私が死んだあとであなたが読む物語

基本的には「過食症患者の闘病記」、と言っていいでしょう。

「警官の血」 佐々木譲

2012年05月24日 20時27分39秒 | 読書感想

ネタバレ注意。



この本の主軸となるのは、清二を殺したのは誰か、です。

それはなんら意外性のない人物、早瀬が犯人でした。

メインに据えた謎がとても弱いためミステリー小説としては退屈なものでしょう。

それに早瀬がなぜミドリや田川を殺したのか、いまいちよくわからない。

なんで性犯罪にとどまらず殺害まで至るのか。

しかも二人とも警察に情報を提供するいわば警察のスパイのような存在。

警察にとってはありがたい人物をなぜ殺してしまうのか。

そして警察組織がなぜそんな人物を殺されたのにもかかわらず、それを黙認するのかもいまいちわからない。

公安が捜査を辞めさせた理由がわからない。

スパイの存在がばれてしまうからってなってるけど、そんなの外にバレないように早瀬を逮捕することなんていくらでもできそうに思うけど。

主軸になるこの事件を、もっときれいに片付けてほしかった。

ミステリー小説ではなく大河小説ということでいうのなら、清二、民雄を経て三代目の和也が、警官が世間の人々の支持を得られるなら際どい捜査だってやってみせる、そんな警官に育ったことはいいと思います。

ただ、そういう結論に持って行くにしては取りとめのない小説に思います。

ただ長ければ大作になるわけじゃない。

正直そんな印象です。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