少しずつ梅雨の前線が北上してきております
皆様、体調はいかがでしょうか。
さて、3月に九州でプロ野球選手(投手)が鍼治療の施術途中で鍼が折れるという問題が起こりました。その報道をうけて、地元、鍼灸マッサージ師会から中央団体へ対応が依頼。業界団体が集まり対応が協議され、共同声明という形で発出されました。
【折鍼に対する注意喚起と予防策に関する共同声明ープロ野球選手の折鍼事故を契機にー】
私の記憶しているところでは、このような事故はこれまで聞いたことがなかったです。人の振り見て我が振り直せ、ではありませんが、このような事故は100%起きない保証はないので、今回のことをきっかけとして、自分の臨床においても注意を払わないといけないなと再認識させていただきました。
鍼が折れると言いますが、日本で鍼を製造するメーカーの製品は、その使い方さえ間違わなければ、鍼が折れることはまず確率が0に近いと言えます。近いですから100%ではありません。
相当、乱暴に使用したり、基本、ディスポーザブルの鍼を使用しているところがほとんだと思いますが、1本の鍼を使い回ししたりしなければ、まず問題ありません。
今回は、筋肉が発達した運動選手であったことや、運動鍼と言って鍼を刺したまま関節運動をさせると言った手技を行ったため、事故が発生したのかなと予測します(方法にもよりますが)。
どんな鍼を使っていたかは分かりませんけど・・・
当院でも、運動選手、特に痛みの鍼治療を行うため、鍼を刺して置いておく方法、あるいは、そこにパルス通電を行う方法を多用します。
患者さんから見える見えないは別にして、治療で鍼を置いてある場合は、患者さん本人が見て確認してる場合を除いては、「今、腰に鍼が○本刺さってますから、大きな動きはしないようにね」とお伝えしています。
私が、リスクマネジメントとして気をつけておかないといけないなと感じるには「スマホなど携帯電話」です。これは学生や一般の皆様すべてに共通することですが、鍼を置いてパルス通電する場合、10分や15分などの時間を要するわけです。その場合は、携帯電話を出している皆様や脱衣かごに入れている場合は、できるだけ枕元においてもらうようにしています。
これが、側に置いていないと、鍼を刺した後、通電が始まった後でも、携帯電話が鳴ったりすると、グッと動かれる方が多いのです。治療が終わり、その鍼を抜いてみるとかなり曲がっていたり、抜けづらくなっていたりするわけです。
まさしく「ヒヤリ・ハットの事例」ですね。
そんなことを少し考えながら共同声明に目を通していました。
5月24日(火)には、日本鍼灸師会で、このことを契機としてリスクマネジメント研修会が開催されますので参加予定にしています。
臨床をしていると、今回ような事故や失態が起こらないという保証はありません。細心の注意を払っていても起こることはあります。
ですから、このような事例があった場合や、また業界団体の研修会を受けて心新たに意識を引きしめ、患者さんに不利益が生じないようにします。
そして、業界団体に所属する大きなメリットは、賠償保険制度に加入できることです。一般より少しお安く。業界団体で加入の場合は直接保険会社ではなく、中央団体に担当者がおり、そこで様々な対応を講じていただけます。
これだけでも業界団体に入会しているメリットがあるのだと感じます。
もちろん私も賠償保険をかけ、毎年更新しています。
また、今回の事故は、鍼灸師全体が把握するべき問題です。発出された共同声明は、単なる報告ではなく、業界団体・学会・学校団体が「鍼灸医療安全性連絡協議会」という場で協議し、経緯報告とともに、予防方法や発生した時の対応、リスクマネジメントまで大切なことを述べています。
業界団体に所属していない鍼灸師の皆様にも、是非、読んでいただき認識しておいていただきたいなと思います。
初めて今回の報道を見たときは、何を~~~~と思いましたが、事故にあったプロ野球選手もその治療院とは固い信頼関係があったようですし、その後の対応が懇切丁寧だったことで特に大きな問題になることもなく事態は収まりました。
そして、私たちは同業者として大きな学びを得る機会も得ました。
禍転じて福となったな~という出来事でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございます