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ニッポンのゆる~い日常

尖閣の地に勇気ある教科書改革

2011-08-25 09:04:44 | 正論より
8月25日付      産経新聞【正論】より



尖閣の地に勇気ある教科書改革     拓殖大学客員教授・藤岡信勝氏


http://sankei.jp.msn.com/life/news/110825/edc11082503190001-n1.htm



 沖縄県石垣市。エメラルドグリーンの美しい海に囲まれた日本最南端の観光・文化都市である。市は尖閣諸島を管轄しており、昨秋の中国「漁船」衝突事件で一躍、有名になった。その石垣市が今、教科書採択問題で揺れている。
 


 ≪「保守」市政の誕生が発端≫


 4期16年も続いた「革新」市長が昨春の選挙で敗れ、「保守」市政が誕生したのがことの発端だった。中山義隆新市長は、現職の高校校長の玉津博克氏を教育長に任命し、その玉津教育長が教科書採択手続きの改革に手を着けた。

 教科書の採択は教育委員会の権限だが、法律は複数教委にまたがる共同採択地区の設定を認めており、各教委の代表から成る「採択協議会」を設置し、そこで1種類の教科書を選ぶとされている。

 沖縄県は6つの共同採択地区に分かれている。その一つ、八重山採択地区を構成する自治体は石垣市(4万9千人)、竹富町(4000人)、与那国町(1600人)の1市2町である。人口では石垣市が9割を占めているが、協議会委員は3つの自治体から同数の委員が選ばれる。悪平等である。

 3市町を、首長の政治姿勢で色分けすると、石垣市と与那国町は保守、竹富町は革新である。石垣市の玉津教育長は、八重山地区採択協議会の会長でもある。玉津会長は、2つの改革を推進した。


 第一は採択協議会の委員構成の変更。従来の委員は3市町の教育長(3人)、担当課長(3人)、事務局より担当職員(1人)、会長の属す事務局から補助職員(1人)、保護者代表(1人)の計9人だった。協議会の委員は、教科書採択について教育委員と同等の決定権を持つ。その委員に担当課長や担当職員、補助職員まで入れていたとは驚きを禁じ得ない。




 ≪委員構成変更と順位付け廃止≫


 6月27日、八重山採択地区協議会は規約を改正して、委員を、3市町の教育長(3人)、3市町の教育委員(3人)、八重山地区PTA連合会代表(1人)、学識経験者(1人)の計8人とした。職員を外して教育委員を入れ、学識経験者を加えたのである。極めて常識的な改善であり、他県のどこにでも見られる構成となった。

 第二は調査員(現場教師)による順位付けの廃止だ。平成2年の文部省通知は、「教職員の投票によって採択教科書が決定される等採択権者の責任が不明確になることのないよう、採択手続きの適正化を図る」よう求めている。にもかかわらず、八重山地区採択協議会の報告書の書式には「採択調査員」、「採択教科書名」、「採択理由」とあり、調査員は1社絞り込みの答申を出し、それ以外の教科書が採択される余地は全くなかった。文部省通知に反する事態が長年放置されていたのである。

 こうした中で県教委の不当介入事件が起きる。8月3日、教育事務所を通じ、「協議会メンバーに校長・三市町教委指導主事を新たに追加すること」を求めてきた。教員出身委員の比率を高めて、保守系の教科書の採択を阻止するという狙いだった。左翼グループが宣伝してきた戦術を、公権力を使って実行に移したのである。




 ≪県教委の介入を全面的に拒否≫


 採択協議会は、8月9日に3教育長から成る役員会、翌日には総会を開き、県教委の介入を全面的に拒否した。一連の会議で、最も原則的な主張を展開したのは与那国町の崎原用能教育長である。

