セレンディピティ ダイアリー

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gifted ギフテッド

2017年11月25日 | 映画

クリス・エヴァンスが、並外れた数学の才能をもつ姪の子育てに奮闘する叔父を演じるハートウォーミングなドラマ。「(500)日のサマー」のマーク・ウェブが監督を務め、新星マッケンナ・グレイスが天才少女を演じています。

gifted ギフテッド (Gifted)

幼くして母親を亡くしたメアリー(マッケンナ・グレイス)は、叔父のフランク(クリス・エヴァンス)に引き取られ、フロリダの小さな町でささやかながら幸せに暮らしていました。メアリーにはずば抜けた数学の才能がありましたが、亡き姉の遺志を継いで、フランクはメアリーを特別扱いせず、まわりの子どもたちと同じ環境で育てようとしていました。

しかし突然、メアリーの祖母イブリン(リンゼイ・ダンカン)がマサチューセッツからやってきて、メアリーに英才教育を受けさせるべきだと主張します。そしてフランクから親権を奪おうと、訴えを起こします...。

楽しみにしていた作品、初日の朝一番に見に行ってきました。予告を見た時は、フランクはどうしてメアリーの才能を伸ばそうとせず、ふつうの子どもと同じように育てようとしているのか、歯がゆく思っていましたが、映画を見て、そこには深い事情があったのだと知りました。

メアリーの母も数学の天才であり、そのために母親の期待を一心に背負い、人生の喜びを知らないまま、若くしてこの世を去ったのでした。そのことを誰よりもよく知るフランクは、姉の意志を尊重しようと心に決めていたのです。

天才の子どもをもつ親が、子どもらしく育てることと才能を伸ばすことの狭間で苦悩する姿は、これまでにも実話をもとにした「僕と世界の方程式」(A Brilliant Young Mind)や「ボビー・フィッシャーを探して」(Searching for Bobby Fischer)などで見てきましたが、フランクもメアリーのためにどうすることが一番いいか悩みに悩みます。

法廷で、フランクが”あなたはそれが正しいと確信が持てますか?”と問いかけられる場面が何度かありましたが、それに対するフランクの”わからない”という答えは、彼の誠実さを表していると思いました。子育てに正解などないし、ましてや天才児を育てる機会なんてそうそうないのですから...。

フランクは常に、自分がやっていることは間違っているんじゃないか、メアリーの人生を滅茶苦茶にしてしまうんじゃないかと自問し、恐れていました。でもそれは、どの親にとっても共感できる普遍的な恐れでもありますよね。

脚本がすばらしく、心に残るシーンややりとりもたくさんありました。実の父親が自分を探そうともしなかったと知って傷ついたメアリーを、フランクがある場所に連れて行く場面には泣けました...。どんなに才能があっても、愛がなければ枯れてしまう。自己を肯定して初めて花開くのだと気づかされました。

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