四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その154))

2024年10月23日 05時49分50秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その154) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「未だ咲き残る 酔芙蓉 八重」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」
 を中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの
 贈答短歌が中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますので
 ご指導よろしくお願いします。
 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は新規で
 作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「9.葵(あおい)」
 桐壺帝が譲位をして弘徽殿の女御が産んだ皇子が帝(朱雀帝)となると、
 右大臣家が権勢を強めた。譲位に伴って六条御息所の娘が斎宮に定められると、
 源氏に冷遇される六条御息所は娘とともに伊勢へ下向することを考え始める。
 葵祭の日、源氏も行列の供に加わると知り、懐妊中の葵の上は見物に出かける。
 そこで、身分をやつして見物に出ていた六条御息所の車と鉢合わせ、従者たちが
 御息所一行を辱めてしまう。底知れぬ恥辱を受けた六条御息所は病に伏せ、
 夢の中で葵の上に憎しみをぶつける。同じ頃、葵の上には物の怪が取り憑き、
 左大臣家では加持祈祷が繰り返されていた。やがて葵の上は出産するが、生霊に
 とらわれ急逝する。源氏は悲しみにくれるが、喪が明けて二条院に戻ると、
 美しく成長した紫の上と新枕を交わす。
〇はかりなき 千尋の底の 海松(みる)ぶさの 
                    生ひゆくすゑは 我のみぞ見む  光源氏
註)限りなく深い海底に生えている海松のように豊かに成長してゆくあなたの
  黒髪は私だけが見届けよう
〇千尋とも いかでか知らむ 定めなく 満ち干る潮の のどけからぬに   紫の上
註)深い愛情を約束されてもどうして分りましょう落ち着きなく満ちたり
  干いたりする潮のようなあなたですから
(返歌)
☆着飾った 紫の君 眺めては 千尋までもと 祝い言口に
☆姫君は 手近の紙に 書きつけて 初々しくも 満たされる思い
                         浅間山明鏡止水
【解説】
 「葵の巻」は、光源氏の最初の妻である葵の上の登場、六条御息所との対立、
 葵の上の死、さらに美しく成長した紫の上と結ばれる、という重要な出来事が
 見事な展開をもって描かれた巻です。これらは、物語全体の展開にも大きな
 影響を与え、物語に
深みと複雑さを与えています。
 作者が今回取り上げた光源氏から紫の上へ贈った歌は「あなたの将来は、
 私だけが見届けよう」と意訳できます。その歌に対して、紫の上は「深い
 愛情を約束されても、それがどうして分りましょう」とつれなく返歌して
 います。これらを踏まえて、作者の返歌の二首を鑑賞させて頂きました。
 一首目の作者の歌には、自分が手塩にかけて育てた紫の上を、この上なく
 大切に思う気持ちがあふれるばかりに表現された良い返歌と思います。
 さらに、それぞれに想いを乗せて、こんな視点で詠んでみましたが、
 いかがでしょうか。
 【ご参考】
  ★咲き初める花にも似たる紫の 君のゆくすえ吾は守らん
  ★姫君の したためたるやその文の うぶな想いに愛しさも湧く


     「咲き残る 千日紅」

【詞書】「夜長」は秋の季語です。よく秋の夜長と言いますが、俳句では
  季語重なりになります。「夜長」で二首、「銀河」で一首詠みました。
☆あの星を父の星とし酒を酌む 心で父と語りし夜長
☆幾たびも優しく本を読みくれし 亡き母と吾(あ)の夜長よ今も
☆紺碧の空と海との境界線 銀河に続く漁火いくつ
                         みっちっちさん
【解説】
 「夜長」と「銀河」をテーマに三首の歌を詠んで頂きました。いずれも今の
 季節を情感をこめて詠っています。特に一首目について触れたいと思います。
 この歌は、亡くなられたお父様を偲び、深い愛情と切なさ、そして静かな
 語り口が印象的な作品です。
 夜空に輝く星を、亡くなったお父様と重ね合わせていることがわかりますが、
 星は、遠くて手が届かない存在でありながら、同時に永遠の象徴でもあります。
 お酒を飲みながら、故人を偲ぶという行為は、古くから日本で行われてきた弔い
 の方法の一つです。ここでは、亡くなったお父様との間に、お酒を介して心の
 交流が生まれている様子が浮かびます。
 秋の夜長、心の中でお父様と語り合うという、作者のお父様へ寄せる深い
 想いが切々と伝わってきます。
 派手な表現ではない故に、静かで落ち着いた言葉の中に作者の心の動きが
 繊細に描かれています。この静けさゆえに、深い悲しみと温かな愛情が一入
 感じられます。
 三首目の「銀河に続く漁火いくつ」の雄大、かつ宏大な歌いぶりが秀逸です。

【詞書】庭の柿を詠ませて頂きました。
☆待っていた柿が赤々色付くも 熟れた柿から雀群がり
【詞書】衣替えを詠ませて頂きました。
☆十月も中旬なれど未だ猶 衣替えは長シャツ一枚
【詞書】突如の訃報にて
☆釣りバカを見たのは昨日の気がするも 突如の訃報落雷のごと
                         西BOOさん
【解説】
 一首目の歌、ようやく色づき食べごろになった柿に鳥たちが群がり
 ついばむ景観。これは、懐かしい里山の景色ですが、街中でせっかく
 実り楽しみにしていた庭の柿が、鳥たちについばまれてしまうのは
 残念
でもありますね。残念な想いを滲ませながらも、そんな鳥たちを
 許している作者の
優しさも覗く、ほのぼのとした良い歌と思います。
 二首目の歌、今年は、10月中旬を過ぎても夏日が続き、未だ街中に
 タンクトップの方も散見されます。そんな情景をさりげなく詠み、
 異常気象の現れを「衣替えは長シャツ一枚」と表現しています。
 日常を詠いつつ、歴史の一齣を記していく、そんな貴重な歌の
 一首に
なっていくものと考えます。
 三首目の歌は追加で詠んで頂きました。詠まれているように、これは
 「突如の訃報」でしたね。どんな演技の底にも温かさを湛えた偉大な
 俳優であり、
歌手としても活躍された西田敏行さんの訃報は、まさに
 「落雷」
にも似た衝撃でした。死因は虚血性心疾患との公表が
 所属事務所からありました。
改めてご冥福をお祈りしたいと思います。

【詞書】お気に入りの鳩時計が窓から出てこなく、鳴き声もしなく
  なりました。電池を替えれば針は正しく動きます。ふと長い間
  使ってきたので、我が身に寄せて考えてみました。
☆われもまた鳴くを忘れし鳩時計 前頭葉が軋みはじめる
【詞書】文庫本を読みながら楽しいひとときです。
☆大公孫樹のリズム正しき黄落を ひとり聞いてる茶房のパティオ
                         夕庵さん
【解説】
 一首目の歌は、印象的な言葉選びと、現代を生きる私達世代の心に響く
 深い
テーマが込められた作品です。
 上の句の鳩時計は、定時に鳴き、時間を知らせる役割を担いますが、
 この鳩時計は「鳴くを忘れし」と表現されており、もはやその機能を
 十分果たし得ない様子が浮かびます。これは、日々の生活において、
 何かしらの機能不全をおこすかも知れない、ご自身への不安を象徴的に
 表現しています。
 下の句、前頭葉は、人間の思考や判断を司る重要な部位ですが
 「軋みはじめる」という表現は、思考が滞り、物事をスムーズに処理
 できなくなりそうな予感を比喩的に表現しているのかもしれません。
 総じてこの歌は、一見シンプルな言葉で綴られていますが、その中に
 深遠な意味が込められ、現代社会を生きる私達世代の普遍的な悩みを、
 優しい言葉で表現し、心に深く響く警句とも言える詠歌となっています。
 二首目の歌、パティオとは、スペイン語で中庭を意味します。茶房の
 中庭で、大いちょうの落ち葉を眺め、その散るリズムに身を委ねる作者の
 くつろいだ様子が浮かんできます。このようなひと時をもてる作者の
 精神的ゆとりと、豊かさに共感したいと思います。

     「未だ咲く 宗旦むくげ」

【詞書】YouTube短歌: 冨田勲 展覧会の絵 カタコンブ
☆暗闇の洞窟に反響するのは
        大地の怒り
        人の苦しみ
                         自閑さん
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 展覧会の絵のカタコンブは、ローマのサン・セバスティアーノ・フォーリ・
 レ・ムーラ教会がある場所の地下にある納骨埋葬所で、カタコンベとも
 言うそうです。この習慣がキリスト教世界に伝わり、世界中にあるそうです。
 インディ・ジョーンズの最後の聖戦でも出てきていました。
 シンセサイザーの音を、洞窟内での何かの反響と捉え、何の音だろうか?と
 イメージが湧くまで、聞き続けました。
 下記に、冨田勲氏の曲を貼付しておりますので、御覧戴ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/d00c69d54bf478356644ccdc0b71e5de
【解説】
 「カタコンブ」は、作者の「短歌説明」にもありますように地下墓地の
 ことです。暗く湿った地下空間は、死と再生、神秘といった様々な
 イメージを喚起します。ムソルグスキーのオリジナルの曲では、この
 地下墓地の薄暗い雰囲気が重厚に表現されています。
 冨田勲氏は、このオリジナル曲にインスパイアされ、カタコンブの神秘的で
 荘厳な雰囲気を、電子音で表現しました。冨田勲氏の音楽は、単に曲を
 再現するのではなく、この曲が持つ雰囲気をシンセサイザーで具現化し、
 聴く私達に新たなイメージを喚起させてくれます。
 作者は、この「カタコンブ」という曲を幾たびもイメージが湧くまで聴き、
 この歌を紡いだと説明されています。

 この歌は、冨田勲氏の「カタコンブ」という曲の世界観を、作者の独自の
 視点とイメージで捉え、下の句で「大地の怒り 人の苦しみ」と詠って
 います。「大地の怒り」や「人の苦しみ」といった概念を、暗闇の洞窟と
 いう具体的なイメージと結びつけることで、より深い意味を表現しています。
 さらに、冨田勲氏の音楽から受けたインスピレーションを生と死、喜びと
 悲しみとは…と言った、人間が普遍的に抱く問いに対して、作者は熟考を重ね
 この歌に結実させたと考えます。一首の歌を生み出すに至る作者の苦闘にも
 似た姿勢に、今回も学ばせて頂きました。

