DVDで鑑賞。エミリア・クラーク&サム・クラフリン共演のラブストーリーです。昨年公開された時はロマンティック・コメディだと思って完全にスルーしていましたが、あとから安楽死の是非をテーマにした作品と知りました。ジョジョ・モイーズのベストセラー「ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日」を映画化。
イギリスの田舎町で家族と暮らすルー(エミリア・クラーク)は、働いていたカフェが閉店の憂き目にあい、事故で車椅子生活を余儀なくされた富豪の御曹司ウィル(サム・クラフリン)を介護する仕事を紹介されます。
最初は事故のショックから生きる希望を失い、心を閉ざしていたウィルですが、ルーの天真爛漫の明るさに接していくうちに、徐々に元気を取り戻していきます。しかしウィルには、心に秘めたある決断がありました...。
エミリア・クラーク演じるルーがとってもキュート♪ くるくるとよく動く表情と、明るく素直で前向きな性格、個性的なファッションもチャーミングで、ウィルならずとも私もすっかり彼女の虜になりました。名家の御曹司であるウィルは容姿に恵まれビジネスでも成功し、婚約者もいて、まさに順風満帆の人生を歩いていました。
その幸せが交通事故によって一瞬のうちに奪われてしまったのです。最初にルーがウィルに出会った時は、無精ひげをはやし、ルーが何を話しかけても不愛想で取りつく島がありませんでした。そんな2人がはじめて意気投合したのが、フランス映画の「神々と男たち」というのがおもしろい。
字幕のついた映画を見たことがないというルーに、ウィルが誘っていっしょに見たのでした。ちなみに次に見たのはスペインのアルモドバル監督の「オール・アバウト・マイ・マザー」。これまでまったく違う環境で生きてきた2人が化学反応を起こした瞬間でもありました。
こうしてルーのおかげですっかり明るさを取り戻しかに見えたウィルですが、彼は6ヶ月後に安楽死することを心に決めていたのでした。ルーはウィルが生きる喜びを見出して、考え直してくれることを願い、競馬やコンサート、南の島のヴァカンスと次から次へといろいろな計画を立てますが、ウィルの決心は変わりません。
ウィルが絶対に行きたくない場所、それはパリだと言います。なぜなら彼が一番輝いていた時に訪れた場所だから、その思い出を別の記憶で上書きしたくないというのです。
私自身、たとえば将来家族の手を煩わせるようなことになるくらいなら、その前に安らかに見守られながら眠りたい...という気持ちが心のどこかにあるので、ウィルの気持ちが理解できなくはないのです。その一方で、彼はあまりに若く美しく、人生はこれからで、今までとは違う形であっても、きっと幸せな未来があるはず...
と思ってしまい、彼の決断を尊重できない気持ちにもなりました。彼の人生は彼ひとりのものではないのですから...。医学の発達で、延命治療についても本人や家族の意思にゆだねられるケースが増えるであろうこれから、命の重み、命の意味について考えさせられる作品でした。