ギィーッス・・・チョン 声はすれども姿は見えず・・・
子供の頃からの習い性とでも言うのでしょうか?草むらの脇を通ると
今もって生い茂る夏草の中に潜む声の主が気になって仕方がありません。
もっとも今、私が手にしているのは、虫取り網ならぬデジカメ・・・
警戒心が強く、少しでも気付かれると一瞬にして草むらの奥へと姿を隠す気難しさ
がこの虫への興味をそそります。
雑食性ですが、どちらかと言うと肉食性が強く、他の昆虫を捕食しているシーンを
よく目にします。家で飼育観察する際の餌としては、ドッグフードなどの動物性が良いでしょう。
先日、新聞の折り込み広告を見ての話ですが、ホームセンター等ではこのキリギリスの♂が
1匹680円位で売られていることを知りました。
私の子供の頃には夏になると、竹製の虫籠に入れて売り歩く人がいて、ある意味
「キリギリスいらんかね~ぇ」という長閑な売り声と共に夏の風物詩ともなっていたものです。
「商品化されている」という点では、今も昔も同じなのかも知れませんが、ホームセンターで
扱われる人工養殖されたキリギリスには、どうも季節感が感じられません。
ところで、「キリギリス」は、本州~九州に生息するバッタ目キリギリス属の
総称で、亜種などを認めず、単一の種類と見なしていた時代の標準和名です。
バッタ類の研究が進んだ現在では生息地域や形態の違いから、少なくとも
ニシキリギリス亜種とヒガシキリギリス亜種に分類され、さらに各地に生息する
ものの変異からの細かな分類がすすめられています。
主なものでは、シコクキリギリス(四国)、ミナミキリギリス(九州)、ツシマキリギリス(対馬)
フジサワキリギリス(藤沢市)、ヤマキリギリス(中部山岳地帯)などがありますが、
昆虫の分類では比較的研究が遅れている分野で、未分類のものも多く、それだけに
興味深いものがあります。
ただ一般的な知識としては、ヒガシキリギリスとニシキリギリスの2系統がある
ということでよいような気がします。
ヒガシキリギリスに属するものの特徴としては、一般的に翅が腹端に比べてかなり短く、
それに対してニシキリギリスに属するものでは腹端とほぼ同じ長さになります。
この特徴から判断すると、画像のものは多分、ヒガシキリギリスでしょう。
尚、北海道にはハネナガキリギリス、沖縄県ではオキナワキリギリスが生息しますが
本州~九州に生息するものとは別系統に分類されているようです。
ヒガシキリギリスと思われる♂の個体
翅は腹端よりかなり短い
名前から関東以北の分布と
思われがちですが少なくとも
近畿では両者は混生しています。
此方は剣のような産卵管を持つ
♀の個体です