 崎原教育長は「現場の先生の言いなりで(協議会の)組織が形骸化、旧態依然としていた」と、従来の教科書選定プロセスを痛烈に批判し、「教育長も(教育委員会職員の)指導主事も委員に入った場合、2人の意見が別々では仕事ができない」と述べた。教育長と部下の職員が対等の資格で一票を投じる委員になるなど、行政組織の指揮命令系統の破壊である。こんなやり方が長年行われてきたことこそ糾弾されて然るべきだ。


 8月22日、玉津教育長は記者会見し、平成17年に県教育庁義務教育課が出した通知の存在を明らかにした。それには「『一種絞り込み』を是正すること」と明記されていた。県教育庁義務教育課の狩俣智課長は産経新聞に対し、「1社絞り込み」について、「それも一つの決め方だ」と容認する認識を示していたが、文科省の通知とも過去に自らが発出した通知とも矛盾する観点から、恣意的指導を行っていたことになる(23日付産経新聞)。沖縄県教委の「指導」の問題点については国会でも質問があり、文科省が調査し国会に報告することになっている。

 注目の八重山地区採択協議会は23日に、規約通り8人のメンバーで会議を開き、非公開、無記名投票によって教科書を採択した。この結果を承認する教育委員会は石垣、与那国で8月26日、竹富では29日に開かれる。このうち竹富町の慶田盛(けだもり)安三教育長は今回の採択に先立ち、保守系の教科書が選ばれても竹富町教委は承認しないと広言している。まだまだ波乱は続きそうだが、日本最南端の採択地区で行われた勇気ある改革は今後、沖縄の教育のあり方を大きく変える端緒になるかもしれない。(ふじおか のぶかつ)












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中国船領海侵犯 法の不備が見透かされた

2011-08-25 09:00:52 | 支那(中国)
中国船領海侵犯 法の不備が見透かされた


http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110825/plc11082503210001-n1.htm



 中国の漁業監視船が沖縄・尖閣諸島周辺の日本の領海内に侵入した。日本の政権移行期を狙った挑発行為といえる。外務省が中国大使を呼んで抗議したのは当然として、さらに対抗措置も検討すべきだ。

 海上保安庁の巡視船が退去を求めると、監視船は「周辺諸島は中国固有の領土である」「中国管轄海域で正当な公務を行っている」などと応答し、同じ内容の電光表示盤も掲示していたという。2隻のうち1隻は、巡視船の警告を無視して再度、領海に侵入した。明らかに計画的な領海侵犯である。

 中国監視船が尖閣諸島の接続水域内で確認されたのは、昨年9月の中国漁船衝突事件以降12回目で領海侵犯は今回が初めてだ。

 国を守る意識が乏しいうえに、「死に体」化している菅直人政権につけ込み、行動をエスカレートさせ、既得権益を確保する狙いがあるのだろう。

 だが、領海侵犯に対し、日本の現行法では退去を要請することしかできない。国連海洋法条約は領海内の「無害でない通航」を防止するため沿岸国が必要な措置を取れるとしているが、日本はこれに沿った法律を作らなかった。領海侵犯した外国船を速やかに拿捕(だほ)したり、強制的に排除したりできる法整備が急務である。

 中国公船による領海侵犯は、平成20年12月に中国海洋調査船2隻が同じ海域の領海内に9時間とどまって以来だ。中国の調査船は今年6月、宮城県沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内でも、違法な調査を行った。

中国の監視船や調査船もただの船ではない。シートの下に機銃を隠している監視船もある。いずれも中国海軍と密接に連携しており、厳重な警戒が必要だ。

 一方、衆院決算行政監視委員会は、尖閣諸島への上陸視察の検討に入った。尖閣諸島の有人利用に関する情報収集のためだ。与党側は慎重姿勢だが、自民党の新藤義孝委員長は「視察すべきだ」と主張している。

 尖閣諸島の魚釣島など4島は政府が所有者から土地を借りて管理し、日本人でも上陸を認めない方針を取っている。だが、昭和54(1979)年5月、当時の沖縄開発庁が学術調査を実施した前例もある。尖閣諸島の実効統治を強化するために、必要な調査は行うべきである。

2011.8.25 03:20












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