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ニッポンのゆる~い日常

「のらりくらり、じわじわと北の核が真綿で日本の首しめる」

2018-02-03 00:12:12 | 正論より
【神戸「正論」懇話会詳報】


「のらりくらり、じわじわと北の核が真綿で日本の首しめる」


同志社大前学長の村田晃嗣氏


http://www.sankei.com/west/news/180202/wst1802020069-n1.html



神戸市中央区の神戸ポートピアホテルで1月31日に開催された神戸「正論」懇話会の第3回講演会で、同志社大前学長で教授の村田晃(こう)嗣(じ)氏が「東アジア情勢と日米関係」と題して講演した。主な内容は次の通り。



 まず、われわれが今どういう時代に生きているのかを考えたい。今年は明治維新から150年にあたるが、これから日本の人口は30年間で約2700万人が減少する。しかも、戦争や疫病ではなく、自然減するとみられる。自然減でここまで人口が減少した国は歴史上ない。つまり、日本は人類史上、未曾有(みぞう)のチャレンジに直面している。四国の人口が約450万人なので、四国が計6回なくなるということ。これが、明治維新150年の日本の現実だ。


 さて、今年はどうなるのか。日本は米国の政治の変化に、どう向き合っていくかが問われている。今年11月には、米国で中間選挙が行われる。現在は上院・下院ともに共和党が民主党を上回っているが、共和党が負ければトランプ政権は大打撃を受け、トランプ氏は残る2年間をレームダック(死に体)として過ごすことになる。そうなれば、北朝鮮政策どころではなくなるだろう。


北朝鮮が核・ミサイル開発を続けるなか、米国側が北朝鮮に軍事行動を起こせない理由を考えたい。朝鮮半島で戦争が起きれば、100万人が死亡するといわれているが、韓国には米国人20万人、日本人7万人、欧州系の人が何万人と暮らしている。有事の際に民間人の退避行動が取れるのか。



 日本はそもそも退避計画すらないが、大規模かつ周到な計画がないと無理だ。また、日米で退避計画を作れば、北朝鮮を刺激することになる。よほどの覚悟がない限り、米国から攻撃は仕掛けられない。


 北朝鮮は今年ものらりくらりとミサイルと核兵器の開発を続けるだろう。北朝鮮は韓国と日本を同時に攻撃できる能力を保有している。今は20発の核弾頭を持っているとされるが、40~50発になるとイスラエル(と同レベル)になり、90~100発になればパキスタンになる。じわじわと北朝鮮の核開発が進み、真綿で首を絞められるように日本の安全保障は非常に厳しい状況になる。


 北朝鮮の核開発だけでなく、中国の軍拡、ロシアの動きも不透明だ。そんななか、日本はGDP(国内総生産)の1%程度の5兆1千億円の防衛費でどう対応するのか。米国が持つ人工衛星や原子力空母などの安全保障機能を、日本が自前で保有しようとすれば、現状の5倍近くの23兆円が毎年必要になる。


世の中には「自分の国は自分で守れ」といった意見があるが、果たしてそれは現実的か。日本はミサイル防衛システムを導入しているが、北のミサイルを全て打ち落とすのは困難だ。だからこそ、北の攻撃に反撃できるという抑止力になる敵地攻撃能力を持つかどうかを、真剣に議論すべき時期にきている。



 また、尖閣諸島(沖縄県)を守るために何が必要かを考えないといけない。海上自衛隊が自衛権を行使する事態になる前に、中国との戦争を避けるため海上保安庁が警察力の行使で守りきれるかどうかが大切だ。

 ただ、海保の予算は2100億円でこれは東京大学の年間予算よりも少ない。これで尖閣諸島を含めて日本にある6千の島を守れといっても無理だ。海保の予算を倍増させるといった覚悟が必要。

 口先だけの愛国心による国防論は意味がない。防衛予算をつけない国は必ず滅ぶ。観念的な国防論は終わりにしよう。北朝鮮の核開発など日本を取り巻く緊迫した状況をきちんと認識し、数字に裏打ちされた大人の安保が必要だ。

2018.2.2












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