これは今時こんな古めかしいような作品を作るんだって思わせてくれるような
オーソドックスな作品
まさに物語世界を絵に書いたように旧態依然の徒弟制度というか階級社会の縮図のようなディオールのアトリエの階級制度をうまくのせて
さらにヨーロッパ各国が抱かえてる移民問題、そして現実の親子というのか、擬似親子関係にあたるような徒弟制度とかをうまく取り入れて
一応現代映画として作り上げた手腕は見事としか言いようがない
男性の私にはオートクチュールが何やらプレタポルテが何かも全くわかりはせぬものの
一本の映画としては先に書いたような使い古されたプロットにフランスが抱える切実な社会問題と家族とかのお話を上手にまとめた作品
ディオールの工房(アトリエ)でお針子を勤め
今回のコレクションで引退というか定年を迎えるナタリー・バイ演じるエステルは地下鉄でふと油断しており、っていうか地下鉄コンコースで弾き語りしているリナ・クードリ演じるアフリカ系移民のジャドの指に神経が行っていたからなのか
油断したいた隙にジャドたちからバッグを盗まれてしまう
ジャドは同じフランス映画で移民たちだけが暮らすパリ郊外にある「レ・ミゼラブル」で見られたような巨大アパートに暮らす人間
いわゆるフランスの階級社会のヒエラルキーの底辺にも入れない人種だった
そしてディーオールのアトリエ長であるためにこれまた山手の郊外に住み通勤用の衣服はディオールの高級うーるやシルクの服から
上流階級のが人間と見られてカバン遠取られたわけだが
中身はなんと階級社会の底辺の人間とわかるものばかりで
ジャドは盗ったものを返しにいくと、彼女の指にお針子としてのセンスを見抜いていたエステルはジャドをディオールのがお針子に誘う
ここから物語が動いていくんだけど、何日か前にも見た日本の若いお針子が野望を持ってって言った「華麗なる闘い」とは違って
自分が去っていくアトリエに新しいお針子を育てて置いて行こうっていうお話になっていくんですね
一方は育てようって言う気持ち
もう一方は移民という最下層よりも下の階級から最低階級に這い上がれるチャンスをもらってってと言ったお話に
ディオールのオートクチュールの作品がそのデザイン画とかドレスとか目を楽しませてくれているらしいが
私にはそっち系はまるで興味なしでしたが・・・
監督さんは女性だったんですね
いつか気付いたら引き込まれていたって言う映画ではありました。
2021年製作、フランス映画
シルヴィー・オハヨン脚本・監督作品
出演:ナタリー・バイ、リナ・クードリ、パスカル・アルビロ、クロード・ペロン、クロチルド・クロ