二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

癌(ガン)に対する見方・考え方・捉え方

2009年07月29日 | 癌(ガン)
癌(ガン)は科学的な検査技術や治療技術が開発、発展してきたにも関わらず今もなお増え続けている生活習慣病です。また、西洋医学での三大療法と言われる手術、放射線、抗がん剤などの治療を受けても再発する人がかなりの確率で存在するのもまた現状です。

西洋医学を否定することはありません。かなり進行したものに関しては必ず西洋医学的処置が必要となります。それに検査技術の進歩により早期にガンを発見できるようになり、そのおかげで助かる人もいることは確かです。

しかし、本来大切なのは、「なぜ癌になったのか」「原因はなんなのか」「生活習慣はどうだったか」「自分の心の状態はどうであったか」「過度のストレスを感じていなかったか」など、その人自身の人生史がガンを治癒に向かわせる重要なポイントであろうと思います。その部分の改善なくして、ガンは改善、自然退縮もしないことでしょう。もしガン自体が小さくなったとしても再発、転移する可能性も高くなるんではないでしょうか。

ガンが見つかった場合は、適切な処置を行い、その後は、自分の生活習慣や心の在り方などを改め、体に優しい生活にしていくことが、ガンからのメッセージでもあると感じます。

≪ガンの原因にストレスがあることが科学的に証明されなくても、ガンとストレスの間に密接な関係があるという事実があれば、それはきわめて重要な意味をもつことになります。この事実によって、ガンの予防や再発防止のために基本的な生活様式を変更する必要性が明確になり、さらには治療効果の向上にも繋がっていくのではないかと私は思っています。

ガンの原因究明は科学的な側面からよりも、むしろ個人の体験の中から行うほうが有効であり、治療の方法が見つかる可能性もそのあたりに潜んでいるのではないかと考えています。

ガンを物質とみなすのが西洋医学です。確かに、ガンは物質と捉える方が、医者にとっても患者さんにとっても都合がよいのです。医者はガン細胞についてだけ話をし、医者と患者さんが協力して撲滅することを目的とするわけですから、話が明快で取り組みやすいでしょう。

しかし、今のところ、科学だけでガンを撲滅することは不可能と言えます。進行ガンにおいては、一時的にガン細胞を減らすことはできても、完全に消滅させることはできません。治療が効果的で、ガンが消失したという症例は、科学の領域を超えた何かが働いて治癒をもたらしたものと考えざるを得ません。もちろん、ガンと診断するまでの段階は科学的手法で十分です。十分どころか、診断においてこそ科学の力が発揮され、頼りになります。

ところが、治癒する過程は、科学の領域を超えた非科学的(あるいは超科学的)な世界ではないでしょうか。それを個人差というより、いろいろな要素を含んだ患者さんの個人差であり、患者さんの個人差が治癒過程をも左右すると思います。西洋医学ではこのことは扱いません。医学のデータは個人の意識や感情といったものを一切排除した、すべての人に共通する横並びのものでなければならないからです。科学的根拠に基づいた医学とは、人間を物質とみなしたデータ至上主義の医学なのです。

今の医療は、EBM(Evidence Based Medicineの略=科学的根拠に基づいた医学、と訳されています)を基にして、ガイドラインに沿って行こうと目指しています。すべての医者はこの線で医療に取り組んでいるわけで、私自身もその中の一人ですが、本当のところ、この現状は怖いことだと思います。今の医療の世界では、私たち人間は理性も感情も関係ない共通した物質として扱われているのですから。

私は、患者さんの生き方の中に、ガンの本当の原因となる重要なものがあるのではないかと考えて、ガン患者さんの心の中ののぞき見るような質問をしてきましたが、長年の経験から、ガンが治ったという現象を起こすのは、患者側の要素がもっとも大きいと考えたのです。今では、どんな治療にしろ、治療を受けるだけでは、ガンとりわけ進行ガンは治らないとさえ断言することができます。

医学による治療を受けるにしても、治療が終わってから、患者さんが自分自身で改めなければならないことがあります。ガンが生活習慣病と言われるのは、患者さんが自分の生活を改めなければならない病気だということなのです。生活習慣を変えることによって、再発も防ぐこともできると私は考えています。≫