【詞書】父の遺した書き付けやらを見ながら、保険やら何やらの処理なう、
  です。その最中に、毎月新聞のチラシに混ざって来るA4ぐらいのぺら
  イチのカレンダーがあるんですが、その10月のが出てきて「あー、
  2日には歯医者さん行くって言ってたなあ…」とか言って見ていたら、
  「茶まつり」の書き込みも…。10月6日の日曜だったんですが、こんな事
  書いてはるわ…なんて…。ってか、くたびれてたり、溜まってた家の
  用事したりしてて、すっかり忘れてました。見に行くとかするつもり
  なんだかどうだか、きちんと宇治の(近所である)行事を書き込んでいる
  あたり、きっちりしてるというか何ていうか…。…高度経済成長期を
  支えたサラリーマンの一人であった生真面目父の名残の一つを目に
  してなんとなくふっ…と笑ったひとときでした。…しかし、その
  “きっちり書き残”してあるから(しかも大量に!役所や保険会社や
  etc.…の封書や書面もたくさん…)ある意味助かりもし、大変でも
  あるんですが…。姉など、「(葬儀はこのように、とか)書き残すより
  ちょっとでも話をしておいて欲しかった~」って言ってました。
  …ある程度同感です。
☆「茶まつり」と亡父の字あるカレンダー
          葬儀の日より3日後の日に
【詞書】本名はダイアンサス‘アウラ’なんだそうです。少し前に、
  ダイアンサススーパーパフェという名前の花を買ったのですが、
  もう一つ色違いとか…と思って、売り場で見たらかわいかったので
  こっちにしました。アイドルが手でハートを作ってポーズしている
  イメージが脳裏をよぎりましたが、まあえーわと買っちゃいました。
  宿根草だそうでそのうち植え付けます。❤
☆「あなたにキュン」こっ恥ずかしい名前やな
            でもかわいい花 母におみやげ
                         ちがやねこさん
【解説】
 一首目の歌は「宇治茶まつり」の事と拝察しますが、今は亡きお父様の
 几帳面な一面を詠って涙を誘います。想いを抑え、事実のみを表現した
 歌の行間に、抑えて余りある哀しみが溢れています。
 高度成長期を文字通り、自らの体を張って駆け抜けてきたビジネスマンの
 一人であったお父様は、家庭に在ってはお母様と共に、作者とお姉様を
 深い愛情をもって育んでくれた方であったと拝察致します。作者のお父様に
 寄せる深い想いを知るほどにその感を深めています。この歌も優れた挽歌の
 一首と考えます。なお、二句目は「亡父の記す」ではいかがでしょうか。
 ちなみに、「宇治茶まつり」は、初めてお茶を日本に伝えた栄西禅師と、
 宇治に茶園を開いた明恵上人、茶道の始祖千利休の三恩人への報恩感謝、
 茶業功労者の遺績を追慕するための歴史ある、ゆかしい行事との事です。
 二首目の歌は、お父様を亡くされ言いしれない哀しみを抱えておられる
 お母様へのエールを込めたカーネーションの鉢を…と詠んだものと拝察
 します。ダイアンサス「あなたにキュン」は、おっしゃる通り「可愛い」
 花ですね。お母様もきっと笑顔を取り戻し元気つけられた事と思います。

☆秋の海 虚空映して藍深く 世情無縁と凪いで静もる
                         ポエット・M
【解説】
 10月27日の投開票に向けて衆院選は終盤となり、さらに熱を帯びています。
 「裏金問題」で政権の信頼が損なわれ、うち続く物価高の中で、実質賃金が
 マイナスになる等の情勢の中。有権者にとっては、その意志を政権に反映
 させる絶好の機会でもあり、一方その見識も問われる選挙となっています。
 そんな「選挙の季節」の喧騒をよそに、秋の海は澄み切った空気の中で
 空の色を映し出しどこまでも蒼く、静かに凪いでいました。そんな世情
 とは無縁な風情を見せる凪海の様子を詠ってみました。静もる海を見つめる
 ことで、喧騒から解放され、心の平穏を得ている自分の立ち位置を改めて
 認識してしまいました。

 
     「未だ咲く 白花曼殊沙華」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(60)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

41.「短歌の章」 ソウルにおける国際会議(2)

   東洋最古の天文台なり 瞻星台
         あめつちのめぐりを静かにはかりぬ

   天文台の底部に配したる水鏡 
         星を映して占ひしとなり

   あめつちのめぐりと人のすぐせをば
          水底に映る星にて はかりぬ

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ
   幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                             了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その154 ネット歌会)

2024年10月23日 05時15分30秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その154 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「未だ咲く酔芙蓉 一重」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆待っていた柿が赤々色付くも 熟れた柿から雀群がり
                         西BOOさん
★スーパーにはやも並びぬ柿の列 色浅くてはまだ手が出ない 
                         夕庵さん

☆釣りバカを見たのは昨日の気がするも 突如の訃報落雷のごと
                         西BOOさん
★スーさんが淋しかろうとハマちゃんは 急いで逝ったか まだまだ早い
                         夕庵さん

☆われもまた鳴くを忘れし鳩時計 前頭葉が軋みはじめる
                         夕庵さん
★何度でも電池替へやう 新たなる前頭葉よ しやつきり動け
                         みっちっちさん
★毎日の散歩するのも新しき電池と 思(も)いて拾いに出よう
                         夕庵さん
★電池替へ気合ひ一発 前頭葉 今ぞ返歌をひねり出さむと
                         みっちっちさん

     「未だ咲く 白花曼殊沙華」

☆あの星を父の星とし酒を酌む 心で父と語りし 夜長
                         みっちっちさん
★ほうき星に魔女跨がるを探せども 無念今夜は見つけられずに
                         夕庵さん
★渡りゆくスーパームーンよ 魔女が乗る ほうき星へと夜空を照らせ
                         みっちっちさん
★夜の更けに窓より空を見上げては 天体の神秘に言葉よ 光れ  
                         夕庵さん
★十月の夜の窓辺に君と飲む ミントティへとうつる星くず
                         みっちっちさん
★ぞろぞろとおしゃべりたちが溢れだす 空っぽになったあなたのカップ 
                         夕庵さん
★おしゃべりに夢中の窓辺 流星よ 明日は晴れるや 旅待つ夜長
                         みっちっちさん
★降り立てば知らぬ街なり一人旅 海へとつづく道は開けり
                         夕庵さん
★知らぬ道歩ひてみたき 秋雲に 続く小径を 海見ゆるまで
                         みっちっちさん
★通学路もすっかり変わり右往左往 たどり着けるや懐かし母校
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「咲き残る 芙蓉」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その153)

2024年10月16日 05時11分08秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その153) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「秋薔薇 楽園」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」
 を中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの
 贈答短歌が中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますので
 ご指導よろしくお願いします。
 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は新規で
 作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「8.花宴(はなのえん)」
 源氏二十歳の春、南殿で桜の宴が催された。源氏は帝に所望され、詩や舞を
 披露し賞賛される。そんな源氏に対して、弘徽殿の女御は憎しみを募らせる。
 宴が終わり、酔い心地で源氏が弘徽殿に忍び込むと、「朧月夜に似るものは
 なき」と口ずさみながら来る女(朧月夜)がいた。源氏が袖をとらえると
 女は最初おびえるが、源氏と知って心を許す。翌朝ふたりは名前も交わさぬ
 まま扇だけを取り交わして別れた。その後、源氏は女が政敵である右大臣の娘、
 弘徽殿の女御の妹と知り、再会の困難を思う。朧月夜は東宮に輿入れする
 予定だったが、源氏との逢瀬に思いふけていた。そんな折、右大臣家の宴に
 招かれた源氏は酔いすぎた風を装い、姫君たちの居室に向かった。当て
 推量で先日の扇の持ち主を問いかけると、返した声はまさにその人自身の
 ものであった。
〇梓弓 いるさの山に 惑ふかな ほの見し月の 影や見ゆると  光源氏
註)梓弓を射るという、その「いる」ではなく、いるさの山に私は迷い込んで
  しまったことです。あの夜かすかに見た有明の月の姿が見えるかと思って
  なぜでしょうか 
〇心いる 方ならませば 弓張の 月なき空に 迷はましやは   朧月夜
註)もし本当に心惹かれている方なら、弓張り月のない闇夜の空でも迷ったり
  するはずはありません
(返歌)
☆弓の集い扇片手に酔ったふり ほのかに逢った人探し当て
☆弘徽殿の月夜に聞いた同じ声 源氏の心動悸止まらず
                         浅間山明鏡止水
【解説】
 王朝の雅を、いかんなく表現した「花宴」の巻。このヒロインは、作者の
 説明にもありますように「朧月夜」で、朱雀天皇の婚約者でもありました。
 光源氏とはロミオとジュリエットの関係ながら愛し合う中となり、やがて、
 光源氏の須磨流謫への引き金にもなっていきます。
 この二人が歌のやり取りをした場面では、光源氏のみならず、朧月夜も
 かなりお酒に酔っていたと描かれています。源氏物語は、このシーンにより、
 奔放でコケティッシュな朧月夜の危険な魅力を最大限に表現されていたと
 考えます。こんな背景も踏まえて作者の返歌を鑑賞させて頂きました。
 二首とも、光源氏の立場からの冷静な詠歌になっていますが、二首目は
 月夜の下で聞いた忘れ得ぬ声の主を前に、高鳴る胸のときめきを詠った
 想いの滲む良い歌と思います。さらに光源氏になり切って詠ってみましたが
 いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★おぼろ夜に 契りて扇交わあい 秘むるに難き君のおもかげ

【詞書】秋の風景、
  秋の雲、秋の風、稲雀で三首詠みました。
☆秋の雲ふはり夢とも現(うつつ)とも いつしかゆらりロッキングチェア
☆馴染みなる書肆(しょし)の閉店 秋風に貼り紙揺れて 暮れゆく家路
☆遥かなる千枚田へと 稲雀 夕日の光撒き散らすごと
                         みっちっちさん
【解説】
 深まり行く秋を「雲」「風」「稲雀」に焦点を当て、情趣豊かに三首
 詠んで頂きました。
 特に、三首目の歌は、視覚的な美しさと想いの深さを兼ね備えています。
 広がる千枚田の風景と、そこに飛び交う
稲雀の姿を夕陽が美しく照らし
 出す様子を描いています。

 「夕日の光撒き散らすごと」の下の句は、 稲雀によって夕日の光が
 まるで撒き散らされるように広がる情景が、巧みに表現されており、
 視覚的な
イメージが鮮明に浮かびます。
 総じて、自然の美しさと、夕陽が煌めくその瞬間の儚さが表現され
 作者の
感受性の豊かさも伝わってきます。
 一首目の歌、「雲ふはり」が「ロッキングチェア」に帰結していく詠い
 ぶりが
いいですね。

【詞書】赤い羽根募金で詠ませて頂きました。
☆回覧板開くと中に赤い羽根 僅かながらも一つを胸に
【詞書】秋ナスを詠ませて頂きました。
☆秋ナスをご近所さんよりおすそわけ オリーブオイルでサッと炒める
                         西BOOさん
【解説】
 一首目の歌、10月1日から「赤い羽根共同募金運動」が始まりましたが、
 この「運動」は今年で78回目を迎えているとのことです。
 私達の自治会でも少なからぬ議論がありましたが、担当役員を中心に
 例年通り各家庭へ募金のお願いに回っています。周辺の町内会等から、
 作者のように温かな想いと共に協力して頂ける方は、年々少なく
 なっているとの声も聞こえてきます。歌から「赤い羽根」を胸に挿し、
 さっそうと歩く作者の姿が浮かんできます。「一つを胸に」の表現が
 効いていていいですね。
 二首目の歌、おすそ分けで頂いた秋ナスを「サッと炒める」作者の
 姿に微笑ましさを感じます。写真がプロ級なのは理解していましたが、
 お料理も中々なものと感じます。私は、大量に油を吸ってしまうナス
 料理は苦手な料理の一つです。

