二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

スポーツ栄養学 学術講習会 ②

2011年02月25日 | スポーツ障害
2月19日(土)に開催された、石川県針灸師会の学術講習会への参加報告、続きです。

講習会の中で印象に残ったことを書いておきたいと思います。講師の中崎さんの話に私の意見もブレンドだれていますので~ヨロシク

●スポーツ栄養に関しては、国際オリンピック委員会(IOC)、日本オリンピック委員会(JOC)なども合意声明を出してスポーツ選手の栄養に関する基準を決めている。

●コンディションを調整するとは=より良い食生活を行うこと。

●また、よいコンディションをづくりは、栄養-運動-休養がバランスよく正三角形になることが理想である。

●食事で摂取する栄養素には、糖質(炭水化物)、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどがあり、それぞれに、体のエネルギーをつくる原料となったり、筋肉や骨など体を形作る原料となったり、その働きを助けたり、あるいは、働くべき道を示したりと、さまざまな働きがある。

●意外に栄養として見落としがちなのは「水」である。栄養素としてではなく、様々な反応の場は水無くしてはできない。水無くして体の中には入らない。人の体は60%が水である。いい水をとることは大切。これが生野菜の中には野菜自体が持つ水と、体の中に入って触媒として働く酵素が多く含まれている(48℃以上の熱を加えると、生野菜の中に含まれる酵素は死滅するらしい)。

●自分の食事のバランスをしっかり知ること。そして正しい知識を得て実践することが大事。

●五大栄養素にしても、一つだけ栄養素をとっていればいい!というようなことはない。全体の一部として働くだけである。機能性健康食品や巷にあふれる「これを食べると…」ということにも当てはまる。

●調理方法は、一つに偏らず、いろんな方法で調理したものを食べる。

●まずはエネルギーとなる主食をしっかり食べることが大切。

●メニューでは、主食(ごはん、パン、麺類など):主菜(肉、魚、卵、大豆製品など):副菜(野菜、きのこ、いも、海草など)のバランスは、3:1:2がいい。

●体格づくりには、タンパク質摂取が重要となる。だからプロテイン(粉末)を摂取すれば体が大きくなるか…というと、それは「ノー」である。体を動かした分、タンパク質が必要となり、次の運動に備えるため、筋を修復し、筋を増量するのであって、プロテインを飲んだからといって、筋肉がついて体が大きくなるわけではない。実際の科学的データもある。



●IOCの調査でも、日本でも行ってもそうだと思うが、現在において、タンパク質が不足している選手というのはほぼいない。いかにバランスよく栄養を摂取するかということである。野菜や果物、炭水化物をしっかり摂取する。

●栄養摂取の効果的なタイミングは、練習後30分以内と言われている。ゴールデンタイムとも言われている。練習後、トレーニングによって傷ついた筋肉を早期に修復し、足りなくなったエネルギーを早く補給して、筋肉の貯金を早目に増やしてあげると、効率よく疲労なく筋肉が大きくなり、疲れにくくスタミナのある筋肉になる。炭水化物とタンパク質を同時に摂取することが望ましいとも言われている。

●しか~し、それにこだわることもなく、翌日、練習がオフであったり、軽く体を動かす程度であれば、その筋肉修復、再生に必要なエネルギーを一日かけて補ってあげればよく、30分にこだわることもないということも分かっている。

●ビタミン、ミネラルも重要な栄養素。エネルギーをつくる、体を大きくする時には、これらが欠乏していては、まったく三大栄養素が働かない。

●また、激しいトレーニング、きついトレーニングというのは体の負担やダメージが大きい。それは全身に及ぶ。活性酸素が多量に出るということ。その処理にもビタミン類が必ず必要となる。

●骨の新陳代謝、筋肉の収縮・弛緩などにミネラルは欠かせない。神経の伝達や細胞内外の呼吸にも必要不可欠。その需要も高まるわけだからミネラル摂取も不可欠。野菜や果物をたくさんとる。

●シュートケーキ一個は、おにぎり3個分のカロリー
 (先日テレビで、フランスで日本のショートケーキが人気だと聞いた
  スポーツとは関係ないけど…

●スポーツ選手(トップアスリート)は栄養に関する意識が高い。水泳の北島選手、男子体操の米田選手、水球の長沼選手など、その他、多くの選手の栄養に関する言葉をパワーポイントで示された。自分の体の声を聞き、身体感覚が優れているというのはトップアスリートに共通しているが、「食」にも同じことが言えるのだと感じた。

