたらめに使われているという問題は、生活感情から「頭に来る」ことはもちろん、民主政治の根幹を為す問題です。
事務所費問題は、昨年11月の参院の委員会で日本共産党の井上さとし議員が取り上げ、引き続きしんぶん赤旗が閣僚や与野党幹部など18人がそれぞれ一千万円以上の事務所費を計上していることを追及、政治の一大争点となったものです。
民主党も当初追及の構えを見せましたが、小沢一郎党首が不動産所得などに使った4億1500万円を事務所費に計上していた問題が発覚したのを初め、党幹部・議員の疑惑が次々と持ち上がったことから静かになってしまいました。
そもそも、日本共産党を除く各政党の財政は、「わいろ」である企業・団体献金と、憲法違反の政党助成金で成り立つという、非常にゆがんだものになっています。
政党が国民の税金を山分けする「政党助成金」は、日本共産党を除くすべての主要政党が受け取り、これまでの総額は3840億円にも達しています。(ご覧になっているあなたの税金も、あなたの支持政党の有無にかかわらず山分けされた訳です)。
自民党の収入の60%、民主党の83%(05年)も占めるという依存ぶりであり、主義主張を訴え、共感する国民に自主的な募金を求めていくという、民主社会の政党として怠慢と言わなければなりません。自分の懐に国民の望まないお金が流れてくるという法律を自分等で取り決めるなど、恥ずかしく無いのかしらと思ってしまいます。
また、自民も民主も「消費税増税、大企業減税」「憲法九条改正」など財界の主張を体現する政策を取りまとめることによって、より多くの「政治献金」をもらうことに血道を上げています。
こういう中で、財政面でも清潔な政党=企業・団体献金を一切もらわず、政党助成金もきっぱり拒否して頑張っている日本共産党の支持が広がることが、政治と金の問題を但し、清潔で開かれた政治を推進してくために、何より大事な問題と考えています。
それにしても、「美しい国」とは、お金の問題一つとっても何とも似つかわしく無いスローガンになってしまったものですネ。