認知症診療に取り組む医師の対談記事の中に「好かれる認知と嫌われる認知症」と書かれていました。
まだ研究中としながらも
認知症になってもよく笑い、家族も嬉しそうに見つめている幸せそうな方がいる。
家族が認知症になり「できなくなってしまったこと」ばかりに注目してしまい大切な父や母であることを見失う場合もある。
その違いは、それまでの人間関係が影響しているのではないか、と解説をされています。
これを読んで、私にも思い当たることがあります。
私の母は、父を亡くしてから子供たちを恨んでいた時期があり、認知症になるにつれて「言葉使い」や「顔つき」が険しくなり私たちも母に恐怖さえ感じた事があります。
老人ホームに入所し、私達家族や優しい介護スタッフの方との接触が増えるとともに、穏やかさを取り戻してきました。
その後の認知症を理解した環境が実母を変えてくれたのだと思います。
主人に認知症の気配が見えたのは一カ月半の入院を終えた頃からです。
もともと人付き合いが悪く思いやりが出にくい人で、嫌われキャラを自負しているタイプでした。
私も時として言い方や態度がきつくなり、ギスギスすることもありました。
その主人が物忘れが多くなったせいか、攻撃の原因を覚えられなくなった様子です。
以前をよく知る周囲の人からも「角が取れて丸くなったみたい」と言われるような変化です。
顔色を伺いながら対応していた私も、肩ひじ張らずに笑いながら過ごす時間が増えました。
主人の変化で人間関係が良好になり、私も残されている機能をポジティブに捉えられるようになりました。
対談の中で医師はこんなことを言っていました。
「病気でなくても気分がふさいでいれば病的」
「逆に病気をいくつも抱えていても自分の身体とうまく折り合いをつけながら生活することができれば健康的」ということができる。
この考え方をポジティブヘルスといいます。
認知症は年齢が一番の危険因子で誰もがかかりうる病気です。
最も大切なのは「認知症の人」として区別しないこと。軽度の認知症患者さんの言動は健康な人と少しも変わらない。
なるほどね・・・ と感じました。