     「未だ咲く 彼岸花」

【詞書】彼岸花三首です。
☆地を這いて雑草を引く媼見ゆ 畦に秋告ぐ彼岸花さく
☆恩讐の彼方に咲くや彼岸花 哀れ色褪せ地に伏せてをり
☆厭われし曼珠沙華とてわが町に 朱の焔たち賑やかなりし
                         夕庵さん
【解説】
 彼岸花にまつわる「物語」も含めて三首詠んで頂きました。
 三首目の歌に触れたいと思います。この歌は、曼珠沙華を題材に、
 作者の「わが町」への愛着と、その中に咲く曼珠沙華に対する
 複雑な想いが表現されていると感じます。この花は、彼岸花とも
 呼ばれ、その妖艶な美しさから、不吉な花と捉えられることも
 あります。しかし、作者はあえて「厭われし」という言葉を用いる
 ことで、曼珠沙華に対する「負のイメージ」も意識していることを
 示しています。
 曼珠沙華は、負のイメージを持つ一方で、作者にとっては「わが町」
 の「賑やかな」風景の一部であり、愛着を感じる対象でもあることを
 強調しています。この相反する感情を詠むことで歌の深みが増して
 いると感じます。
 なお、曼珠沙華の別名・地方名・方言は数百から1000種以上あると
 言われています。前回のサロンでも触れましたが「相思花」との
 ちっびり素敵な名称もあります。

☆ハナミズキ
   赤き蕾に 光さし
  頬に優しい
     風心地よし
☆まだ緑
  モミジの葉にも
    紅にじむ
  クロのつま先
    絡む枯れ葉よ
                         クロママさん
【解説】
 花水木と、紅の滲むもみじを対象に、季節の移ろいを色濃く感じさせる
 二首の歌を詠んで頂きました。
 一首目の「赤き蕾に」の「蕾」は今の季節ですので、たぶん花水木の
 「実」だと思います。
 今の季節、その実は他の木々に先駆けて葉と共に赤く染まり素敵な
 景観を見せています。そんな内容も踏まえて少し手直しも含めて、
 詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】 
 ★先駆けてもみじに染まる花水木
         葉も実もともに 夕陽に燃えて
 二首目の歌、未だ緑の葉を残すもみじですが、微かに紅を滲ませて
 いる繊細な景観を味わい深く詠まれています。そんな季節にも
 枯れ葉は散り愛犬クロちゃんのつま先に絡み付いてくる。その仕草すら
 可愛らしいと見つめる作者の、ほのぼのとした姿が歌から浮かんできます。


     「未だ咲く コスモス」

【詞書】連休挟んだしなあ…。初七日済むまでバタバタでしたし、
  疲れてもいたし…。でも、頑張ってクリアせんとあきませんね…。
☆父の死後 手続きの嵐の中に居て
       14日以内が多くてしんどい…
                         ちがやねこさん
【解説】
 お父様のご冥福を静かに祈るいとまさえない、手続等怒涛の日々にある
 作者に、想いだけでも寄り添いたいと思います。
 今の作者の想いが、そのまま表現された「手続きの嵐の中に居て」と
 「しんどい…」状態を受止めつつ、なお、「お心を強く」と祈らずには
 いられません。全ての手続きが終わったら思い切り、ご自分の想いを
 解放されたらと思います。何もお手伝い出来ない私達ですが、作者の
 大変さには寄り添いたいと思います。合掌。

【詞書】YouTube短歌:十三夜と彗星三首 冨田勲 ドビッシー 
  月の光(タモリ倶楽部付)
☆十三夜は静かすぎる
   誰も観てないのだろうか?

      ・・・透き通る
☆彗星はその涙のカケラを振り蒔き輝き
               又遠くへ旅 
☆今、私は虚空の何処を旅しているの?
    輝きを増すまで
                         自閑さん
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 10月15日は、十三夜、後の月。十五夜に比べ、社会の認知度は低いです。
 あまりに低いので、昔、京都の神泉と言う所へ行って月を眺めました。
 もちろん誰も居なかった。
 YouTubeを見ていたら、タモリ倶楽部に、冨田勲氏と松武秀樹氏が出演し、
 初期のシンセサイザー「MOOGⅢーC」、別名「箪笥」を演奏する様子が
 出ていました。アナログ・シンセサイザーらしく、毎回セッティングが
 同じでも、出る音が違っていたとのこと。
 このシンセサイザーを運ぶと、あちらこちら痛むとの事で、箪笥の
 補強器具を付けたので、愛称として「箪笥」としたそうです。
 当時の最新鋭も、音も、扱いもアナログだった。
 十五日は、彗星も見られるかも?私が彗星を見たのは、約50年前。
 明日以降晴れる日を望んでいます。次、50年後は、墓の中だから。
 今、太陽の活動も活発なので、オーロラが日本でも見られるとか。
 まあ見られる場所も、いつ起こるかも不明なので、映像ニュースで
 見ようと思っています。
 「振り蒔き輝き」と~き~きは、無理筋かな?
 下記URLに、冨田勲氏の月の光と、タモリ倶楽部出演時のYouTubeを
 貼付しているので、御覧下さい。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/4bbf8fc643400cc12aaeb437e38e8895

【解説】
 今、十三夜の月を眺めてきました。十五夜には少し及びませんが神々しい
 までの輝きを夜空に放っていました。なお、残念ながら流星は確認でき
 ませんでした。その後、作者の紹介により「冨田勲 ドビッシー 月の光」
 の
YouTubeを視聴させて頂きました。
 「月の光」の楽曲は、皆さんご存知のようにフランスの印象派の作曲家
 クロード・ドビュッシーが作曲したピアノ曲です。静かで神秘的な旋律が
 特徴で、世界中で愛されている名曲の一つです。
 冨田勲氏は、この「月の光」を自身のアルバム『月の光~ドビュッシーに
 よるメルヘンの世界』で取り上げ、シンセサイザーを用いて独自の解釈を
 加えたことで大きな話題となりました。
 冨田勲氏は、オリジナルのピアノの音色を忠実に再現するのではなく、
 シンセサイザーならではの広がりや深みのある音色を用いて、「月の光」
 の世界を新たな視点から表現し、オリジナルの静謐な雰囲気を残しつつ、
 宇宙的な広がりを感じさせる壮大なスケール感を持った作品に仕上げて
 います。
 この曲と、流星をテーマに、作者には三首の歌を詠んで頂きました。
 一首目の歌は、十三夜の月の認知度の低さを「静かすぎる」と詠い、
 同時に見えると言われる流星を「涙のカケラを振り蒔き輝き」と
 二首目で詠っています。「~き~き」は私は無理筋と思っていませんし、
 宏大な宇宙空間の広がりと、韻律を感じさせてくれます。
 三首目は「十三夜の月」と「流星」の狭間に揺れる自らを「虚空の何処を
 旅しているの」と詠い、居場所を確認していると解釈させて頂きました。
 なお、幾度も楽曲を聴きイメージを形づくる作者の、修行僧にも似た
 営みの結果紡ぎ出された短歌を、衿を正して鑑賞させて頂きました。

☆花と葉の互いを想う曼殊沙華 とき隔てたる さだめも超えて 
                         ポエット・M
【解説】
 曼殊沙華の開花が遅れていることは前回も触れましたが、未だ咲き残り
 紅の蕊を伸ばしています。無駄な装飾を削ぎ落し、すっきりとした蕊を
 空に向け開くこの花の潔さを見事と感じてしまいます。
 この花は、咲いている時期には葉がなく、葉が出ている時期には花が
 ないため「葉は花を想い、花は葉を想う」ことから「相思花」と呼ばれる
 ことを前回も記させて頂きました。

 こんな葉と花の宿命を、少し大げさですが、改めて詠ってみました。

 
     「未だ咲く 曼殊沙華」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(59)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

40.「短歌の章」 ソウルにおける国際会議(1)

   百九ヶ国より学者来りておのもおのも 
         腹ふくるることなきまでに言あぐ

   日本経済の基調報告成し終へて 
         会場を出づればすでに日暮れぬ

   古に栄えし新羅の跡止む
          佛国寺に秋の陽は静かなり

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                             了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その153 ネット歌会)

2024年10月16日 04時33分04秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その153 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「薔薇 デンティべス」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆秋ナスをご近所さんよりおすそ分け オリーブオイルでサッと炒める
                         西BOOさん
★秋ナスは遠慮しますと冷え性に 悪さするから怖い腰痛 
                         夕庵さん
★腰痛に身体(からだ)全体悪さする 妻が罹りし繊維筋痛症 
                         西BOOさん
★痛みとは気の萎えること甚だし 寄り添い祈る絶対完治を 
                         夕庵さん

☆回覧板開くと中に赤い羽根 僅かながらも一つを胸に
                         西BOOさん
★隣組とは名ばかりの回覧板 お別れできずに旅立ちし人
                         夕庵さん

☆馴染みなる書肆の閉店 秋風に貼り紙揺れて 暮れゆく家路
                         みっちっちさん
★立ち読みも見て見ぬふりの小父さんの 眼鏡の横顔もう見られない
                         夕庵さん
★立ち読みの後ろから来る足音は 秋去る音ぞ背筋ぞくりと
                         みっちっちさん
★後ろから呼ばれた声で振りむけど 萩の花揺る風 通り過ぐ 
                         夕庵さん
★後ろから呼ぶ君の声掠れしは 息切れるほど我の元へと
                         みっちっちさん

☆秋の雲ふはり夢とも現(うつつ)とも いつしかゆらりロッキングチェア
                         みっちっちさん
★夢でいい ロッキングチェアでふわふわの 子犬を膝にまどろみたいね
                         夕庵さん
★ふはふはの綿菓子君と食べたるは 祭太鼓の響きし夜長
                         みっちっちさん
★テレビ消し秋の夜長に反歌詠む 明日は活字に披露されむや 
                         夕庵さん

     「咲き初める 秋明菊」

☆遙かなる千枚田へと 稲雀 夕日の光撒き散らすごと 
                         みっちっちさん
★能登の海千枚田をも飲み込んで 今日は遙かな白山見ゆる
                         夕庵さん
★能登の海ちさき少女を呑み込みて 家族の元へ返さむと波
                         みっちっちさん
★列島に 母なる海の恩恵も 突然牙むき試練を与う
                         夕庵さん
★悲しきは水害犠牲の少女着し ジャージの名にて身元判明
                         みっちっちさん
★目に刺さる制服の娘(こ)のお下げ髪 父の無念は海より深し
                         夕庵さん
★紺碧の海よ 無垢なるたましひの悲しき果てを慰め給へ
                         みっちっちさん
★秋の陽を受けてたゆたうさざ波も 奪いし命恐れつつ見る
                         夕庵さん

☆暑き秋 蘂燃やすがに曼珠沙華 「相思花」の名を深く思えり
                         ポエット・M
★変わらない想いを告げる曼珠沙華 天界に居る君のもとまで
                         夕庵さん
★極楽の浄土彩る曼珠沙華 その花苑に君も憩うや 
                         ポエット・M
★天上に咲くとう白き曼珠沙華 色褪せるなく護り給えよ
                         夕庵さん
★天上を白く清める曼珠沙華 眺めて吾を偲びくれるや
                         ポエット・M
★曼珠沙華 彼岸と此岸を結ぶやに 朝露のなか両手ひろげて
                         夕庵さん
★朝露を まといてなおも曼珠沙華 天界さして蕊伸ばしいる
                         ポエット・M
★赤き蘂 崩れるほどに恋しくて この命さえ狂おしくなる
                         夕庵さん
★この命かけて悔いなき恋もなく 夕凪に聴く最終楽章
                         ポエット・M
★いま少し命永らえ彼岸花 巡りの季節(とき)に会いたきものよ
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「風に揺れる コスモス」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その152)

