4月21日(水)、酔耀会がありましたので参加しました。
この日より新たな酔耀会のメンバーが参加しました。今年から、金沢医療技術専門学校(アイシス)に教員として明治国際医療大学卒業後に赴任し、生徒を教える立場になった太田先生です。
神戸出身のなかなか明るく熱心な先生です。関西人ですから、トークも軽快
この雰囲気を醸し出せるのが、私には羨ましい~って感じですね。
これから、また、切磋琢磨していきたいと思います
☆内 容
・症例報告
【石田先生】
60歳 男性 主訴は「下腿前外側の痛み」。病院での診断では「脊柱管狭窄症」。間欠性破行あり(10分ほど歩行すると痛みが出現)。痛みが出ている患部と、腰部へ鍼灸治療を試みる。そこに脈診による本治法も行い経過を観察。本年の3月はじめから10回ほど治療を行うが、なかなか痛みとシビレがとれないという症例でした。まず脊柱管の狭窄があっても治る可能性があるものと、難しいもの、いわゆる、治療に対する適応・不適応を見分けなければいけないという意見がありました。また、整形外科で診断されているけれども、本当に脊柱管の狭窄が原因で出現している痛みなのか?!という質問もあり、症状を検討し、筋肉をもっとしっかり診る(トリガーポイント)必要があり、それが症状改善に繋がるのではないかという意見もありました。そうです、筋肉をしっかり診て、その場所、方向、深さなどもしっかり把握できると痛みに関する疾患の改善度が増すのです。
・筋肉を触診しよう!(実技)
【粟 先生】
今月から新しく開始するコーナーです。粟先生と豊島先生がある本を見て、また日頃の臨床などの話の中から、「筋肉がどのくらいの深さで、どのような形で付着しているなど、本当にしっかり筋肉を触診できているだろうか?」という話になり、「体表の筋肉でも鍼灸マッサージ師でしっかり触診できる人がいるか?自分たちは?」との問題提起から、今月より筋肉触診の実技を行うことになりました。筋肉の起始・停止部分での筋肉の形状や、他の筋肉との関わりなどは、以外に軽視されがちですが、整形外科疾患がどうしても多くなる鍼灸マッサージ師にとっては非常に重要なことなのです。体の正常な状態を把握することで、痛みに苦しんでいる人との違いや、治療効果を向上させるヒントが得られるんです。
本日は、僧帽筋上部・中部・下部線維を予定していたのですが、僧帽筋の起始・停止、ランドマークとなる場所の確認などを行い、いろんな体位での筋肉の変化を見ていたら、上部線維だけで時間となってしまいました。大事なことですから、粟先生にはこれから数年?!かけて筋肉に対して皆が自信をもって触診できるまで頑張って担当して頂きたいと思います。
・足のむくみに効く・水系点
【安井先生】
安井先生が所属する東洋はり医学会での例会からの情報を教えて頂きました。足のむくみ(足首周辺からふくらはぎ)に対して、腸脛靭帯の後面で大転子付近から大腿中央の間の反応点へ、鑱鍼やラッパ鍼、ヘラ鍼を使用し擦過する手技を行うものです。巨刺的な考えで行われます。それがどうしてかは分かりませんが、何かにいきづまった時の、情報としては頭に入れておいて損はないと思います。簡単な症例も2例出されていました。鍼灸治療は体を元気な状態へ戻す本来の自然修復力を高める治療です。体は摩訶不思議なものです。ですから、鍼灸治療もいろんな方法があってもおかしくありません。
・鍼灸所見の臨床的意義と客観化~六部定位脈診について~ 解説
【豊島先生】
第55回全日本鍼灸学会 金沢大会のシンポジウムで行われたものを、小川 卓良 先生の論文を中心に解説、自分が考えていることを発表して頂きました。小川先生の脈診との出会いや脈診で本当に体の状態が分かるのか、脈診は有用性があるのか、脈診の検証はどするのか、経絡治療論争について、などを解説。豊島先生自身は脈診はするが、それを主にした治療は行っていないが、時として、経絡治療的観点で治療を行ったときに著効を示すこともあり、その辺りで脈診というものをどう捉え、活かしていったらいいかという話でした。脈診は理論を求めるのでなく、有用性を求めることが必要、脈を診ながら診察することが非特異的効果を増長する(スキンシップ・手当て)、脈状診は病態の把握に有用であり、六部定位脈診は、本治法の経穴(ツボ)を選ぶのに便利、と結んでいます。鍼灸治療の世界は科学的根拠で全て説明するのは難しいので、患者さまがどう改善するかという観点が大切です。しかし、科学の進歩は目覚ましく、その部分へも目をやっていないと、鍼灸治療は世の中に広がっていかないのも現状です。要はバランス感覚です。