『ガンをつくる心 治す心』 土橋重隆 著


土橋先生は、外科医であり、日本消化器内視鏡学会認定医です。2000例以上の食道静脈瘤の内視鏡的治療や腹腔鏡下胆嚢摘出術など多くを手がけ、その道のスペシャリストです。患者さんを治すために積極的に新しい治療方法を取り入れ、磨いてきた先生が、西洋医学的治療を突き詰めれば詰めるほど、そこに限界があることを実感し、糖尿病、高血圧、ガンなど病院では治せない慢性病が増加し、病院へ来る患者さんの数も増加していることに疑問を持ち、「なぜ、人間は、病気になるのか?」という根本をテーマにして現在にいたるそうです。その後、帯津三敬病院にて終末期医療を体験され様々な刺激や発見があったことがこの書籍に書かれています。

鍼灸学会も現在EBMに基づいてということを大きなテーマに掲げています。これは私たち東洋医学を行うものにとって一つの要素として大切なことではあると思います。しかし、上記にもあるように、人は一人一人違うんだ、病を診るのではなく患者さんを診るんだという東洋哲学的思考を忘れてはいけないと思います。東洋医学の本来の長所をさらに発展させるためのEBMであればよいのです。

話はガンに戻りますが、当院にも西洋医学的治療を受けたガン患者様が再発予防に人数は多くないもののご来院されています。鍼灸治療がガンを消失させる!なんてことは現在の私の力量では言うことができません。しかし、鍼灸治療が「ガンにならないための体づくり」のために活用できたり、「手術、抗がん剤や放射線の副作用の改善」や「ガンの再発予防」には適していると思います。

鍼灸治療は、それ自体がガンをはじめ病を治すのではなく、私たちの治療はあくまでも、体が治そうとするきっかけの刺激を与えているに過ぎません。私たちが治すのではなく、患者様の体が心が正常にしようと働くのです。そう考えると病治癒の主役は患者様自身なのです。

身体への施術はもちろん、ガンの患者様は、恐怖、怒り、不安、憂慮など様々な精神的ストレスを抱えています。「ガン」と聞くとイコール「死」に直結させたり、「常に進行するもの」と思ってしまいます。そこに消極的思考に陥ってしまう原因があります。また、ガンを物質ととらえてしまえば、この精神的部分(心)はまったく関係なくなりますが、人の体は心が大きく支配しています。その心の在りようで体はどうにでも変化すると言っても過言ではありません。体が辛いことははたいへんですが、自分の心は自分でコントロールできます。病にコントロールされることはありません。常に希望、喜び、感謝、笑顔、思いやり、優しさ、そのような積極的思考や行動をしていれば、自分の心は常に体を正常な方向へ向かわせるべく働くでしょう。そのようなことを診療中あるいは診療後に患者様とお話できるのも鍼灸治療院のいいところだとも思います。

西洋医学と東洋医学(鍼灸)の長所を生かし、患者様のその時々の状態、状況、環境により上手に東西両医療を活用していけば、患者様、国民にとっては「ガンにならない体づくり」「再発しない体づくり」が実践でき、健康で豊かな生活になっていくのではないかと思います。

病気を治す主役はあくまでもご自身であり、適切な身体的処置と生活習慣の改善、心の積極的な在り方、これだけ揃えば”鬼に金棒”もう怖いものはないでしょう

長々とお読み頂きまして、ありがとうございます
感謝

二葉鍼灸療院 田中良和

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2 コメント

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こんばんは (おむぅ)
2009-07-31 02:21:33
癌は痛みや抗がん剤の吐き気など、とても苦しい病気だと思います。
でも癌の患者さんは生きたい生きたいと望んでいると思います。
これに反して、うつ病は死にたい死にたいという気持ちに捕らわれる病気です。
癌の患者さんにとっては憤りを感じるかもしれませんが、うつ病は気分が落ち込み、とても苦しく、無気力になり、何をしても楽しくなく、何に対しても悲観的になり、将来に絶望的になってしまうのですから死にたくなるのは仕方のないことです。
こんなことを言っては、とても不謹慎ですが、僕もいっそうのこと末期癌宣告されて早く死んでしまいたいと思うこともあります。

