第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その154) 短歌の投稿を歓迎します!!
☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
第二部 「ネット短歌」 :返歌専用です。
「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。
「未だ咲き残る 酔芙蓉 八重」
「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」
【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」
を中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの
贈答短歌が中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますので
ご指導よろしくお願いします。
巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は新規で
作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
願います。
「9.葵(あおい)」
桐壺帝が譲位をして弘徽殿の女御が産んだ皇子が帝(朱雀帝)となると、
右大臣家が権勢を強めた。譲位に伴って六条御息所の娘が斎宮に定められると、
源氏に冷遇される六条御息所は娘とともに伊勢へ下向することを考え始める。
葵祭の日、源氏も行列の供に加わると知り、懐妊中の葵の上は見物に出かける。
そこで、身分をやつして見物に出ていた六条御息所の車と鉢合わせ、従者たちが
御息所一行を辱めてしまう。底知れぬ恥辱を受けた六条御息所は病に伏せ、
夢の中で葵の上に憎しみをぶつける。同じ頃、葵の上には物の怪が取り憑き、
左大臣家では加持祈祷が繰り返されていた。やがて葵の上は出産するが、生霊に
とらわれ急逝する。源氏は悲しみにくれるが、喪が明けて二条院に戻ると、
美しく成長した紫の上と新枕を交わす。
〇はかりなき 千尋の底の 海松(みる)ぶさの
生ひゆくすゑは 我のみぞ見む 光源氏
註)限りなく深い海底に生えている海松のように豊かに成長してゆくあなたの
黒髪は私だけが見届けよう
〇千尋とも いかでか知らむ 定めなく 満ち干る潮の のどけからぬに 紫の上
註)深い愛情を約束されてもどうして分りましょう落ち着きなく満ちたり
干いたりする潮のようなあなたですから
(返歌)
☆着飾った 紫の君 眺めては 千尋までもと 祝い言口に
☆姫君は 手近の紙に 書きつけて 初々しくも 満たされる思い
浅間山明鏡止水
【解説】
「葵の巻」は、光源氏の最初の妻である葵の上の登場、六条御息所との対立、
葵の上の死、さらに美しく成長した紫の上と結ばれる、という重要な出来事が
見事な展開をもって描かれた巻です。これらは、物語全体の展開にも大きな
影響を与え、物語に深みと複雑さを与えています。
作者が今回取り上げた光源氏から紫の上へ贈った歌は「あなたの将来は、
私だけが見届けよう」と意訳できます。その歌に対して、紫の上は「深い
愛情を約束されても、それがどうして分りましょう」とつれなく返歌して
います。これらを踏まえて、作者の返歌の二首を鑑賞させて頂きました。
一首目の作者の歌には、自分が手塩にかけて育てた紫の上を、この上なく
大切に思う気持ちがあふれるばかりに表現された良い返歌と思います。
さらに、それぞれに想いを乗せて、こんな視点で詠んでみましたが、
いかがでしょうか。
【ご参考】
★咲き初める花にも似たる紫の 君のゆくすえ吾は守らん
★姫君の したためたるやその文の うぶな想いに愛しさも湧く
「咲き残る 千日紅」
【詞書】「夜長」は秋の季語です。よく秋の夜長と言いますが、俳句では
季語重なりになります。「夜長」で二首、「銀河」で一首詠みました。
☆あの星を父の星とし酒を酌む 心で父と語りし夜長
☆幾たびも優しく本を読みくれし 亡き母と吾(あ)の夜長よ今も
☆紺碧の空と海との境界線 銀河に続く漁火いくつ
みっちっちさん
【解説】
「夜長」と「銀河」をテーマに三首の歌を詠んで頂きました。いずれも今の
季節を情感をこめて詠っています。特に一首目について触れたいと思います。
この歌は、亡くなられたお父様を偲び、深い愛情と切なさ、そして静かな
語り口が印象的な作品です。
夜空に輝く星を、亡くなったお父様と重ね合わせていることがわかりますが、
星は、遠くて手が届かない存在でありながら、同時に永遠の象徴でもあります。
お酒を飲みながら、故人を偲ぶという行為は、古くから日本で行われてきた弔い
の方法の一つです。ここでは、亡くなったお父様との間に、お酒を介して心の
交流が生まれている様子が浮かびます。
秋の夜長、心の中でお父様と語り合うという、作者のお父様へ寄せる深い
想いが切々と伝わってきます。
派手な表現ではない故に、静かで落ち着いた言葉の中に作者の心の動きが
繊細に描かれています。この静けさゆえに、深い悲しみと温かな愛情が一入
感じられます。
三首目の「銀河に続く漁火いくつ」の雄大、かつ宏大な歌いぶりが秀逸です。
【詞書】庭の柿を詠ませて頂きました。