・鍼灸医療の現状について~報 告~
【田中良和】
先日、名古屋の師匠のところに行った際のお話をさせて頂きました。平成21年度厚生労働科学研究費補助金特別制度「漢方・鍼灸を活用した日本型医療の創設のための調査研究」という、厚生労働省による統合医療推進のための「統合医療の科学的検証」が始まっております。国際医療福祉大学大学院の黒岩教授を中心としたチームで行われており、本年、2月25日に長妻厚生労働大臣へ提言書が提出されました。この提言書を提出するにあたり議論が行われたようですが、このメンバーに鍼灸学術団体、鍼灸大学等、鍼灸師は一人も入っていません。まったく蚊帳の外に置かれています。これが医療の中の鍼灸師の現状です。これを理解しておかないといけないし、それに対しどう対処していくか広い視野でものを観ていないと、鍼灸医療はたいへんな状況になる可能性がありますよということです。東洋医学研究所所長、生体調整機構制御学会の名誉会長である黒野先生は即座に対処されました。インターネットでもニュースで出ていたので知っていましたが、「君はこれをどう考え、どう対処したんだ?」「そんな低い認識でいいのか?」という教えを頂きました。酔耀会の若い先生方に現状を知って頂き、そこから新たな何かが生まれればという思いで報告させて頂きました。
毎月、第三水曜日は、深夜まで勉強の情熱が続くので、翌日、寝不足になるんですよね。でも、気持ちは引き締まっているのでした
≪学問の真髄≫
”学問の「学」とは先見の残した教えを今に比べ合わせることであり、「問」は師や友に問いただすことであるというのは、誰でも知っている。しかし、「学」といって、これを必ず我が身をもって実行し、「問」といってこれを必ず我が心をもって反省するという人は、果たして何人いるだろうか。” 『言志四録』より
よき仲間とこれからも切磋琢磨して、人間として、鍼灸師として向上し、一人も多くの患者さまに笑顔と健康な人生を送って頂きたいと常に願っているのが酔耀会のメンバーなのでした
二葉鍼灸療院 田中良和
この日より新たな酔耀会のメンバーが参加しました。今年から、金沢医療技術専門学校(アイシス)に教員として明治国際医療大学卒業後に赴任し、生徒を教える立場になった太田先生です。
神戸出身のなかなか明るく熱心な先生です。関西人ですから、トークも軽快
この雰囲気を醸し出せるのが、私には羨ましい~って感じですね。
これから、また、切磋琢磨していきたいと思います
☆内 容
・症例報告
【石田先生】
60歳 男性 主訴は「下腿前外側の痛み」。病院での診断では「脊柱管狭窄症」。間欠性破行あり(10分ほど歩行すると痛みが出現)。痛みが出ている患部と、腰部へ鍼灸治療を試みる。そこに脈診による本治法も行い経過を観察。本年の3月はじめから10回ほど治療を行うが、なかなか痛みとシビレがとれないという症例でした。まず脊柱管の狭窄があっても治る可能性があるものと、難しいもの、いわゆる、治療に対する適応・不適応を見分けなければいけないという意見がありました。また、整形外科で診断されているけれども、本当に脊柱管の狭窄が原因で出現している痛みなのか?!という質問もあり、症状を検討し、筋肉をもっとしっかり診る(トリガーポイント)必要があり、それが症状改善に繋がるのではないかという意見もありました。そうです、筋肉をしっかり診て、その場所、方向、深さなどもしっかり把握できると痛みに関する疾患の改善度が増すのです。
・筋肉を触診しよう!(実技)
【粟 先生】
今月から新しく開始するコーナーです。粟先生と豊島先生がある本を見て、また日頃の臨床などの話の中から、「筋肉がどのくらいの深さで、どのような形で付着しているなど、本当にしっかり筋肉を触診できているだろうか?」という話になり、「体表の筋肉でも鍼灸マッサージ師でしっかり触診できる人がいるか?自分たちは?」との問題提起から、今月より筋肉触診の実技を行うことになりました。筋肉の起始・停止部分での筋肉の形状や、他の筋肉との関わりなどは、以外に軽視されがちですが、整形外科疾患がどうしても多くなる鍼灸マッサージ師にとっては非常に重要なことなのです。体の正常な状態を把握することで、痛みに苦しんでいる人との違いや、治療効果を向上させるヒントが得られるんです。