僕が入院した病院に統合失調症の女の子がいて、いつも独り言を喋っていました。
幻聴と会話をしているらしいのです。
彼女は「幻聴に答えないと後で悪いことが起こるの」と言っていました。こうなると統合失調症+強迫神経症です。
とても辛いらしく、毎晩のように泣いていました。

人生には、いろいろな苦しみがありますが、重い病気は、その人を地獄に突き落とすものだと思います。

土橋先生は外科医でありながら患者さんの心の問題まで考えた素晴らしい先生ですね。
それに反して、僕の入院した病院の野田という医者は、人はそれぞれ皆違う存在なのに、精神疾患の患者を分類して考え、僕が傷つきやすいパーソナリティーであることも見抜けずに、勝手に自分で作ったカテゴリーに当てはめてデリカシーのないことを言ったのだから精神科医としては最低だと思います。

ある医学生のブログに「私は医者になったら患者さんの病気だけを診るのではなく、患者さんの人間そのものを見てあげたい。だって病院に来ているときだけが患者さんの人生じゃないんだから」と書いてありました。
とても感動しました。
きっとこの人は素晴らしい先生になると思います。
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お返事おすくなりました (二葉院長)
2009-08-03 10:11:42
おむぅさん

いつもながらコメントありがとうございます。

病気は”「気」を病む”と書きます。病で苦しんでいる人たちはたくさん世の中におられます。精神疾患、ガン、生まれながらにして脳に障害を持って生まれてくるハンディキャップを背負った子たち、難病にかかり身動きがとれない方々、ほんとうにたくさんおられます。

しかし、「気」を病むか、病まないかはその人次第なんです。確かに統合失調症やアルツハイマーなどの場合、また、うつもその範疇に入るかもしれませんが、脳に影響が出る疾患の場合、そのコントロールは程度によって差が出てくると思います。

そんなすぐに意識を変えろ、前向きになれ、積極的になれと言われても無理だと思いますが、一日にうちの小さいことに幸せを感じ、喜びを感じ、感動してみてください。ほんの些細なことでいいのです。それが繋がりを持ち、自分の価値観も変化してきた時に、何かが変化してきます。それは人により違うのので何かが「これ」とは言えませんが。

重い病と感じているのも自分の心であり、幸せだと感じているのも自分の心であり、誰かを好きだと思うのも自分の心です。心がどう感じるかは、そのもの(病気、不幸、逆境…)の見方、捉え方を違った方向から見て、人生には画一的なものばかりでなく、いろんな姿をしていることに気づくことなのだと思います。

実際、おむぅさんのような、うつの方々が人生に空しさを感じ、死んでしまいたくなるような感覚が理論的に分かっていても私を含め他の人にはわかりません。また、ガンの方々が医師から程度の差こそあれ宣告を受け、その時から常に「死」と隣合わせで生活し、何か体の変調があれば、ものすごい死の恐怖が襲ってきたり、不安に支配されてしまう気持ちも本人しか実感は分かりません。理解しようと、寄り添おうと努力をするのが医療を行うものの勤めですが、ここのところはご本人しか感じることができません。

しかし、言えることは心は”魂の叫びを素直にきく窓”であり、人間を包む大自然(大宇宙)とを繋ぐパイプのようなものであると思います。窓を閉じあるいはパイプに穴が開いていたのでは、本当の内からの声が聞けなります。心は脳だけでなく、肝臓にあり、腎臓にあり、心臓にあり、脾臓にあり、皮膚にあり、すべての細胞の一つ一つが心を形成するのだと私は思っています。

気分が落ち込んでいる時は仕方がありませんが、何か自分で思考回路を働かせている時は、心は病には支配されないことを思い出してください。そして心の捉え方、感じ方を変化させてみてください。生きていることだけで人間は奇跡なのだと思います。そして、おむぅさんにも、まだまだまだまだ可能性が秘められています。人生を幸せに送る可能性です。人は本来幸せな生き物なのだと思います。

もう一度言いますね!心は病にはコントロールされない代物です!!そして、重い病は捉え方しだいで地獄にも、そして自分を成長させるエキスにもなるということを!!

「今ここ」で、小さな幸せ、小さな喜び、小さな感動、小さな思いやりる行い、小さな優しさを感じてください。それを少しずつ積み重ねていってください。

「今ここ」をです!!!!!
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