@「人並みへの欲」仲間外れの小太郎は「人並みになりたい」と心に刻んでいた事が、自分の鉄砲の技がそのきっかけを作ることになる。ところが思った以上の苦しみ悲しみの経験をする。人生はそれほど簡単に幸せに人並み以上にはなれない、必ずやその前に苦しみ、悲しみを経験してこそ「人並みの・・・」が生まれるのだ。それは人の心の持ち様次第、決して人と比べるものでは無いと言う事だ。現代、世間並みの幸せを求め、人は欲を生み出し、富は富を生む格差社会である。だが、それに脅された貪欲さの人生ほど悲しいものはないと言うことだ。
『小太郎の左腕』和田竜
「概要」時は一五五六年。勢力図を拡大し続ける西国の両雄、戸沢家と児玉家は、正面から対峙。両家を支えるそれぞれの陣営の武功者、「功名あさり」こと林半衛門、「功名餓鬼」こと花房喜兵衛は終わりなき戦いを続けていた。そんななか、左構えの鉄砲で絶人の才を発揮する11才の少年・雑賀小太郎の存在が「最終兵器」として急浮上する。小太郎は、狙撃集団として名を馳せていた雑賀衆のなかでも群を抜くスナイパーであったが、イノセントな優しい心根の持ち主であり、幼少の頃より両親を失い、祖父・要蔵と山中でひっそりとした暮らしを営んでいた。物語は、あることを契機に思わぬ方向へと転じていくが―。
ー注目した文章・言葉
小太郎の性格「人に怒ることを知らぬ、人を恨むことを知らぬ。度外れて人に優しいのだ」
「人並みになるとは、人並みの喜びだけではない。悲しみも苦しみも全て引き受けると言うことだ。人並みになりたいのであれば、それを重々承知せよ」
半右衛門「敵に対しては、無類の勇敢さでこれに打勝つ半右衛門が、如何にしても勝てないものがある。それが自らの心の中に潜む自責の念であった」
「人並みになろうとし、図らずとも人並み以上のものになったが、得たのは喜びだけではなかった」
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