東京都写真美術館で8月6日まで開催中の「世界報道写真展2017」を見に行きました。この後、大阪・広島・埼玉・滋賀・京都・大分に巡回します。(スケジュールはコチラ)
オランダで毎年開かれる「世界報道写真コンテスト」で選ばれた、8部門45人の受賞作品が展示されています。今年も戦闘地域や難民の現状をはじめ、過酷な作品が数多くありましたが、ここでは比較的刺激の少ない作品からいくつかご紹介させていただきますね。
ポスターの写真は、自然の部・単写真1位に選ばれた、スペインのフランシス・ペレス氏の作品。カナリア諸島テネリフェ島沿岸で、漁網に絡まり泳げずにいるウミガメをとらえています。アカウミガメは国際自然保護連合から絶滅危惧II類に指定されていますが、放置された漁具による死が頻発しているそうです。
大賞を受賞したのは、トルコ・AP通信のブルハン・オズビリジ氏による組写真です。2016年12月19日、トルコ・アンカラの美術館で起こった駐トルコ・ロシア大使暗殺事件の瞬間をとらえています。犯人(トルコ人警察官)は「アレッポを忘れるな。シリアを忘れるな。」と叫び、駆けつけた特殊部隊によって射殺されました。
人々の部・単写真1位に選ばれたスウェーデンのマグナス・ウェンマン氏の作品。イラク北部デバガ難民キャンプで母親に慰められる少女マハ(5歳)の悲しみの表情をとらえています。ISによって故郷の街が制圧されて薬と食料が残りわずかとなり、マハたち市民は1週間前にこのキャンプにやってきました。
現代社会の問題の部・単写真1位に選ばれたアメリカ・ロイターのジョナサン・バックマン氏の作品です。この写真はSNSで何度も見て、私も強く心に残っていました。
2016年7月5日、バトンルージュで白人警官が至近距離から黒人のアルトン少年を射殺する事件が発生。度重なる警察官による黒人射殺事件に抗議して、警察官たちを前に静かに歩み寄る黒人女性イエシア・エバンスの毅然とした姿をとらえています。
日常生活の部・単写真2位に選ばれた中国の王鉄軍氏の作品。中国・徐州の体操学校で、つま先の圧力のトレーニングを行う少女たちの姿をとらえています。中国には2000を超える体育学校がありますが、そこでは過酷な訓練が行われています。
人々の部・単写真3位に選ばれたロシアのクリスティーナ・コミリツィーナ氏の作品。2016年11月25日、キューバ元国家元首フィデル・カストロ氏が永眠しました。写真はキューバ中部カマグエイの警察署にて。全国を巡回していた氏の葬列がちょうどカマグエイを出たところを、テレビで見守る母娘の姿をとらえています。
例年にならって、最後に気持ちが明るくなる写真を。スポーツの部・単写真3位に選ばれた、ドイツ・ロイターのカイ・オリバー・プファッヘンバッハ氏の作品です。
ブラジルで開催されたリオデジャネイロ夏季オリンピックで、100m準決勝で勝利し、ふり返りながら笑顔を見せるウサイン・ボルト氏の姿をとらえています。ボルト氏は100mおよび200m競技において、オリンピック3大会連続金メダルを受賞しました。
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今年の受賞作品はこちらのサイトで見ることができます。
WORLD PRESS PHOTO 2017
他の年の感想はこちら。
世界報道写真展2019
世界報道写真展2018
世界報道写真展2011-2016
報道写真展、今年も見に行ってきました。
続けて見ることで、時代の流れや変化も感じ取れるような気がします。
こんなに透明で美しい海なのに、ウミガメの命を脅かす廃棄物がたくさんあるなんて
意外でもあり、悲しいですね。
ギャップがインパクトのある作品でした。
選手たち、目にもとまらぬ速さで走っていると思いますが
よく決定的な瞬間をとらえましたね!
ボルト選手、二カッと笑って余裕がありますね。^^
今年もいらっしゃったのですね、報道写真展。
ウミガメはまるで緑のドレスを着ているように見えますが、様々な廃棄物のせいで本当にかわいそうですよね。
問題提起をする写真が多い中、ボルト選手に絶妙にピントを合わせたカメラマンに金メダルをあげたいです。