四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その89)

2023年06月21日 05時32分46秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その89)  短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「観音崎で命名された新種紫陽花 汐音」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」


【詞書】世界文化紀行で「日本フラワーパーク」を掲載しています。改めて国内に素晴らしい
  フラワーパークがあるのを知りました。どのフラワーパークも素敵で見る人、行く人の
  心を癒して
くれます。
 註)千葉県「千倉の花畑」
☆贅沢な色とりどりの花と海 一度に眺める南房総
 註)埼玉県「ポピー・ハッピースクエア」
☆咲き誇る絨毯のようなポピー畑 ビタミンカラーの初夏を満喫
 註)埼玉県「羊山公園」
☆大自然秩父の四季は恵まれて 憩いの場として人は楽しむ
                          浅間山明鏡止水さん
【解説】
 「千倉の花畑」「ポピー・ハッピースクエア」「羊山公園」等は、いずれも規模と、花、
 さらに周辺の
景観も含めて日本を代表するフラワーパークでもありますね。

 それぞれの特徴をとらえ詠いきることは、まさに挑戦とも言える試みですが、益々詠歌に
 磨きがかかって
きたと感じます。特に、二首目の「ビタミンカラー」はポピー園の雰囲気を
 よく表していると感じます。

 一首目、「色とりどりの花と海」は、千葉県千倉の早春の景観と雰囲気を上手く表現して
 います。
この花畑は、かつて会社の保養所が近くにあった関係で冬にもよく訪れ、エメラルド
 ブルーの海を
背景に咲き誇るストックや菜の花を眺め、一足早い春を満喫した記憶が蘇ります。

 三首目の「羊山公園」に、秩父の象徴でもあります武甲山を入れて、ご参考として詠んで
 みましたが、いかがでしょうか。

【ご参考】
 ★武甲山 背にして丘の芝桜 はるかな大地おおう薄紅

【詞書】詩情を感じ得がたいスポーツの短歌に、又挑戦します。以前は、負け試合について
  詠みましたが、
今回は勝ち試合を詠みました。練習頑張ってるので、最近、勝つ事が
  増えてきたのです。「生命線」に
力強い気持ちを込めました。

☆マニキュアも塗らぬ我が手よ 生命線 強く握りてスマッシュ決める
☆じつと見る生命線の上(へ)の球よ サーブ前 その熱き一瞬
                          みっちっちさん
【解説】
 スポーツの短歌、特に「勝ち試合」を詠まれたとの事。その試みは「手の生命線」に
 フォーカスすることで
成功していると感じます。サーブ前の作者の集中力が凝縮して
 表現されています。

 二首目の「生命線の上(へ)の球よ」のディテールの表現が適切で、「熱き一瞬」の下句への
 つながりも
良いと考えます。卓球のサービスの際手のひらにボールを載せ、どう攻めるかの
 一瞬の間を切り取り、
その緊張感も含めて表現しきっていると考えます。

 このような「スポーツの短歌」は大いに詠んで欲しいものと考えます。

【詞書】雨の道にたくさんの柿の花が落ちていました。実のならない花と実らぬ恋をかけて
  みました。

☆ころころと柿の花落つ雨の道 実らぬ恋のありし事など
☆ハナニラの匂い残れる指先に夏呼びよせて風が集まる
【詞書】AIもここまで来ると恐ろしいです。
☆いつの日か人類滅ぶ日の来るや チャットGPTは魔法使いか
                          夕庵さん
【解説】
 一首目は、柿の花の落下と、「実らぬ恋」をかけて詠まれたとのこと。思えば大半の方が
 結婚に
至る過程で少なからぬ「実らぬ恋」を経験してこられたものと思います。恋は実らぬ
 ゆえに美しく、
それぞれの方の記憶の底に刻まれてきたものと思います。柿の花の落花に
 よって、そんな美しい
記憶が蘇る素敵な歌と考えます。

 なお、今の季節、柿の花が結構落ちていますが、小さな青柿の落下も散見しますね。落ちる
 原因はいくつかあるようですが、一つは生理落果と呼ばれ、花や、実をつけすぎた場合に樹を
 守るために落とすようです。
 三首目は、私の過去の仕事にも関わるものですが、AIは人による制御が必須の技術と
 思います。上手く使えば画期的な仕事をこなしてくれるものですが、コントロールをせずに、
 その暴走に委ねることが何よりも問題と思っています。
 未だ開発途上の半製品ですが、急速に学習し進化を遂げていきますが、あくまで人による
 コントロールが必須と考えています。従って怖がらず賢く使い制御する私たちの知恵が大切と
 思っています。
 なお、「チャットGPT」は「魔法使い」ではなく、膨大なインターネット等の情報を読み込み、
 学習し、そこから質問者へ最適な回答を編集し出力する機能です。質問の仕方によっては
 とんでもない答えが返ってきますし、まだまだ一層の進化が必要な技術でもあります。
 また、人類と共存する道を築いていく、私たちの智慧がなにより必要とも思います。