2024年10月09日 05時27分32秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その152) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「風に揺れる コスモス」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

☆机(き)にむかいじっと動かぬ吾の背を
           離れて見つむわが眼(まなこ)あり
☆雑踏に目を泳がせて待つ人を少しはなれて見つめてをりぬ
☆虫の声すだく夕べはうら寂し 手足の先より冷えのぼりくる
                         夕庵さん
【解説】
 「わが眼」「待つ人」「すだく虫の声」をテーマに三首の歌を作者の
 感性を交えて、味わい深く詠んで頂きました。
 特に、三首目の歌は、秋の夕べの情景とその中で感じる寂しさや冷え
 込みを見事に表現しています。
 「虫の声すだく」という初句は、秋の夜長の静けさの中に虫の音が
 響き渡る様子を、聴覚的にも鮮やかに描き出しています。
 なお、「夕べはうら寂し」と詠むことで、虫の音さえも寂しさを
 際立たせ、秋の夜長の寂寥感を深めています。
 さらに、下の句の「手足の先より冷えのぼりくる」という表現は、
 体の末端から徐々に冷えていく感覚を、如実に伝え、視覚だけで
 なく、触覚にも訴えかけることで、より立体的で鮮やかな情景が
 浮かび上がってきます。これら秋の夕暮れの情景描写を通して、
 作者の寂寥感も伝わってきますが、それを楽しむゆとりと懐の深さも
 同時に感じられます。

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」
 を中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの
 贈答短歌が中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますので
 ご指導よろしくお願いします。
 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は新規で
 作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「7.紅葉賀(もみじが)」
 朱雀院への行幸に先立ち、身重の藤壺に気遣って宮中で試楽が催された。
 源氏は頭の中将と青海波を舞い激賞されるが、藤壺は言葉少なに褒めた
 だけだった。出産のため三条宮に退出した藤壺は、さらに源氏を遠ざける。
 源氏の思いは藤壺に似る紫の上に向けられていく。このため葵の上との
 仲はいっそう遠くなった。藤壺が出産をした。源氏の生き写しの皇子を
 前にして、藤壺は恐れおののくが、事実を知らない帝は皇子の誕生を
 手放しで喜んだ。そのころ源氏は源典侍という好き者の老女と関係を
 持った。それを知った頭の中将も源典侍に通う人となる。ふたりは
 老女をだしにしてふざけあった。
〇そよそへつつ見るに心は なぐさまで 露けさまさる撫子の花 光源氏
註)なでし子の花を見るにつけ、愛しい御子と結びついてしまい、
  心は晴れるどころかむしろ涙が溢れてますます湿っぽくなって
  しまうことです

〇袖濡るる露のゆかりと思ふにも なほ疎まれぬ大和撫子    藤壺
註)涙で袖をぬらしている人の縁だと思うにつけても、やはり疎ましく
  思われることもあります。この大和撫子は
(返歌)
☆可愛らしく お生まれになって欲しいのも どうにもならない二人の仲は
☆光る君 返事届くも 嬉しさに 心が躍り 涙を流す
                         浅間山明鏡止水さん 
【解説】
 今回の歌は、「紅葉賀」の在りし日の光源氏と藤壺との贈答歌です。
 「苦悩にかこつけて見ていますが、心は慰められず涙があふれます、
 撫子の花よ」と光源氏が詠んでいますが、ここで撫子は若宮で、自分と
 藤壺の不義によって生まれた子でもあります。決して口外できぬ恐るべき
 罪業、源氏はこの苦悶を慰めようと共犯者たる藤壺に贈った歌です。
 それに対して藤壺は「袖濡るる 露のゆかりと・・・」の歌を返しました。
 「密通で産まれた子と思うにつけ、やはり疎ましく思われる撫子の
  ようなわが子よ」。しかし、下の句は「それでもやはり疎むことは
  できないわが子よ」という意味にもとれ、藤壺はどちらの想いにも
 揺れ
動いて苦悩していたと考えてしまいます。
 雅な振る舞いしか見せぬ高貴な人々も、心の内では己の過去の種まきで、
 もがき苦しんでいる。そのような内面の葛藤渦巻く描写が多いのも、
 「源氏物語」の特徴の一つであり、魅力とも考えます。
 これらを踏まえて作者の二首の返歌を鑑賞させて頂きました。 
 一首目は、下の句で「どうにもならない二人の仲は」と、一見突き放して
 詠っているように見えますが、二人に寄り添う優しさが滲んでいます。
 二首目は、中々返歌がない藤壺から届いた返歌に、小躍りする光源氏の
 様子を詠んでいます。藤壺の苦悩と葛藤への想いが意識的に避けられて
 いると理解しました。あえて「苦悶」も詠みこんでみましたが・・・。
【ご参考】
  ★耀ける撫子いだく君の頬 苦悶にじむも艶もあふるる

【詞書】能登の災害で詠ませて頂きました。
☆能登で家流され娘が見つからぬ 時も無情に流れゆきけり
【詞書】10月の真夏日を詠ませて頂きました。
☆10月に気温は8月下旬並み 神は確かに憤慨している
【詞書】能登の災害で詠ませて頂きました。
☆僅かでも赤十字社に義援金 能登よ復興諦めないで
                         西BOOさん
【解説】
 今回は、追加も含めて「能登豪雨」「10月の真夏日」「義援金」の
 今日的なテーマで三首詠んで頂きました。
 一首目の歌、福井県沖で30日に発見された女性の遺体について、DNA
 鑑定の結果、能登豪雨で行方不明となっていた石川県輪島市在住の
 喜三翼音さん(14)であることが報道されています。詠まれている
 ように、ご家族には発見されるまで「 時も無情に流れゆきけり」の
 日々であったことと思います。このように被害者の方に寄り添った
 詠歌は、少なからぬ励ましになっていると感じます。
 二首目の歌、10月は神無月とも呼ばれていますが、出雲に集まった
 神様たちも、この暑さに詠まれているように「憤慨」しているかも
 知れませんね。ユーモアも滲む辛口の良い歌と感じます。
 三首目の歌、私達も自らができる範囲で、復興支援をとの想いで諸々の
 チャネルで義援金やボランティアを重ねてきましたが、詠われている
 ように「復興諦めないで」の想いを届けることも大切なことと思います。
 能登はもとより、福島、熊本も含めて、未だ復興途上にある人々の状況に
 想いをめぐらす事の大切さを、改めてかみしめています。


     「揚羽蝶と紅の曼殊沙華」

【詞書】銀河、銀漢で二首、押入れに見つけたもので一首詠みましたので
  出詠します。
☆果てしなく続く円周率のごと 銀河に続く宇宙を眺む
☆大の字に寝て銀漢を見上ぐれば 沈みゆくやに ちさき我なり
☆押入れの奥に見つけし小箱には 返せぬままの鉛筆と恋
                         みっちっちさん
【解説】
 「銀河」「銀漢」「小箱」をテーマに、独創的な表現を交えて三首の歌を
 詠んで頂きました。
 一首目の歌は、宇宙の広大さと神秘を、数学の概念である「円周率」と
 結びつけ、独創的で新鮮な表現となっています。
 円周率は理系の人間にとって興味深いテーマの一つですが、この数字は
 無限に続く小数であり、その規則性は未だ見つかっていません。
 「果てしなく続く円周率」と「銀河に続く宇宙」を並置することで、
 無限に広がる宇宙と、それを表すための円周率を結びつけています。
 この対比は、宇宙の神秘をより深く感じさせ、想像力を刺激する表現と
 なっています。なお、「宇宙を眺む」という行為は、視覚的なイメージ
 を喚起し、宇宙の広大さをさらに実感させてくれます。
 二首目の歌の「銀漢」は、「銀河」と共に「天の川」を指しますが、
 銀河はアンドロメダ銀河など、宇宙に無数に存在する他の銀河も含めて
 指し、現代ではより学術的な言葉としても使われています。
 一方「銀漢」は、天の川をより美しく、幻想的なイメージで表現する
 詩歌や文学作品によく見られます。これらを使い分ける感性も大切と
 感じます。

【詞書】YouTube短歌:Jesu, Joy of Man's Desiring
☆私は今、神の言葉を聞いて生かされている
  この荒野にも
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 多分、誰でも一度は聴いた事の有る、ヨハン・セバスチャン・
 バッハの1723年に作曲した教会カンタータ『心と口と行いと生活で』
 (BWV147)の終曲のコラール「イエスは変わらざるわが喜び」
 (Jesus bleibet meine Freude)の英語からの訳「主よ、人の望みの
 喜びよ」を、聴いて短歌にしました。
 キリスト教的な短歌にしか出来ませんでした。バッハの教会
 カンタータの名曲だから当たり前ですが。😃
 「荒野でも」と迷ったのですが、何度も読み上げて「にも」としました。
 以下URLに、曲を2つ貼付していますので、お聴き戴ければ幸いです。
 映像なら、下の動画かな?
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/10f91f2927c1fd79c71c2040def5093a
                         自閑さん
【解説】
 作者の「短歌説明」にも記されていますが、バッハの作品の中でも
 特に人気の高いコラール「主よ、人の望みの喜びよ(Jesu, Joy of
  Man's Desiring)」は、その美しい旋律と深遠な精神性から、多くの
 人々に愛されてきました。結婚式の入場曲や退場曲としても人気の
 ある曲でもあります。
 「私は今、神の言葉を聞いて生かされている」の上の句は、深い感謝と
 敬虔な気持ちを感じさせ、バッハの音楽が持つ宗教的な深みと共鳴して
 いると感じます。また、「この荒野にも」の結句は、困難な状況や
 孤独感をも表現しており、その中で神の言葉に「生かされて」救われる
 という対比が印象的です。さらに、荒野という言葉が持つ広がりと
 孤独感が、歌全体に深みを与えていると考えます。
 バッハのコラールの曲を聴き、この歌に結実し表現し切る作者の心意気。
 その作歌における
力量の高さに、今回も学ばせて頂きました。

【詞書】クロもシニア犬に突入しながら、私達との日々を一緒に
  楽しんでいます。
☆彼岸花
    恋うる我が身は
  母を超え
    命貰えし
      幸多き日々
☆軽やかに
   クロの足音
  揺れる風
    彼岸花咲く
      朝ン歩の路
                         クロママさん
【解説】
 一首目の歌は、お彼岸に生まれた作者の深い想いの込められた詠歌と
 感じました。お母様が命がけで作者をこの世に届けてくれた物語は、
 涙なしには伺えません。その事実は伏せられ30歳を過ぎてから知ら
 されたとのこと。作者はそれだけお父様を始め多くの親族の方に
 愛され、見守られ大切に育てられた証でもあると感じます。
 「命貰えし 幸多き日々」は、作者の今の実感であり亡きお母様への
 深い想いと、感謝の思いが込められています。
 二首目の歌。愛犬クロちゃんと共に歩んだ日々は、作者ご夫妻に
 とってもかけがいのない日々であったことと思います。
 クロちゃんはシニア犬になりながらも、愛らしさには変わりなく、
 お二人に楽しさと、喜びをもたらしてくれる大切な存在になって
 いると考えます。
 そんなクロちゃんとの想いの交流が滲んだ歌には「クロちゃん愛」が
 溢れています。上の句を少し整理してみましたが・・・、
 いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★軽やかな
    クロの足音
   響く径
     彼岸花揺れる
        風の朝ン歩

