柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

葬儀の費用は高い、って本当?

2010年09月08日 | 葬儀の世界
全国平均の葬儀費用は230万円
世界でも飛びぬけて高い費用と言われます。

ちなみに
日本・・・・230万
イギリス・・12万
ドイツ・・・20万
アメリカ・・44万
韓国・・・・37万
というデーターがよく比較の対象となります。
国によって習慣も国の費用負担も、宗教問題も違い
かかる品目も統一ではありませんので、正しい比較は無理ですが。


私は葬儀社にいたので【葬式費用の解説】をしてみます。
ただし、ここで混乱を避けるために宗教費用は除き
今回は葬儀社が請求を行う費用だけに絞っています


日本の葬式は
葬儀社が作り出したといわれる【祭壇】があります

そして古くは、地域の手を借りて葬式をしていたので
(喪家は葬儀の支度をせずに故人だけに向き合っていました)
親族を含めて関わった人への【振る舞い】が今でも葬式の品目になっています。

【振る舞い】には【飲食】と【お礼の品物】が含まれます。

実はこの3点が費用を大きくしています。

最近よく聞く「直葬」ならこの3点は無いのです。
費用は20万円前後が多くなっています。

「だから、金額が張る品目は要らない!」 と、簡単に言い切らないでください。


その昔、死人が出た家を地域が支えて葬式をしました。
知恵や力や食材、酒などを地域が出し合い
葬式の用具作りから全ての手配をし、遺族は故人と向き合って過ごしたそうです。
生活様式と共に、葬式がその地域の手から次第に葬儀社の手に変わってきた時
「大事な家族を亡くして、気の毒に。これから大変だ。
こんな時だから、せめて線香代や花代の足しにして」と
人々が弔意を表したのが一般的な【香典】になったと聞いています。

その気遣いが日本の葬式では今も続いています。
人の気遣う気持ちをお金に換えて頂くので
それにお礼をする【振る舞い】もずっと続いています。

そして【香典】の力は確かに葬式の費用に大きな働きをかけています。

例えば 簡単な概算ですが
葬式への参列者が総勢50人なら
葬儀社が扱う式典費用・・40万
飲食費用・・・・・・・・20万
返礼品費用・・・・・・・15万
車両費用・・・・・・・・11万
火葬費用・・・・・・・・・1.7万円

合計・・・・・・・・・・87.7万円

香典総額(7千×50人)・35万円
(全国の香典平均額は1人7千円と言われています
親族分もこの中に含まれての平均です)

以上の同じ条件で、参列者が100人、200人の場合も計算してみると

遺族の負担額は
参列者50人の場合・・・・・52.7万円
参列者100人の場合・・・・40.7万円
参列者200人の場合・・・・16.7万円

となってきます。

ここでは表に出来ないので解りにくいと思いますが
この費用負担減は、ほぼ間違いありません。

香典の仕組みはよく考えられているな、と
私自身は思っています。
だからお別れしたい人には来てもらった方が
故人も遺族も参列者もそれぞれの気持ちが尊重されていいと
いつも解説をしています


どちらにしてももっと葬儀をシンプルに!とお考えなら
【祭壇】【料理】【返礼品】をやめて
その代わりに【香典】も頂かない、
でも故人とのお別れには是非来てやってください

そんな形はいかがですか?
直葬と違うのは、通夜や葬儀告別式はあって
縁のあった方が自由にお別れできるところです。


【香典】は頂かない。
【振る舞い】は今まで通りにする
のでは「思いの一方通行」になってしまいます。
また、遺族の負担が大きくなって
人を呼べない葬式しか出来なくなる家庭も出てきますよね。