●県内の高校選手でも、正しい知識と、常に意識して、食事に取り組んでいる子どもたちもいる。正しく指導されることも必要だし、それを素直に、自分で工夫して行うことも大事。良い成績をおさめる選手は食事もそれなりの食事をしている。

●スポーツ選手(学生)のお弁当は、まず主食であるご飯と、主菜と副菜は分けることがベター。それだけエネルギーの元となる炭水化物(糖質)をとれということ。そして、分けた弁当箱の主菜が3分の2、副菜が3分の1がベター。

●もし摂取量を増やしたいなら、弁当箱自体を大きくする。出来る限りバランスは変えないようにする。

●一日タンパク質の摂取量が体重あたり~kg、これが~kg、というスライドもあったが、これはこれで研究という観点からは把握しておくことが大切ではあるが、指導する時にはあまり役立たないと思う。「こんなメニュー」という具体的な写真などがあると分かりやすい。今回も何枚か見せて頂いた。

今回は、講習会の時間が1時間30分と短かったため、栄養学の基礎的なものを教えて頂きました。私も最近は栄養に関して勉強を始めているので、いい刺激となりました。

調度、講習会の何日か前に、Numberという雑誌にトップアスリートの栄養に関しての特集が組んでありました。何はともあれ、どんな選手も食に何かのこだわりがあるな、と思いました。

他の本などを読んでの見解としましては、トップアスリートは基本的に「食べたいものを食べる」のだと思いました。ということは、おそらく内部感覚というか、身体感覚で、自分の食べるべきものが分かっているのかな~とも思います。自分に必要な栄養を知っているとでもいいましょうか。

自分が調子が悪い時、年齢との勝負をしている選手などは、さらに栄養や食を重要視しています。自分でやらなくても、奥様が栄養について勉強され、料理をつくっている方もプロの世界ではたくさんおいでになります。

今回の講習会で、講師の中崎さんと激論をしたかったのは牛乳の摂取というもの。私の質問で最後の方に、ちょっとリップサービス的に「激しい運動を行うスポーツ選手には必要なのかも…」と話しましたが、診療においては、牛乳を全く食品としてはすすめていません。逆に「飲まなくてもいいよ」と言っています。学校給食からなくなってもいいとも思っています。

その理由を書くと、さらにさらに長くなってしまうので、やめま~す

スポーツ栄養学も含めた、本当の健康な食とは、ここのところを私自身、もう少し勉強していきたいと思っています。

いや~長くなった 

二葉鍼灸療院 田中良和
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スポーツ栄養学 学術講習会 ①

2011年02月25日 | スポーツ障害
2月19日(土)、診療を午後2時まで行い、石川県針灸師会が主催の学術講習会に参加しました。

会場は車で約40分くらいでしたが、天気がよく白山がキレイに見えて、 道中、気持ちが良かったです。




 北陸体力科学研究所 ダイナミック 入口

☆ 石川県針灸師会 平成22年度 学術講習会 ☆

  日 時:平成23年2月19日(土)  午後2時~4時
  会 場:北陸体力科学研究所(スポーツコミュニティー ダイナミック)
          3階 会議室  小松市八幡イ13番地
  演 題:「スポーツ栄養学について ~食で差がつく! 食で勝つ!~」
  講 師:中崎衣美さん (〈財〉北陸体力科学研究所 管理栄養士・公認スポーツ栄養士)


この北陸体力科学研究所のスポーツ施設ダイナミックは、私が星稜高校野球部の時に何度か体力測定やトレーニングでお世話になったところでした。懐かしいな~なんて思ってました。
エアロビを素敵なインストラクターお姉さんに教えて頂いたこと印象的に覚えてま~す。しっかし、坊主頭が揃ってエアロビしてるんですから圧巻ですよね

お隣には、「やわたメディカルセンター」があり、2001年にオープンしたそうですが、中に入ったところ、病院じゃないような…病院内は本当にキレイで、明るかったし、掃除が行き届いていました。ここも少し勉強になったな~(私の壮大な目標のために)。


さて、講演の内容について。

「食」というのは言わずとも知れていますが、スポーツ選手に限らず、どんな人にも欠かすことのできない一日の行動です。体をつくる、あるいは動かすためには栄養をとらないといけないのですからね。自分の体の中で栄養素が作ることができればいいのですが…