     「風に揺れる 曼殊沙華」

【詞書】10月1日の午後6時40分ごろ、9月20日から入院していた父が
  亡くなりました。93歳でした。(医師による死亡宣告時刻は午後7時20分で、
  こっちが
公式の死亡時刻になるようです)
  私はこの日の2時から3時ぐらいまで様子を見に行ってましたが、
  明日まで持つかどうだか…みたいな感じだったので、夕方6時半過ぎに
  心肺停止したり動いたり、という電話があった時も「ああ、とうとうか…」
  という心情でした。
  姉にすぐ電話し、迎えに来てもらい(運転は義兄)、病院に向かい、急いで
  病室に入りましたが、父の息はもうありませんでした。私物の片付け、
  医師の死亡診断、いわゆる「エンゼルケア」(事前に用意した上下の下着、
  薄いブルーのワイシャツ、グレーのズボンと靴下は茶系…を着せて
  もらって髪を整え、髭も剃ってもらって…きれいにしてもらってました。
  看護師さんに「きれいなお顔ですね」って言われたのが、なんと言うか…
  何となく嬉しかったです)、病院への支払い…ののちに葬儀社さんたちが
  来られて、ストレッチャーに乗った父に付いて地下へ行き、葬儀社さんの
  車には私が同乗して帰路につきました。姉の車で、送迎バスやタクシーで
  10日あまり行き来した道とは違うルートで走っているのに気がついて、
  間もなく宇治川沿いに出ました。(確か府道241号線)対岸の民家の灯り、
  暗い宇治川の川面を見ていると、何となくいつの間にか口の中で呟く
  ように(運転している方に聞こえぬよう)斉藤和義さんの「歩いて帰ろう」
  を口ずさんでいました。歌い終わると父に「帰ろうなー…」…と呟いて…。
  …その前に、暗い宇治川を見ながら、「(父は三途の)川をもう渡ったん
  やろか…」なんて思ったりしてましたが、恥ずかしながら知りません
  でした。“初七日”まではまだ渡らないとされているのだそうですね。
  …初七日までとりあえず無事に終わりましたから、もう渡り終えましたか
  …。(火葬への)出棺前に棺の上に花束を置いて下さいと言われて、置く
  ときに「お疲れ様…良い旅を!」と言いました。…無事に渡りきれたと
  信じています。さあ…次は手続きの嵐です!
☆宇治川沿い 呟くように口ずさむ
       「歩いて帰ろう」 葬儀社の車中
☆葬儀社の車中の父の傍らで
    「“川”渡ったかな…」…いや“まだ”やったそう
【詞書】通夜の日の朝
  10月2日の朝、勝手口を出てフェンス越しに、咲いているのを見つけ
  ました。藪のようになった場所に逞しく咲くヒガンバナを見て、
  すっごく癒されました。変な話ですが「おっしゃ!頑張ろ!」って
  思いました。
  …今日10月8日、市役所に行こうとして、自転車を出す際にうちの
  玄関側から見える藪みたいになったとこには白いヒガンバナが
  咲いてました。こっちもちょっと嬉しかったです。
☆人の居ぬ隣家の庭の片隅に
          彼岸花見ゆ 通夜の日の朝
                         ちがやねこさん
【解説】
 お父様の大変な状況の中で「水曜サロン」へ出詠して頂きありがとう
 ございます。
 改めて、お父様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみを申し上げるとともに、
 心よりご冥福をお祈り致します。
 「水曜サロン」の皆様の想いも同様と感じます。
 一首目、二首目は作者の想いをそのまま表現した、お父様への「挽歌」と
 考えます。「三途の川」は初七日の過ぎに渡るとのことですが、六文銭は、
 故人が極楽浄土までの道のりでお金に困ることのないよう棺におさめる
 冥銭とのことですね。「呟くように口ずさむ」歌詞も、作者の想いを
 そのまま表現しているものと考えます。六文銭とともに、お父様に捧げる
 作者の心からの「ひき歌」と感じます。
 三首目の歌、彼岸花の花には詠まれているように癒しと共に、人を励ます
 不思議な力が宿っているものと考えます。名称に穏当を欠くものも一部
 ありますが、あの完璧なシンメトリーの花に「神の造形」を感じます。
 紅白の彼岸花に出会うのも嬉しいものですね。

☆暑き秋 蕊燃やすがに曼珠沙華 「相思花」の名を深く思えり
                         ポエット・M
【解説】
 曼殊沙華は、例年秋彼岸を前に咲くものと理解してきましたが、今年は
 10月になって初めて咲き始めました。二週間余の遅れと感じました。
 曼殊沙華の開花が遅れた主な原因は、秋の暑さによる休眠打破の遅れや
 生長阻害が原因とのことです。曼珠沙華は、一定期間の低温にさらされる
 ことで休眠が打破され、開花の準備が進みますが、秋の気温が高いと、
 この休眠打破が遅れてしまい、開花時期が遅れるとのことです。
 また、曼殊沙華は花が咲く時期と葉が出る時期がずれているという特徴が
 あり、花が咲いている時期には葉がなく、葉が出ている時期には花が
 ないため「葉は花を想い、花は葉を想う」ことから「相思花」と呼ばれる
 ようです。
 こんな背景を踏まえながら、遅く咲いた曼殊沙華に想いを寄せて詠ませて
 頂きました。

 
     「白花 曼殊沙華」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(58)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

39.「 短歌の章」 台北・東南アジア国際会議(1)

   釈迦牟尼佛の頭(かうべ)にしやかの実を 
         月出でし夜店に購ひにけり

   異郷の空に満つるに近き月出でぬ 
         風落ちし街にわが影を踏む

   夜深きを目覚めて聞けば旅枕
          花蓮の海の遠き潮騒

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                             了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その152 ネット歌会)

2024年10月09日 04時52分12秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その152 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「風に揺れる コスモス」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆能登で家流され娘が見つからぬ 時も無情に流れゆきけり
                         西BOOさん
★制服の姿のままに波の間を 漂い果てて父待つ胸に
                         夕庵さん

☆果てしなく続く円周率のごと 銀河に続く宇宙を眺む
                         みっちっちさん
★光より速く膨張するという 宇宙はまさに不可思議極む
                         西BOOさん
★無限なる宇宙の膨張見上ぐるは 有限といふいのちの不思議
                         みっちっちさん

☆大の字に寝て銀漢を眺むれば 沈みゆくやに ちさき我なり 
                         みっちっちさん
★十月の星空浄く澄みゆくに 偽情報やミサイルが飛ぶ
                         夕庵さん

☆押し入れの奥に見つけし小箱には 返せぬままの鉛筆と恋 
                         みっちっちさん
★断捨離の出来ぬ想い出蘇る つかず離れず恋の残像 
                         夕庵さん
★合宿の集合写真 真ん中に セピアの君の笑顔忘れじ
                         みっちっちさん
★バースデイ祝福の写真撮るときは 白い歯のぞかせ笑顔こそよし
                         夕庵さん
★笑み浮かべじつと前見る君なれば 責める言葉になほも動じず
                         みっちっちさん
★目を閉じて腕組みしつつ何思う 心の裡を晒さぬ君は 
                         夕庵さん
★気にかかる人と仲良くなるために 趣味や嗜好を合はせてみるも
                         みっちっちさん
★趣味嗜好合わせて努力のお付き合い 相寄りいつか似たもの同士
                         夕庵さん
★結ばれて似た者同士の夫婦なり 趣味は違へど 思ひやる心
                         みっちっちさん
★メニュー書き迷ったすえに同じもの 「きつねうどん」と声を揃えて
                         夕庵さん
★君ゴルフ我卓球と別々に 満足すれば争ひもなし
                         みっちっちさん
★スポーツの涙と汗の美しさ 君の前には架かる大虹
                         夕庵さん

     「曼殊沙華に憩う 揚羽蝶」

☆未だなお燃ゆる想いを秘めいるや 夕焼け雲の彩り見つめ
                         ポエット・M
★告げられぬ秘めし想いは夕焼けに 託して明日を待つ日のありき 
                         夕庵さん
★遠き日に告げえぬ想い夕焼けに つぶやき遥か よわい重ねる 
                         ポエット・M
★夕焼けは勇気をくれる色なれば よわい重ねど想いの増しぬ 
                         夕庵さん
★秘めいるもひとつのかたち 想いなお 埋もれ火のごと胸裡にある
                         ポエット・M
★秀をあげず胸処に燃ゆる想いこそ 美しき恋かと人には告げず
                         夕庵さん
★たゆとうも燃ゆる想いを秘めきたる 告げえぬゆえの哀しみもまた
                         ポエット・M
★成就せぬ恋もなつかし若き日の われの足跡辿りてみれば
                         夕庵さん
★哀しくも辿りてみれば 成就せぬ 恋のなきがら累々として
                         ポエット・M

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「遊歩道に未だ咲く 曼殊沙華 淡紅」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その151)

2024年10月02日 05時55分47秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その151) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「ようやく咲き始めた 曼殊沙華」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」を
 中心に返歌を楽しみたいと思っています。 主に光源氏と女性たちの贈答短歌が
 中心です。 今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますのでご指導よろしく
 お願いします。 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は
 新規で作成しています。 私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「6.末摘花(すえつむはな)」
 源氏ははかなく消えた夕顔のことが忘れられない。そんな折、乳母子の
 大輔命婦から、故常陸宮の姫君(末摘花)のことを聞く。
 姫は荒れた邸で琴だけを友として暮らしているという。興味を持った
 源氏は、早速常陸宮邸を訪れ、琴の音を耳にする。源氏の後をつけ、
 同様に姫に懸想をする頭の中将と源氏は恋の鞘当てを繰り広げるが、
 姫は一向になびいてこない。いらだった源氏は命婦に手引きさせ姫と
 強引に契りを結ぶが、姫の風情のなさに落胆する。忙しさに追われ
 しばらくぶりに姫のもとに訪れた源氏は、その翌朝見た姫の醜い姿、
 特にだらりと伸びた、先が赤い鼻に驚きを覚える。だが、落ちぶれた
 宮家の境遇を哀れと思い、姫の面倒を見続けた。二条院で、源氏は
 美しく成長する紫の上と、赤鼻の女の絵を描いたり、自分の鼻に紅を
 塗ったりして戯れた。
〇朝日さす 軒の垂氷(たるひ)は 解けながら 
          などかつららの 結ぼおるらん    光源氏
註)朝日のさす軒のつららはとけたのに あなたは張りつめた
  氷のようで なぜ打ちとけてくれないのでしょう
〇唐衣君が心のつらければ 袂はかくぞそぼちつつのみ   末摘花
註)あなたの心が薄情なのでわたしの袂はこのように涙で
  ぬれ続けてばかりです
(返歌)
☆気の利いた和歌の一つも贈らねば 貴公子こその名が廃るのは
☆微笑して手紙を眺める源氏には 歌作苦心想像するも
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 光源氏が中年になってから、自らの屋敷に迎い入れた女性は6人いましたが
 そのうちの一人が末摘花です。当時の美貌至上主義の風潮からみても遠い
 存在であった末摘花を「なぜ?」との疑問が残りますが、ここにも紫式部の
 女性観と、人の真実に寄せる想いの深さが見られます。
 とりわけ、光源氏が地位をなくし、須磨・明石に移ってからも待ち続けた、
 末摘花の一途さと、誠実さに打たれたのではないかと思っています。
 そのような背景を踏まえて、光源氏と末摘花の歌と、作者の返歌を鑑賞
 しますと、作者の歌はいずれも光源氏の想いを中心にして詠まれています。
 このような返しも視点をずらす技として面白いものですが、それぞれの
 方の歌に寄り添って、先ず返歌をしてみたいと思います。
 このような歌ではいかがでしょうか。
【ご参考】
 ★朝日にも溶けえぬ君の冷たさよ 吾にも笑みの一つも向けよ
 ★君ゆえに我の袂も濡らしいる 届かぬ想い秘める哀しさ

