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ヒトラーの忘れもの

2017年01月27日 | 映画

終戦直後のデンマークを舞台に、地雷撤去に駆り出されたドイツ軍少年兵たちの苦難を描いた史実に基づくドラマ、「ヒトラーの忘れもの」(Under Sandet / Land of Mine)を見ました。

第2次世界大戦中、デンマーク西海岸につらなる美しい砂浜に、米英軍からの侵攻に備え、ナチス・ドイツによって200万個もの地雷が埋められました。そして戦争が終わり、残された地雷を除去するために駆り出されたのは、終戦時にデンマークに捕虜として囚われたドイツ軍の少年兵たちでした。

彼らは終戦間際に徴兵された少年たちで、爆弾処理の訓練を受けていない、まったくの素人でしたが、デンマーク兵から即席にレクチャーを受け、即戦力として地雷原に送られたのです。

彼らを危険な任務につかせることは、本来ジュネーヴ条約違反のはずですが、戦時中、デンマークがドイツの軍事保護下にあったことから、このようなことがまかり通ったのです。その後冷戦時代に入り、この不幸な事実は、歴史の闇の中に封じ込められることとなりました...。

映画で描かれるのは14名の少年兵と、彼らを指揮するデンマークのラスムスン軍曹。デンマーク人にとって、ドイツ兵は子どもといえども昨日までの憎き敵であり、軍曹は情け容赦なく、少年たちをこき使います。戦争を起こしたのは大人たちなのに、どうして一番弱い彼らが後始末を強いられて、最も危険な任務に就かなければならないのか、その理不尽さに胸がふるえました。

まだ10代半ばのあどけない顔をした少年たちが、空腹と孤独と不衛生の中に閉じ込められ、探知棒を手にそろりそろりと広い砂浜をはいつくばって地雷を探し続ける姿に打ちのめされました。美しい砂浜は、死の地雷原。いつ爆発してもおかしくない状況の中で、見ている方も、極度の緊張感に何度も押しつぶされそうになりました。

あたりまえのことですが、戦争は勝っても負けても不幸なこと...と改めて思いました。戦争に勝った側は、このような負の遺産に何十年も苦しめられることになり、負けた側は、早く帰って祖国の再建のために働きたいと語る、少年たちの未来が失われることになるのです。

終わりのない苦しみの中で、どうなることかと思いましたが、少年たちと接していく中で、軍曹が少しずつ人間らしい気持ちを取り戻し、最後にせめてもの救いがあってほっとしました。

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