☆待っていた柿が赤々色付くも 熟れた柿から雀群がり
【詞書】衣替えを詠ませて頂きました。
☆十月も中旬なれど未だ猶 衣替えは長シャツ一枚
【詞書】突如の訃報にて
☆釣りバカを見たのは昨日の気がするも 突如の訃報落雷のごと
西BOOさん
【解説】
一首目の歌、ようやく色づき食べごろになった柿に鳥たちが群がり
ついばむ景観。これは、懐かしい里山の景色ですが、街中でせっかく
実り楽しみにしていた庭の柿が、鳥たちについばまれてしまうのは
残念でもありますね。残念な想いを滲ませながらも、そんな鳥たちを
許している作者の優しさも覗く、ほのぼのとした良い歌と思います。
二首目の歌、今年は、10月中旬を過ぎても夏日が続き、未だ街中に
タンクトップの方も散見されます。そんな情景をさりげなく詠み、
異常気象の現れを「衣替えは長シャツ一枚」と表現しています。
日常を詠いつつ、歴史の一齣を記していく、そんな貴重な歌の
一首になっていくものと考えます。
三首目の歌は追加で詠んで頂きました。詠まれているように、これは
「突如の訃報」でしたね。どんな演技の底にも温かさを湛えた偉大な
俳優であり、歌手としても活躍された西田敏行さんの訃報は、まさに
「落雷」にも似た衝撃でした。死因は虚血性心疾患との公表が
所属事務所からありました。改めてご冥福をお祈りしたいと思います。
【詞書】お気に入りの鳩時計が窓から出てこなく、鳴き声もしなく
なりました。電池を替えれば針は正しく動きます。ふと長い間
使ってきたので、我が身に寄せて考えてみました。
☆われもまた鳴くを忘れし鳩時計 前頭葉が軋みはじめる
【詞書】文庫本を読みながら楽しいひとときです。
☆大公孫樹のリズム正しき黄落を ひとり聞いてる茶房のパティオ
夕庵さん
【解説】
一首目の歌は、印象的な言葉選びと、現代を生きる私達世代の心に響く
深いテーマが込められた作品です。
上の句の鳩時計は、定時に鳴き、時間を知らせる役割を担いますが、
この鳩時計は「鳴くを忘れし」と表現されており、もはやその機能を
十分果たし得ない様子が浮かびます。これは、日々の生活において、
何かしらの機能不全をおこすかも知れない、ご自身への不安を象徴的に
表現しています。
下の句、前頭葉は、人間の思考や判断を司る重要な部位ですが
「軋みはじめる」という表現は、思考が滞り、物事をスムーズに処理
できなくなりそうな予感を比喩的に表現しているのかもしれません。
総じてこの歌は、一見シンプルな言葉で綴られていますが、その中に
深遠な意味が込められ、現代社会を生きる私達世代の普遍的な悩みを、
優しい言葉で表現し、心に深く響く警句とも言える詠歌となっています。
二首目の歌、パティオとは、スペイン語で中庭を意味します。茶房の
中庭で、大いちょうの落ち葉を眺め、その散るリズムに身を委ねる作者の
くつろいだ様子が浮かんできます。このようなひと時をもてる作者の
精神的ゆとりと、豊かさに共感したいと思います。
「未だ咲く 宗旦むくげ」
【詞書】YouTube短歌: 冨田勲 展覧会の絵 カタコンブ
☆暗闇の洞窟に反響するのは
大地の怒り
人の苦しみ
自閑さん
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
展覧会の絵のカタコンブは、ローマのサン・セバスティアーノ・フォーリ・
レ・ムーラ教会がある場所の地下にある納骨埋葬所で、カタコンベとも
言うそうです。この習慣がキリスト教世界に伝わり、世界中にあるそうです。
インディ・ジョーンズの最後の聖戦でも出てきていました。
シンセサイザーの音を、洞窟内での何かの反響と捉え、何の音だろうか?と
イメージが湧くまで、聞き続けました。
下記に、冨田勲氏の曲を貼付しておりますので、御覧戴ければ幸いです。
https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/d00c69d54bf478356644ccdc0b71e5de
【解説】
「カタコンブ」は、作者の「短歌説明」にもありますように地下墓地の
ことです。暗く湿った地下空間は、死と再生、神秘といった様々な
イメージを喚起します。ムソルグスキーのオリジナルの曲では、この
地下墓地の薄暗い雰囲気が重厚に表現されています。
冨田勲氏は、このオリジナル曲にインスパイアされ、カタコンブの神秘的で
荘厳な雰囲気を、電子音で表現しました。冨田勲氏の音楽は、単に曲を
再現するのではなく、この曲が持つ雰囲気をシンセサイザーで具現化し、
聴く私達に新たなイメージを喚起させてくれます。
作者は、この「カタコンブ」という曲を幾たびもイメージが湧くまで聴き、
この歌を紡いだと説明されています。
この歌は、冨田勲氏の「カタコンブ」という曲の世界観を、作者の独自の
視点とイメージで捉え、下の句で「大地の怒り 人の苦しみ」と詠って
います。「大地の怒り」や「人の苦しみ」といった概念を、暗闇の洞窟と
いう具体的なイメージと結びつけることで、より深い意味を表現しています。
さらに、冨田勲氏の音楽から受けたインスピレーションを生と死、喜びと
悲しみとは…と言った、人間が普遍的に抱く問いに対して、作者は熟考を重ね
この歌に結実させたと考えます。一首の歌を生み出すに至る作者の苦闘にも
似た姿勢に、今回も学ばせて頂きました。
【詞書】父の遺した書き付けやらを見ながら、保険やら何やらの処理なう、