【詞書】能登の自然災害について詠ませて頂きました。
☆無情にも震災復興途上なる 能登に出される特別警報
【詞書】お彼岸から秋らしくなったことを詠ませて頂きました。
☆お彼岸のはぎのお下がりよばれつつ 冷房offで眠れる夜へ
                         西BOOさん
【解説】
 「能登の自然災害」「お彼岸」と最新のテーマで、作者の独自の
 切り口から詠んで頂きました。
 一首目の歌、今年の元日に襲われた能登半島地震からの復興途上に
 ある能登半島を豪雨が襲い、死者13名、行方不明者5人を出すという
 大災害となりました。
 作者も詠まれているように、自然の「無情」に改めて脅威を感じます。
 CO2の排出による地球温暖化が背景にあるとは言え、早急の被害者
 救済が必須と考えます。災害の実態をこのように歌に遺していくことは
 私たち、歌を詠む者の責務とも考えます。改めて身罷った皆様の
 ご冥福をお祈り申し上げます。
 二首目の歌、詠まれているように、あれほど続いた炎暑の日々も、
 お彼岸を境に冷房も不要な状況になりつつありますね。なお、予報に
 よりますと、また夏日が復活する様子ですが、あの炎暑はもうこりごり
 ですね。「冷房offで眠れる夜へ」の下の句に、ホッと胸をなでおろし
 眠りにつく作者の様子が味わいをもって表現されています。

【詞書】又、秋空で二首、色鳥で一首詠みましたので出詠いたします。
  洋裁が好きだった亡き母は、綺麗な生地をいっばい遺していました。
  時々、縁側に広げて見て母を偲びます。色鳥も寄ってきて楽しんで
  いるかのようです。
☆ふうはりと立ち上ぐ麒麟 秋空に首突つ込むがごとぐんと伸ぶ
☆秋天を打ち破らむと子らの声 トランポリンで高さ競ひて
☆亡き母の遺せし生地を広げみる縁の狭庭に色鳥戯(ざ)れり
                         みっちっちさん
【解説】
 「秋空」「色鳥」の季語を詠みこみ、三首の歌を情趣豊かに詠んで
 頂きました。
 三首目の歌、上の句の「生地を広げみる」という動作が、視覚と触覚に
 訴えかけ、具体的なイメージを示して、亡き母の温もりが感じられる
 ほのぼのとした描写となっています。「布地」は作者にとって亡き母の
 愛情や温もりの籠った象徴的な存在なのかも知れません。
 さらに、亡き母を偲ぶ静かな情景と、色鮮やかな鳥の活気ある様子が
 対比され、対比の美しさとともに余韻も残しています。
 また、「縁の狭庭」という言葉は、作者の心の内を映し出しているように
 思えますし、この庭も作者にとって、母との思い出が詰まった特別で、
 大切な場所と感じます。
 一首目の「秋空に首突つ込むがごと」の表現がユニークで効いていますね。


     「夕映えに染まる 酔芙蓉 八重」

【詞書】早朝散歩がすっかり楽しくなりました。
☆早朝の散歩の醍醐味ひとり占め まだ眠りいる町は手のなか
【詞書】昔はよく見かけた無花果もいまや高級品になりました。
☆ぼってりと手のひらに乗るイチジクの切り口白き汁の滴る
【詞書】中秋の名月の神々しい満月
☆満月は中天高く太々と 隈なく照るを共に歩みぬ
                         夕庵さん
【解説】
 「早朝の散歩」「イチジク」「中秋の名月」をテーマに、秋の趣の
 感じられる三首の歌を詠んで頂きました。
 特に三首目の歌について触れさせて頂きます。
 今年の「中秋の名月」は、満月より一日早かったとのことですが、神々しい
 までの輝きは満月そのものでしたね。
 満月の光に包まれながら、その光を全身に感じつつ歩いている作者の満ち
 足りた表情が目に浮かびます。「共に歩みぬ」の結句はどなたかと一緒に
 歩んでいるとの解釈もありますが、ここでは月と共にその光を浴びながら…と
 解釈致しました。
 なお、「隈なく照る」という4句目の言葉は、満月の光の広がりと明るさを
 表現しており、私達の心に秋の澄明な空気と、広がりのある風景を描きだして
 くれます。
 一首目の「町は手のなか」の表現も、街を俯瞰する広がりがあっていいですね。
 なお、4句目は「まだ眠りいる町」とさせて頂きました。

【詞書】9月20日に倒れ、救急で病院に運ばれて入院した父ですが、23日あたりから
  意識はないものの、病棟の方々の処置で何とか呼吸は続いています。昨日、
  姉と行ったらその前日あたりから低くなっていた血圧がやはりそのままで、
  脈拍は少なくなってましたが、118とか120とかは熱が高かったらしく、
  80とか70台とかならまだ何とか…のようでした。決して回復どころか目も
  再び開きはしないだろうけど、あまりに急だったショックはまだ身体の
  内にあるようです。“別れ”はすぐそこなんでしょうけど…。“その先”
  のことをもろもろ…自分自身も忙しい身の姉に叱り飛ばされながら徐々に
  備えている今日この頃です。

☆父倒れ
  10日になりて 重篤な状態続き日々不安なり
【詞書】ななめ裏のお宅に小さい子(一番上の子で小学生の低学年ぐらいかと)
  が居るんですが、けっこうワーワーと騒いだりする声も聞こえたりは
  しますが、今日9月30日の昼頃にはピアニカだと思うんですが、練習して
  いるらしいメロディが聞こえたんです。(何の曲かは判りませんでしたが)
  何ででしょうね、いつもの子供嫌いの私なら、ちらりと「うっせー」とか
  思ったりするだろうに、先ほどは「練習してるなあ…けっこう上手やなあ」
  なんて思ったんですね。何でしょうね…このところ“死”が身近に
  有りすぎるせいでしょうか…。…ふと、昔難波でバイトしてた頃に、
  ある日なんだかいろいろ上手くできなくて気分がズーンと落ち込んで
  いた時に何となく戎橋(現在と姿が違います。2000年ぐらいの話ですから)
  に来て、ストリートで演奏している人達の生ギターの音に凄く癒された
  事を思い出しました。(ブルーハーツやってた子に「日曜日よりの使者」を
  リクエストしたっけ…)なんかやっぱし音楽って何らかの癒しになりますね。😊
☆こんな時だからだろうか 近所からピアニカの音 ふっと微笑む
                         ちがやねこさん
【解説】
 お父様の重篤な病の看病で身も心も大変な中、作品をお寄せ頂き感謝
 致します。作者の大変な状況と、その想いをサロンの歌友の
皆さんで
 共有して参りたいと思います。改めてお見舞い申し上げます。

 おっしゃる様に「“死”が身近に有りすぎる」中で、人は、音楽や詩に自らの
 想いを預け、ひと時の安らぎを得ることがあるのでは
ないでしょうか。
 一首目の歌、まさに「不安」を率直に吐露した歌は、作者の現状を
 そのまま表現しています。短歌は31音という小さな器ですが、自らの想いを
 受け止めてくれる十分な容量を持っていると考えます。

 私もかつて現役の時、プロジェクトの壁にぶつかり、その責任の重圧に
 押しつぶされそうになった時、この「31音の小さな器」に
想いを吐き出す
 ことによって救われた経験が幾たびかありました。

 お父様の現状を受け入れつつ、回復への祈りを込めて、自らの厳しい
 精神状況を丸ごと詠むことにより癒しに繋がっていくものと
考えます。
 二首目の歌、お父様の現状を踏まえつつ、不安と祈りの想いの中で、
 それだけ感性が研ぎ済まされているのだと思います。それゆえに
 「ピアニカの音」と生ギターの音の思い出に、感応するのだと思います。
 結句の「ふっと微笑む」に、癒しそのものを感じます。

【詞書】YouTube短歌:必死に生きる 冨田勲・展覧会の絵「リモージュの市場」
☆真っ暗な洞窟
  求め歩き回った甲虫のみ生き残った

【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 リモージュ(Limoges)は、フランスの中部に位置する都市で、ヌーヴェル=
 アキテーヌ地域圏、オート=ヴィエンヌ県のコミューンである。リモージュ
 磁器の生産で知られます。
 真っ暗な無明の洞窟に閉じ込められた。人も同じ。必死にもがき歩き回った
 甲虫が走り回る様子に聞こえた。十二因縁の根本の無明に始まる物語を。
 無明、行、識、名色、六処、触、受、愛、取、有、生、老死。
 と仏教とは真逆をイメージしました。
 以下URLに、展覧会の絵を貼付していますので、お聴き戴ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/b3c6e84e281bdccd8134610b7b3c9369
                         自閑さん
【解説】
 前にも少し触れましたが、冨田勲氏は、ムソルグスキー作曲のクラシック
 音楽と現代音楽との融合を図り、独自の解釈を加え、シンセサイザーにより
 再構築し全く新しい音楽作品へと昇華させました。
 今回の詠歌のテーマとなった、「リモージュの市場」もムソルグスキーの
 オリジナル作品を、冨田勲氏が独自に再解釈した一曲です。ご案内により
 ユーチューブを視聴させて頂きました。
 作者の「無明の洞窟」との解釈も見事で、深い想いを感じましたが、少し違った
 視点から鑑賞させて頂きました。冨田勲氏も様々な解釈を薦めていたと感じ
 ましたが、短歌解釈と同様に力強いエールと考えます。
 私は、モーグ・シンセサイザーをはじめとする電子楽器を駆使し、市場の喧騒、
 人々のざわめき、様々な商品が並ぶ様子などを、鮮やかな音で描き出していると
 感じましたが、作者に比べ「題」に囚われた表層的な解釈かも知れません。
 作者は、この曲から「十二因縁」を発想し、「求め歩き回った甲虫のみ生き
 残った」との歌に結実させる作歌力の凄さを、今更ながらに感じました。
 明日をも知れない無明の闇の中で、もがきながらも必死に日々を生きる事こそ
 尊いし、それが生き残る道なのだと解釈させて頂きました。そこには市井で
 暮らす人々への温かな
眼差しが感じられます。

☆未だなお燃ゆる想いを秘めいるや 夕焼雲の彩どりみつめ
                         ポエット・M
【解説】
 炎暑の続いた日々もようやく秋めいてきましたが、夕焼けとともに彩雲が
 西空に浮いています。夏の季節に見られなかった夕焼けの、鮮やかな
 グラデーションは一日の終焉を飾る天空の粋な計らいかとも感じますが…。
 そんな情景に真向かい自らを省みて詠ってみました。未だ裡に燃える想いを
 宿しているか…との自省をこめて。


     「未だ咲く 昼顔」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(57)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

38.「 短歌の章」 中国大陸抄(2)