今回の講演は、スポーツ栄養学を中心とした栄養学の基礎的なお話と、食事の具体的なメニュー、そしてトップアスリートはスポーツと栄養をどう考えているのか、などを中心に話して頂きました。中崎さんがおそらく学生を中心に指導されているからだと思いますが、具体的内容は、学生のスポーツ選手の話が中心となっていました。


 講師の中崎さん 学生の頃はバドミントンをやっていたとか

中崎衣美さんは、
管理栄養士であり、北陸体力科学研究所に所属されています。また「公認スポーツ栄養士」でもあります。
この「公認スポーツ栄養士」というのは、(社)日本栄養士会と(財)日本体育協会が共同で認定を行うものです。より高いパフォーマンス、傷害のない身体づくりのために、スポーツ選手を”栄養”という面からサポートするスペシャリストであることを認めたものですね。どこの認定もそうですが、認定取得者は、常に学習し研修する必要があります。責任であり、使命ですかね。それが認定というもの。だから価値があるのです。私も認定鍼灸師ですが、そんな向上心あふれる人の講習会を聴けることは嬉しいことです

栄養「食」もトレーニングの一つ。このことはスポーツ栄養学というものがクローズアップされてきた頃から言われてきたことです。それはそうです。普通に日常生活を送る人の何倍も体を使うわけですから、それなりの栄養補給が必要です。需要と供給ですね。

ここで注意しておきたいのは、これはあくまでもスポーツ選手の食事であるということです。中には健康を維持していくための参考になることはあると思います。しかし、限界までトレーニングしたり、キツイ練習を連日行うスポーツ選手の「食」と普通の人の「食」は違って当然なのです。
そして、スポーツと言っても、レクリエーションや楽しむために行うものから、今回の話の中心である技術を競い合うアスリートとして行うものまで幅広くあります。
繰り返しますが、アスリートの食事=普通の人が健康になる食事とは短絡的に考えないでくださいね。当たり前かもしれませんが、その環境や状況によって、その人に必要な栄養のバランスや量は違うのですから。

スポーツ選手、ことに私も小学生から高校生(時々、大学生)のスポーツ選手の治療をさせて頂いています。「食」についての話を診療の中で行うと、栄養に関する認識は低いと言わざるを得ません。何でも食べることのできる、必要であればすぐに手に入る日本(先進国)だからこそ、その栄養について考え、意識し、そして感謝することが重要なんですね。これは成長期のスポーツ選手に限ったことではないでしょう。

そこの基本があってのスポーツ栄養学だと思います。

そして、スポーツを行う本人、食事の準備をして頂くお母さん始め家族の方、また寮などで食事を準備して頂ける方、チームスタッフ、指導者の方が、同じ認識を持って頂ければ、選手たちにも「食」に対する自覚が生まれてくるんだろうと思います。

「食」と言っても、それぞれの家庭環境でできることと、できないこと、があります。何でも無理して、「これじゃないといけない」と言うんじゃなしに、環境が許す範囲で、スポーツ栄養の知識と意識を持って「食」を考え、食すことが大切だと感じます。

なんか、講演内容に入っていないのに、自分のスポーツ栄養に関する考えを述べてしまいました。ちょっと長くなりましたので、パート②では、内容を少しお話したいと思います。

二葉鍼灸療院 田中良和
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シンスプリントについて

2008年03月05日 | スポーツ障害
当院は野球選手が多く来院しますが、最近はサッカー、バスケットボール、クラッシックバレー、ハンドボール、バレーボールなど多くの若い選手たちが痛みを訴えて来院します。様子を見ていると、このところ多い疾患が”シンスプリント”です。

『シンスプリント shin splints 』
日本整形外科学会篇『整形外科学用語集』によると「過労性脛部痛」とされており、一般的には、運動および運動後に、下腿の中下1/3の脛骨(shinとは、むこうずね のこと)内側部に慢性的な疼痛が出現し、また同部に圧痛があるものとされています。

ランニングやジャンプを行う全ての競技によく見られるスポーツ障害の代表の一つです。この他に下腿に痛みが起こるスポーツ障害は、脛骨疲労骨折や慢性コンパートメント症候群などがあります。

