2017年に見た映画と読んだ本の中から、特に心に残った作品を書き留めておきます。
*** 映画 ***
例年、新作映画と旧作映画をそれぞれ選んで来ましたが、昨年は私にとってこれ!という旧作映画がなかったので、新作映画の中から5作品を選びました。
マンチェスター・バイ・ザ・シー (Manchester by the Sea)
+ アルビノーニのアダージョ @マンチェスター・バイ・ザ・シー
ケイシー・アフレック主演、ボストン郊外の海辺の町を舞台にしたヒューマンドラマです。思い出すたびに胸がしめつけられるような痛みを覚えつつも、不思議と心の中には温かい余韻が残り、忘れられない大切な作品となりました。
ダンケルク (Dunkirk)
+ ダンケルク @IMAX
+ ダンケルクのジャム食パン
クリストファー・ノーラン監督、第2次世界大戦のダンケルクの大撤退を描いた戦争映画。多くを語らず、一見あっさりとした戦争映画ですが、あとからひとつひとつのシーンが思い出され、もう一度見て確かめたくなる作品でした。若い名もない兵士たちこそが、このドラマの真の主人公なのだと思いました。
北方の少数民族サーミの少女が、偏見と差別に立ち向かいながら力強く生きていく姿を描いたヒューマンドラマ。この映画でサーミのこと、彼らの苦難を知り衝撃を受けました。伝統を守ることと、広い世界で自由に生きること。グローバル社会におけるひとつの課題であるとも感じました。
美女と野獣 (Beauty and the Beast)
+ 美女と野獣 1991
+ 美女と野獣のピアノ楽譜
1991年のディズニーアニメーション”美女と野獣”を、エマ・ワトソン主演で実写映画化。アラン・メンケンの音楽もすばらしく、見た後もしばらく幸せな余韻に包まれました。1991年版と比べてほんとうの強さとは、優しさとは何か考えさせられる、現代にふさわしい作品になっていたと思います。
ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命 (The Zookeeper's Wife)
当初は上の4作品の予定でしたが、年の最後に見て急遽ベストに加えました。後述する「また、桜の国と」と同じく、第2次世界大戦時のポーランドを舞台に描かれていたこともあって、相乗効果で心を揺さぶられました。
*** 本 ***
昨年は初めての作家さんとの幸せな出会いがありました。特に心に残った2作品です。
第2次世界大戦時のポーランドを舞台に、ある日本人外交官の奮闘と運命を描いた長編小説。ショパンの革命のエチュードを背景に展開する、ドラマティックな物語に心を揺さぶられました。東ドイツの監視社会を描いた「革命前夜」とともに、須賀しのぶさんがお気に入りの作家さんになりました。
昭和から平成に至る教育界の変遷を、学習塾を経営する家族の姿を通して描いた長編小説。ちょうど私が育ってきた時代、子育ての時代と重なることもあって、記憶をたどりながら興味深く読みましたが、登場人物たちのキャラクターの魅力や、森絵都さんの温かいまなざしも感じられ、物語としても楽しめました。