   延々六千キロ長城万里 
         光芒の歴史語りて 朔風寒し

   春浅きあまつ陽ぞあまねく輝り沈む 
       長城六千キロの深きしづもり

   桐の花ほのぼの咲きて行く春に
          貧しき農家老婆いねむ

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                             了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その151 ネット歌会)

2024年10月02日 05時32分29秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その151 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「咲き競う コスモス」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆無情にも震災復興途上なる 能登に出される特別警報 
                         西BOOさん
★被災地の無残なニュースに胸塞ぎ 歌詠むことの無力さにいる 
                         夕庵さん
★震災の後は洪水被害なり 能登の神はどこへいずこへ
                         西BOOさん
★片方の娘の靴を 胸に抱き 瓦礫の山を さ迷う父よ
                         夕庵さん

☆早朝の散歩の醍醐味ひとり占め まだ眠りいる町は手のなか
                         夕庵さん
★夜長にて暗き午前5時の朝 電灯の元 秋を感じゆ
                         西BOOさん
★早朝の散歩も徐々に遅くなり しらじら明けるを窓にたしかむ
                         夕庵さん

☆ふうはりと立ち上ぐ麒麟 秋空に首突っ込むがごとぐんと伸ぶ
                         みっちっちさん
★長い首見下ろし嘆く麒麟らに 下界で騒ぐ懲りない奴ら
                         夕庵さん
★悪ひことすれば閻魔が見てゐると 子供心に植へ付けられし
                         みっちっちさん
★射貫くよな閻魔様の目に合えば 押し問答の過ぎ去りし日々
                         夕庵さん
★遠き日の押し問答の仲間達 ひときは光る慧眼の君
                         みっちっちさん
★眼力の鋭き人に目を伏せる 弱気が故のわれの動きは
                         夕庵さん
★深呼吸してピン球をじつと見る 弱気封印してサーブ前
                         みっちっちさん
★車いすテニスの王者小田凱人 ビッグマウスも勝利の確信
                         夕庵さん
★亡き母と最後の散歩 公園で車椅子借り 笑顔あふれて
                         みっちっちさん
★すいすいと 自動運転の車椅子 90翁が 余裕の散歩
                         夕庵さん
★運転の好きな吾なれど いつの日か 自動運転乗りたきものよ
                         みっちっちさん
★いつの日か空を走るや車列して AIの進歩とどまり知らず
                         夕庵さん
★万博に火星の石を展示とふ 宇宙飛ぶ夢いつの日叶ふ
                         みっちっちさん
★火星には火星人が居たのかな 地球に飽きたら火星へ行こう
                         夕庵さん
★真実の友ははるかに火星行き 遠く住めども心信じて
                         みっちっちさん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「遊歩道に未だ咲く ハイビスカス」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その150)

2024年09月25日 05時29分40秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その150) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「未だ咲き継ぐ 酔芙蓉 八重」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」を
 中心に返歌を楽しみたいと思っています。 主に光源氏と女性たちの贈答短歌が
 中心です。 今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますのでご指導よろしく
 お願いします。 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は
 新規で作成しています。 私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「5.若紫(わかむらさき)」
 十八歳の春、源氏は瘧病に苦しみ、加持を受けに北山の聖のもとを訪ねる。
 その夕暮れ由緒ありげな某僧都の家で可憐な少女(紫の上)を垣間見る。
 その少女は源氏が恋い焦がれる藤壺の宮に生き写しだった。母を失い、
 祖母の尼君に育てられるこの少女は兵部卿宮の姫君で藤壺の宮の姪だった。
 源氏はこの少女を自らの手で育てたい旨を、僧都や尼君に願い出るが、
 少女の幼い年齢もあって、まったく相手にされない。それにも拘らず源氏は、
 病から癒え下山した後も少女に執心する。その頃、藤壺の宮が宮中から里に
 下がった。源氏は藤壺の宮に仕える王命婦を頼りに、藤壺と夢のような
 逢瀬を持つ。そして、この一回の密会で藤壺は懐妊する。ふたりは罪の意識に
 苛まれるが、源氏は藤壺への思いをますます強めた。しばし後、紫の上の祖母、
 尼君が亡くなった。源氏は紫の上を半ば盗み取るようにして、二条院に
 連れ去った。少女は二条院の暮らしにすぐになじみ、源氏になついていった。
〇はつ草の 若葉のうへを見つるより 旅寝の袖も つゆぞかわかぬ  光源氏
註)初草の若葉のようなかわいらしい女の子を見てからは、旅の衣の袖の乾く
  まもなく、恋しさの涙の露にぬれています。
〇枕ゆう 今宵ばかりの 露けきを 深山の苔に くらべざらなむ   尼君
註)旅寝の枕の今夜だけの露で濡れた袖を深山で苔むすほど濡れている枕と
  お比べにならないでください。
(返歌)
☆藤壺に愛の執着裏返し 想えば想う燃える恋情が
☆尼君は驚くほどの衝撃も 垣間見る姫に異常な想い
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 作者の短歌説明にも記されていますが、光源氏が恋い焦がれる藤壺の宮に
 生き写しだった若紫(紫の上)の出現は、源氏物語の最初の謎であり、
 異常さを秘めた展開になっていると考えます。
 後に光源氏の正妻になる紫の上は、この時10才と文字通り乙女で、
 「恋しさの涙の露にぬれて」と詠うには、いささか異常さを感じます。
 その異常さをいち早く感じた、祖母でもある尼君は光源氏の申し出を
 はぐらかして「深山の苔に くらべざらなむ」と返しています。
 その辺の事情を踏まえた作者の返歌ですが、二首何れも、それぞれの
 詠み手の方に寄り添った内容になっています。
 これらの返歌について、少し踏み込み、視点を変えて詠んでみましたが
 いかがでしょうか。
【ご参考】
★かの君の面影やどす はつ草の 乙女をみそめ心みだるる
★尼君の はぐらかしにも めげずして 姫に寄せたる想いつらぬく

【詞書】秋の空を三首詠みましたので出詠いたします。
☆窓拭きのゴンドラ高く まつさらの秋青空を磨くごとくに
☆秋天を今 高跳びの人とバー スローモーションのごとく降り来る
☆秋空をゆるゆる回る観覧車 いくつの恋の想ひを乗せて
                         みっちっちさん
【解説】
 「秋の空」を主題に三首詠んで頂きましたが、いずれも作者の発見と
 感動が詠みこまれ、清澄な秋景色が表現されています。
 特に、三首目の歌は、秋の穏やかな空の下でゆっくりと回る観覧車が、
 いくつもの恋の思い出を乗せて回る象徴として描かれています。
 「いくつの恋の想ひを乗せて」というフレーズは、観覧車に乗る人々、
 とりわけ作者も含めて様々な方の恋の思い出を想起させ、観覧車が回る
 たびに、過去の恋の記憶がそれぞれの方の胸に蘇る情景が浮かびます。
 この歌は視覚的な美しさと、想いの深さを兼ね備えており、秋の風景と
 恋の思い出を巧みに結びつけ、作者の感性の豊かさがよく表れている
 作品だと感じます。
 なお、栗木京子氏の「観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生」
 (「水惑星」)の歌を思い出させ、心地よい歌の世界に誘ってくれます。


     「咲き残る 芙蓉の花」

【詞書】まだ、シオカラトンボが飛んでいたことを詠ませて頂きました。
☆赤とんぼに交じりてシオカラトンボ見る まだ夏だと思ひているかも
【詞書】月見で詠ませて頂きました。
☆中秋の名月の中 餅つきをする兎さん確かに見たり
【詞書】大谷選手で詠ませて頂きました。
☆BSで 大谷選手の50号 歴史の瞬間 目撃をする
                         西BOOさん
【解説】
 「シオカラトンボ」「中秋の名月」「大谷選手の50号ホームラン」
 とをテーマに、追加分も含めて三首詠んで頂きました。
 三首目の歌、詠まれているように、まさに世界の人々が「歴史の瞬間」を
 目撃することになりましたね。
 9月23日の時点で既に「53-55」が達成されたとのことで、「51-51」の
 達成時には各地で号外も配布されたとの報道に接しました。
 肘の手術後の、リハビリの最中にある選手としての記録としてみると、
 まさに「前人未踏」「歴史的」「人間業ではない」等々の形容詞でも
 足りない偉業ですね。私たちも、歌で表現しつつ偉業を讃えたいと思います。
 二首目の歌は、澄んだ空気の中で眺める「中秋の名月」故に「兎さん」が
 想像力をかき立て、ロマンに満ちた物語も生まれますね。このような
 ほのぼのとした歌もいいものですね。

【詞書】スイカにせよ大根にせよ、植物達はただそこで芽吹き、芽吹いた
  からには成長し、生きて実を付ける…。それだけなんでしょうけど、
  条件の悪いところに根付いた野菜や果物が生る植物には人は
  「頑張ってる!」とかいう思いを馳せてその成長を愉しむんですよね。
  楽しい話題だしいいんですが、なんで道路端…何で中央分離帯…。😅
☆植物は己の営み果たすだけ
    思い乗せるは人の愉楽よ
【詞書】あまりに突然の事でした。
  18日の晩に、2日ほど「目まいが収まらない」と言っていた父が、晩御飯
  どうするのか聞きに2階へ上がろうとしたら、階段の一番上に座っていて、
  「まだ目が回るんやけど…」みたいに言うもんで、「お粥作って部屋に 
  持ってってあげようか?」と聞くと、「いや、降りる」と言うので「ゆっくり
  降りといでや」と返して私は1階へ・・・。
  前日に姉と「1階で寝かせよう」ということを決め、準備をして義兄が
  おぶって下へ連れて行ってくれることになっていたので来てくれ
  ましたが、「救急車呼ばなあかんわ!」と呼んでくれて、宇治徳洲会病院へ。
  ・・・そこからは、もう怒濤のようでした。
  ER内では医師の呼びかけ「指1本上げて下さい」などや、私が話掛ける
  のにも「うん」などの反応したりしてました。自力でトイレに行こうと
  「トイレ…」と訴えたりもしていました。(「トイレ行かな…」は
  その後もあり)そのうち病室が決まり、様子を見てから病棟を辞し、
  1階のローソンで食べるものを買って食べ、姉に連絡を入れてから
  受付ロビーの近くに居るとERの医師から連絡が入り、「CT画像に気に
  なる箇所がありまして…」とMRIを撮りますの連絡(家族の承認の為?)。
  到着した姉と病室に向かうと脳神経外科の先生のお話が…。
  この3日間ぐらいで「“小脳”梗塞」を起こしている、という話…。
  話を聞いた後に姉と共に父が居る部屋に行ったのち、脳神経外科の病室に
  変わると聞き、その日の晩に移動しました。
  …その後母も連れて行ったりしましたが、やはりあまりに唐突で戸惑い
  ましたし、「容態が…」という電話も少なくとも2回はありました。
  昨日私が1人で行った時も変化はあったりして…。嚥下障害も起きている
  ので(“舌が落ちている”とも)気道確保と栄養や薬剤の投与のために
  鼻からのチューブを入れるということには母、姉と話し合い、同意して
  ますが、そうすることによって、精神的にも物理的にも準備をする時間が
  できた、と思います。看護師さんが仰るには「拒否反応を示すご家族様も
  居られます」とのことでしたが、チューブの挿入を選んだことで色々
  できる時間を得たのは姉も私も同じ思いです。
  まだ今日は病院からの連絡はありませんが、この後行きます。では。
  (事の顛末を長々とすみません。のほほんと能天気な私も何とか
  しゃんとしなければ…と思います)
☆呼吸のみ酸素送られする父の
         過ごした93年思う
☆もう少し…まだもう少し…と願うのみ
         病床の父は反応もせず
                         ちがやねこさん
【解説】
 一首目の歌、詠まれている通りですね。植物は自然の摂理に従って花を咲かせ、
 実りまで、己の生を淡々と全うしているだけですね。人はどんな事象にも
 物語性を感じ、そこに自己投影して小さな感動を味わう特性を持っているものと
 考えます。その延長に「ど根性○○」が生まれるのだと考えます。