発症年齢は、運動量が格段に増加する高校に入ってからが多いようです。高校に入るとほとんど毎日が今まで経験したことのないハードな練習となります。体の使い方が上手くできないと下肢にかかる負担はさらに増すものと思われます。さらに基礎体力作りの時期でもありますので、筋肉、その付着部、そして骨などには強い負荷がかかってきます。

≪病 因≫
・ランニングやジャンプ動作により足関節を底背屈しますが、その際、この動作に関わる、ヒラメ筋、長趾屈筋、後脛骨筋、深下腿筋膜の伸張による引っ張り張力が機械的な反復刺激となり、脛骨内側中下部に炎症を起こすと考えられます。
・足のアーチの低下(偏平足)や回内足、脛骨の内反などの身体的要因
・練習時間や練習量などの問題
・グランドや体育館などの地面や床の状況
・シューズの問題
・他の部分の痛みや、違和感を我慢してかばっての運動継続

≪症 状≫
・運動量の増加に伴い、運動時や運動後に脛骨の中下1/3内側後縁の疼痛。
・その部分を押さえると圧痛が強い。
・慢性の難治例では膨隆が見られることがある。
・多くは慢性化し、上級生やベテランでも走ると痛い、押すと痛いという症状を持っていることが多い。
・足底腱膜炎、アキレス腱炎を併発していることもある。
・~Walshらによる疼痛ステージ分類~         
 ステージⅠ:運動後にのみ疼痛あり
 ステージⅡ:運動中に疼痛はあるが、スポーツ活動支障なし
 ステージⅢ:運動中に疼痛あり、スポーツ活動に支障あり
 ステージⅣ:安静時にも慢性的な持続する痛みあり     

≪診 断≫
・整形外科では、Ⅹ線、骨シンチグラム、MRI検査などを行う。
・上記の示すような場所に症状と圧痛があればシンスプリントであると思われる。
・シンスプリントの延長線上に疲労骨折があるかないかはハッキリしませんが、下腿や足の様々な部位に起こる疲労骨折とシンスプリントは関連はあるとは思われまる。
・足を地面についただけで痛む場合、あるいは脛骨の中央や内くるぶしに運動痛や圧痛が強い場合は、整形外科で一度診察して頂いたほうが良いと思われます。疲労骨折があったり、跳躍型の疲労骨折では慢性化、悪化しやすい場合もあるからです。

≪治 療≫
・まず、運動量を減らすか、または、ランニング、ジャンプなどを休止して頂きます。中にはチームの関係上どうしても練習を続けながら…という場合もありますが、治りは遅くなりますよ
・急性期(強い炎症期)には冷却。
・上記ステージⅢくらいの状態であれば、早期に対処すれば治りが早いと思われます。ほとんどの選手が出来る限りギリギリまで我慢して練習しています。少しでも痛みが回復するとすぐにでも練習に入りたい勢いです。回復してきたら徐々に運動量を増やしていくことが大切でしょう。
・身体を診ながら、なぜ痛みが起こったのかを理解してもらい、身体のバランスをみていきます。以外に足関節や股関節が硬く動きが悪かったり、姿勢が悪かったり、上半身と下半身が連動して上手に使えてなかったりしますので、その辺りを診ながら全身調整の鍼治療を行い、局所の鍼治療とパルス通電、関節のストレッチ、適宜テーピングなどを行います。
・痛みの状態にもよりますが、はじめは週2回か3回、その後徐々に治療間隔を伸ばしていき、1ヶ月あれば良い状態になってきます。
・治療の間に、姿勢の大切さ、身体感覚や重心の考え方、走り方など痛みの原因の一要因と思われるものを選手と一緒に考えていき、ケガのしにくい体を目指していきます。
・圧痛などは両足に反応が出ていることが多く、治療はほとんどの場合、両足に行います。

骨・筋肉ともに伸び盛りで、まさに筋肉が発達する、あるいは身長も伸びる成長期の選手は、様々な場所に負荷がかかりやすいようです。ことに練習量が多くなった時期や、ランニング、ジャンプなどの基礎練習が多くなった場合には発症の割合が高くなるのでしょう。

予防には、下肢の筋力強化と、ウォーミングアップ・クールダウンの徹底、痛みのある場合は早めのアイシングなどです。楽しく、全力でプレーするためには、自分の身体もしっかり見つめてあげることが大切であるし、ケガをしたら何が原因なのかしっかり把握することも大切でしょう。

頑張れ 明日を担う若きアスリートたち
コメント (27)
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