です。その最中に、毎月新聞のチラシに混ざって来るA4ぐらいのぺら
イチのカレンダーがあるんですが、その10月のが出てきて「あー、
2日には歯医者さん行くって言ってたなあ…」とか言って見ていたら、
「茶まつり」の書き込みも…。10月6日の日曜だったんですが、こんな事
書いてはるわ…なんて…。ってか、くたびれてたり、溜まってた家の
用事したりしてて、すっかり忘れてました。見に行くとかするつもり
なんだかどうだか、きちんと宇治の(近所である)行事を書き込んでいる
あたり、きっちりしてるというか何ていうか…。…高度経済成長期を
支えたサラリーマンの一人であった生真面目父の名残の一つを目に
してなんとなくふっ…と笑ったひとときでした。…しかし、その
“きっちり書き残”してあるから(しかも大量に!役所や保険会社や
etc.…の封書や書面もたくさん…)ある意味助かりもし、大変でも
あるんですが…。姉など、「(葬儀はこのように、とか)書き残すより
ちょっとでも話をしておいて欲しかった~」って言ってました。
…ある程度同感です。
☆「茶まつり」と亡父の字あるカレンダー
葬儀の日より3日後の日に
【詞書】本名はダイアンサス‘アウラ’なんだそうです。少し前に、
ダイアンサススーパーパフェという名前の花を買ったのですが、
もう一つ色違いとか…と思って、売り場で見たらかわいかったので
こっちにしました。アイドルが手でハートを作ってポーズしている
イメージが脳裏をよぎりましたが、まあえーわと買っちゃいました。
宿根草だそうでそのうち植え付けます。❤
☆「あなたにキュン」こっ恥ずかしい名前やな
でもかわいい花 母におみやげ
ちがやねこさん
【解説】
一首目の歌は「宇治茶まつり」の事と拝察しますが、今は亡きお父様の
几帳面な一面を詠って涙を誘います。想いを抑え、事実のみを表現した
歌の行間に、抑えて余りある哀しみが溢れています。
高度成長期を文字通り、自らの体を張って駆け抜けてきたビジネスマンの
一人であったお父様は、家庭に在ってはお母様と共に、作者とお姉様を
深い愛情をもって育んでくれた方であったと拝察致します。作者のお父様に
寄せる深い想いを知るほどにその感を深めています。この歌も優れた挽歌の
一首と考えます。なお、二句目は「亡父の記す」ではいかがでしょうか。
ちなみに、「宇治茶まつり」は、初めてお茶を日本に伝えた栄西禅師と、
宇治に茶園を開いた明恵上人、茶道の始祖千利休の三恩人への報恩感謝、
茶業功労者の遺績を追慕するための歴史ある、ゆかしい行事との事です。
二首目の歌は、お父様を亡くされ言いしれない哀しみを抱えておられる
お母様へのエールを込めたカーネーションの鉢を…と詠んだものと拝察
します。ダイアンサス「あなたにキュン」は、おっしゃる通り「可愛い」
花ですね。お母様もきっと笑顔を取り戻し元気つけられた事と思います。
☆秋の海 虚空映して藍深く 世情無縁と凪いで静もる
ポエット・M
【解説】
10月27日の投開票に向けて衆院選は終盤となり、さらに熱を帯びています。
「裏金問題」で政権の信頼が損なわれ、うち続く物価高の中で、実質賃金が
マイナスになる等の情勢の中。有権者にとっては、その意志を政権に反映
させる絶好の機会でもあり、一方その見識も問われる選挙となっています。
そんな「選挙の季節」の喧騒をよそに、秋の海は澄み切った空気の中で
空の色を映し出しどこまでも蒼く、静かに凪いでいました。そんな世情
とは無縁な風情を見せる凪海の様子を詠ってみました。静もる海を見つめる
ことで、喧騒から解放され、心の平穏を得ている自分の立ち位置を改めて
認識してしまいました。
「未だ咲く 白花曼殊沙華」
「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(60)
「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。
41.「短歌の章」 ソウルにおける国際会議(2)
東洋最古の天文台なり 瞻星台
あめつちのめぐりを静かにはかりぬ
天文台の底部に配したる水鏡
星を映して占ひしとなり
あめつちのめぐりと人のすぐせをば
水底に映る星にて はかりぬ
【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
今回は割愛させて頂きます。
【運営にあたって】
(1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
(2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
頂きたくご協力願います。
(3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
(4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ
幸いです。
(5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
(6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
(7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
了