 そんなささやかな感動を与えてくれる「ど根性○○」たちに拍手を送りたい
 想いです。また、このような歌が生まれることも楽しみです。

 二首目、三週目の歌は、お父様が重篤な病に襲われ、その対応の中で詠まれた
 歌ですので、切迫感と緊張感が伝わって来ます。心からの
お見舞いを申し上げます。
 いずれの歌も、作者のお父様への偽らざる
想いと、どうか無事に回復してとの
 深い祈りが滲んでいます。

 お父様の病、「小脳梗塞」とは小脳に発生する脳梗塞の一種で、身体の平衡を
 保つ機能を司っている部分の血管が詰まり、血液が十分に行き
届かなくなる
 ことで発症するとのこと。

 この結果、主な症状としては、平衡感覚の障害(まっすぐに歩けない、ふらつき)、
 回転性のめまい、手足の動きがぎこちなくなる等がある
とのことですが、
 お父様の症状はすべて当てはまるようですね。

 発症から3時間以内であれば、血栓を溶かす薬物療法が有効でかなりの回復が
 見込めるようです。ともあれ、高齢等を考慮すると十分な治療と、
リハビリが
 必要と考えます。先ずは、作者とご兄弟で協力しながら、
心を強く持って
 見守って頂ければと思います。
 私達も、お父様のご無事とご回復を祈らせて頂きます。


     「咲き競う コスモス」

【詞書】この歌は兄弟で飛騨を旅したとき、小さな美術館で円空仏が
  展示されていました。最近大阪のアベノハルカスであったのですが
  行きそびれてしまって返す返すも残念でした。
☆飛騨の里 円空仏は微笑みと 祈りと怒りの荒き彫り跡
☆微笑みて囁き交わす道祖神 コスモス揺れる馬籠の里に
☆肩に手をかけて寄り添う安曇野の紅の残れる道祖神立つ
                         夕庵さん
【解説】
 飛騨から信州安曇野をめぐるご兄弟の旅は、秋の風情を味わう素敵な情景に
 彩られていたことと思います。その中で詠まれた三首の歌は、
いずれも旅の
 楽しさを滲ませながらも、抑えた色調で詠い、味わい深い作品となっています。

 特に、二首目の歌は、馬籠の里の道祖神と、コスモスの風景が的確な言葉で
 描かれ、静かで温かい雰囲気を醸し出しています。 
 道祖神は、古くから村の守り神として信仰されてきましたが、この歌では、
 道祖神が単なる石像ではなく、村人を見守る身近な存在と暗示されています。
 道祖神がなぜ微笑んでいるのか、何を囁いているのか等々、私達の想像力を
 かき立ててくれ、ほのぼのとした歌になっています。
 なお、コスモスは、秋を代表する花であり、しばしば人の一生や宇宙を
 象徴するものとして捉えられてきました。ここでのコスモスは、道祖神と
 対比されることで、生命のサイクルや時間の緩やかな流れを暗示している
 のかも知れません。
 また、この歌からは穏やかで、ゆったりとした時の流れを感じますが、
 この穏やかさの中に、どこかもの哀しさも感じます。秋ゆえでしょうか。

【詞書】YouTube短歌:泥の中 冨田勲 展覧会の絵
  ゴールデンベルグとシュミュイレ
☆泥がいつまでも消えない
  あちこち走り回り

  水を飲んで・・・生きよう
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 8月の豪雨で、床上浸水を受けた方々、お見舞い申し上げます。
 9月も能登地方に、線状降水帯が発生して、記録的豪雨の為に、
 多くの被害が又発生してしまいました。
 途中は、猛暑日が続き、復旧作業も、兎に角小まめに水分補給
 していたと思います。
 展覧会の絵のザムエル・ゴルデンベルクとシュムイルは、
 「ふたりのユダヤ人~太った男と痩せた男」という副題が
 ついており、裕福で傲慢な男ゴルデンベルクと、貧しく卑屈な
 男シュムイレの会話を描写した作品との事です。
 冨田勲のシンセサイザー版を聴いていると、まるで泥の中に
 いる様な気がしました。
 以下URLに、展覧会の絵を貼付していますので、お聴き戴ければ
 幸いです。
https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/7296c60398ac17d8211b894a24525d09
                         自閑さん
【解説】
 元日の大地震からの復興途上にあった能登地方に、無情にも記録的な豪雨が
 襲うという哀しい事態となりました。作者と共に私達も、改めて身罷った方に
 哀悼の誠を捧げる
とともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
 「モデスト・ムソルグスキー」の原曲では、サミュエル・ゴールデンベルグが
 威圧的で、シュミュイレが弱々しい人物として描写されていますが、冨田勲の
 アレンジではその立場が逆転して描かれていますね。シュミュイレのような
 立場の弱い人物が集団で主張を行い、それに圧倒されたサミュエル・
 ゴールデンベルグが怯えた声で歌う、といった表現に変えられています。
 この「怯えた声で歌う」状態が、泥沼の中でもがくイメージとなったことと
 思います。詠われているように「あちこち走り回り 水を飲んで…生きよう」と
 もがきながらも、生きようとする前向きな想いを表現した歌と感じます。
 なお、ウイスキーの語源はゲール語の「Uisge-beatha」に由来し、この言葉は
 「命の水」を意味するとのことですが、「水を飲んで・・・生きよう」の
 「水」は、この語源を暗示しているかに感じます。

☆さるすべり未だ咲き継ぐ遊歩道 彼岸いたるも炎暑は止まず
                         ポエット・M
【解説】
 散策で訪れる遊歩道には、未ださるすべりが咲き競っています。秋彼岸に
 なるにも関わらず、その鮮やかな薄紅色の花は夏の盛りを思わせる勢いを
 未だ留めています。9月に入っても猛暑日が続き日本列島は、依然として
 暑いままとなっていますが、そんな気象を楽しむかのように咲き継ぐ
 百日紅(サルスベリ)の花を詠ってみました。
 秋彼岸となっているにもかかわらず炎暑が続くのは、異常気象や気候変動の
 影響と感じますが、そんな事象への戸惑いも表してみました。


     「未だ咲く さるすべりの花」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(56)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

37.「 短歌の章」 中国大陸抄(2)

   長安の古き歴史は幻なし 
         崩れし城壁に 春は深まりぬ

   楊貴妃の湯あみをなせし華清の池 
       白楽天は長恨歌に あてに歌ひし

   匈奴迫り 人馬競ひてひしめきし
          長城茫々碧空にあり

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】

 今回は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                             了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その150 ネット歌会)

2024年09月25日 04時57分11秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その150 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「未だ咲く 宗旦むくげ」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆中秋の名月の中 餅つきをする兎さん確かに見たり
                         西BOOさん
★遙けくは 物干し台に 仰ぎ見た 月の兎の夢物語
                         夕庵さん
★猛暑日の続く9月に 月の中 兎も汗をかいてる様な
                         西BOOさん
★月の夜は兎が餅をつくという 思い遙々 ひ孫と見あぐ
                         夕庵さん

☆BSで 大谷選手の50号 歴史の瞬間 目撃をする
                         西BOOさん
★野球道 爆進中の翔平よ 君は神の子 日本の男(お)の子
                         夕庵さん
★50号驚くも早52号 何処まで歴史を塗替えるのか
                         西BOOさん
★大谷の歴史を作る秘訣とは 10時間余の睡眠という
                         夕庵さん

☆秋天を今 高飛びの人とバー スローモーションのごとく降り来る
                         みっちっちさん
★裏庭を腰低くして横切りぬ 猫も老いたり スローモーション
                         夕庵さん
★哲学者めくまなざしでハシビロコウ ただ瞬きのスローモーション
                         みっちっちさん
★これからはスローに生きむと思う朝 見過ごすことも許してよしと
                         夕庵さん
★あれこれとせはしく生きる我なれど たまにスローの朝もよきかな
                         みっちっちさん
★穏やかにシンプルに生く心がけ 「無念無想」の境地を学ぶ
                         夕庵さん

     「未だ咲く ブーゲンビリア」

☆秋空をゆるゆる回る観覧車 いくつの恋の想ひを乗せて
                         みっちっちさん
★二人して夜の観覧車エンドレス 月に託してシナリオを書く
                         夕庵さん
★高原の夜空に君のプロポーズ ふたりのシナリオ星に託して
                         みっちっちさん
★期は満ちて大きな決意のプロポーズ ゆるがぬ君の愛に懸けむと
                         夕庵さん
★君を待つ出町柳の駅前に 駆け来る君に決意せしこと
                         みっちっちさん
★人生の決意の山を登りきて 後悔残さず今日を生ききる
                         夕庵さん
★六甲山登りきたれば有馬の湯 金銀尽くしに疲れ癒さむ
                         みっちっちさん
★有馬での記念に求めし人形筆 鮮やか色糸褪せてしまえど
                         夕庵さん
★ひよつこりと豆人形が顔を出す 有馬筆なる可愛さに笑む
                         みっちっちさん
★この筆でどれほど便り書いたやら 豆人形も眠りこけたり 
                         夕庵さん

☆心字池 さざ波起こる そのもとに 鷺は静かに空を見つめる
                         ポエット・M
★鷺一羽 仙洞御所の松の上(へ)に賢者のごとく姿勢崩さず
                         夕庵さん
★水澄める仙洞御所の南池 鷺は静かに みなも見つめる
                         ポエット・M
★鷺森神社(さぎもり)の八重垣の石は縁結び しめ縄より垂るま白き紙垂は
                         夕庵さん
★「さんよれ」の掛け声ひびく鷺森の 「八重垣」石の えにしに触れる
                         ポエット・M
★古代より 巖信仰の鷺の森 数多の男女の願い叶えし
                         夕庵さん
★「八重垣」の石にさわりて祈りいる 乙女のうなじ木漏れ日も揺れ
                         ポエット・M
★たそがれに祈る姿も動かずに 胸裡に肩に風そよと過ぐ 
                         夕庵さん
【詞書】ミレー「晩鐘」に寄せて
★晩鐘に祈り捧げる農夫にも 天地の恵み 命のもとと
                         ポエット・M
★つつましき農夫の祈りは収穫の 感謝の姿夕映えに立つ
                         夕庵さん
★天と地と 格闘重ね実り得る つましき農夫の深き祈りよ
                         ポエット・M
★丹精の新米やっと出回りて おろそかならず米一粒も
                         夕庵さん
★作られたコメの品薄その闇の 奥に潜みし 哀しやからよ
                         ポエット・M
★明治の世 母の実家はコメ問屋 かの暴動の恐怖語りし
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「咲き継ぐ 芙蓉」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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