本日は、僧帽筋上部・中部・下部線維を予定していたのですが、僧帽筋の起始・停止、ランドマークとなる場所の確認などを行い、いろんな体位での筋肉の変化を見ていたら、上部線維だけで時間となってしまいました。大事なことですから、粟先生にはこれから数年?!かけて筋肉に対して皆が自信をもって触診できるまで頑張って担当して頂きたいと思います。
・足のむくみに効く・水系点
【安井先生】
安井先生が所属する東洋はり医学会での例会からの情報を教えて頂きました。足のむくみ(足首周辺からふくらはぎ)に対して、腸脛靭帯の後面で大転子付近から大腿中央の間の反応点へ、鑱鍼やラッパ鍼、ヘラ鍼を使用し擦過する手技を行うものです。巨刺的な考えで行われます。それがどうしてかは分かりませんが、何かにいきづまった時の、情報としては頭に入れておいて損はないと思います。簡単な症例も2例出されていました。鍼灸治療は体を元気な状態へ戻す本来の自然修復力を高める治療です。体は摩訶不思議なものです。ですから、鍼灸治療もいろんな方法があってもおかしくありません。
・鍼灸所見の臨床的意義と客観化~六部定位脈診について~ 解説
【豊島先生】
第55回全日本鍼灸学会 金沢大会のシンポジウムで行われたものを、小川 卓良 先生の論文を中心に解説、自分が考えていることを発表して頂きました。小川先生の脈診との出会いや脈診で本当に体の状態が分かるのか、脈診は有用性があるのか、脈診の検証はどするのか、経絡治療論争について、などを解説。豊島先生自身は脈診はするが、それを主にした治療は行っていないが、時として、経絡治療的観点で治療を行ったときに著効を示すこともあり、その辺りで脈診というものをどう捉え、活かしていったらいいかという話でした。脈診は理論を求めるのでなく、有用性を求めることが必要、脈を診ながら診察することが非特異的効果を増長する(スキンシップ・手当て)、脈状診は病態の把握に有用であり、六部定位脈診は、本治法の経穴(ツボ)を選ぶのに便利、と結んでいます。鍼灸治療の世界は科学的根拠で全て説明するのは難しいので、患者さまがどう改善するかという観点が大切です。しかし、科学の進歩は目覚ましく、その部分へも目をやっていないと、鍼灸治療は世の中に広がっていかないのも現状です。要はバランス感覚です。
・鍼灸医療の現状について~報 告~
【田中良和】
先日、名古屋の師匠のところに行った際のお話をさせて頂きました。平成21年度厚生労働科学研究費補助金特別制度「漢方・鍼灸を活用した日本型医療の創設のための調査研究」という、厚生労働省による統合医療推進のための「統合医療の科学的検証」が始まっております。国際医療福祉大学大学院の黒岩教授を中心としたチームで行われており、本年、2月25日に長妻厚生労働大臣へ提言書が提出されました。この提言書を提出するにあたり議論が行われたようですが、このメンバーに鍼灸学術団体、鍼灸大学等、鍼灸師は一人も入っていません。まったく蚊帳の外に置かれています。これが医療の中の鍼灸師の現状です。これを理解しておかないといけないし、それに対しどう対処していくか広い視野でものを観ていないと、鍼灸医療はたいへんな状況になる可能性がありますよということです。東洋医学研究所所長、生体調整機構制御学会の名誉会長である黒野先生は即座に対処されました。インターネットでもニュースで出ていたので知っていましたが、「君はこれをどう考え、どう対処したんだ?」「そんな低い認識でいいのか?」という教えを頂きました。酔耀会の若い先生方に現状を知って頂き、そこから新たな何かが生まれればという思いで報告させて頂きました。
毎月、第三水曜日は、深夜まで勉強の情熱が続くので、翌日、寝不足になるんですよね。でも、気持ちは引き締まっているのでした
≪学問の真髄≫
”学問の「学」とは先見の残した教えを今に比べ合わせることであり、「問」は師や友に問いただすことであるというのは、誰でも知っている。しかし、「学」といって、これを必ず我が身をもって実行し、「問」といってこれを必ず我が心をもって反省するという人は、果たして何人いるだろうか。” 『言志四録』より
よき仲間とこれからも切磋琢磨して、人間として、鍼灸師として向上し、一人も多くの患者さまに笑顔と健康な人生を送って頂きたいと常に願っているのが酔耀会のメンバーなのでした
二葉鍼灸療院 田中良和