 ちなみに、「チャットGPT」のアート版に「bing」がありますが、これを使い私が作成した
 「紫陽花と観音崎」のデジタル絵画をご参考として以下に掲載します。20文字程度の指示で
 3分ほどの
時間を費やし4枚描いたうちの一枚です。ディテールに幾つか問題はありますが…。


     「bing」で生成したデジタル絵画「観音崎の紫陽花」

【詞書】私の短歌も夫の小屋と同じく未完成交響曲になるかもしれませんが、しかし続ける
  限りは
資料として短歌の雑誌もおいておいたほうが良いですから、古い短歌雑誌も能勢に
  運んで
きてもらいました。
☆廃材で作りかけたる夫(つま)の小屋このまま未完成のままになるかも
☆五十から始めた妻の短歌はも上手くならずに燃え尽きるかも
☆もともとは鹿の住処の山なれば侵入したのはわれら人間
                         水仙さん
【解説】
 能勢町で詠まれた11首の短歌から、3首を選定させて頂きました。
 御夫君の造られた能勢町の別宅で、夫婦そろって趣味に打ち込める日が早く来れば良いですね。
 家づくりが「未完成交響曲」であったとしても、日々心を込めて家づくりに通われる御夫君の
 姿は
尊いものと感じました。このように目標に向かってたゆまず、着実に歩を進める姿に
 感動を誘われます。

 短歌も「継続こそ力」のものでしょうが、一首目、二首目は御夫君とともに二人三脚で、
 それぞれの
目標に向かって歩む姿が詠われていて共感を誘われます。「それでも歩み続ける」
 姿こそ尊いと思います。

 三首目は、いま全国各地で問題となっていることですが、もともとは鹿や、熊や、猪の住家
 だった所へ
侵入したのは私たち人間ですね。そのような視点から共存の道を探って行ければと
 考えますが、そんな視点を
改めて提起した歌と考えます。

【詞書】非日常の違和感
☆左手で歯を磨く
 傘を差さず濡れて歩いてみる
        雨の日曜
                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 朝、歯を磨いている時、磨き残しが無いように左手でも磨くと言うのを思い出し、試して
 みると、
とても違和感を感じました。

 そこで今日は、違和感を感じる事をしてみようと、バスで空席があるのに立ってみる、傘を
 持っているのに差さずに歩いてみるなど違和感を感じそうな事を試してみました。
 どうせ雨で何処にも行く用事が無いので。
【解説】
 「非日常」は、私たちに新しい刺激を与え、気分をリフレッシュさせたり、新しい発見を促す
 ことが
ありますね。また、これは、私たちの冒険心や好奇心をくすぐり、平凡な日々の中で、
 人生を
より豊かにしてくれることもあると考えます。

 詠われているように、何気ない日常生活の中でいつもの生活パターンを少し変えることで
 得られる
「非日常」もあろうかと思います。私たちの日常生活は、ある程度パターン化されて
 いますので、
非日常の状況に出会うと、私たちの脳はパターンを探し、新しい情報を処理
 しようと高速回転
します。このことが、非日常の違和感につながるのではと考えます。

 「傘を差さず濡れて歩いてみる」と言う、非日常の行動パターンは違和感のみならず、周囲を
 巻き込み
新たな発見や、展開があるやも知れませんね。親切な素敵な方が傘をさしかけて
 くれたり…と。
時にはさりげなく挑戦してみたい営みとも感じます。そんな想いにさせられる
 詠歌と考えます。

     「ハマナス 白花」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆マニキュアも塗らぬ我が手よ 生命線強く握りてスマッシュ決める
                         みっちっちさん
★一年生ピンクのマニキュア指先に女の扉開けてしまいぬ
                         夕庵さん
★桃色のマニキュアをして 片想ひ 筒に納めて卒業せし日
                         みっちっちさん
★大筒の花火を肩ぐ男たち 火の粉浴びつつゆらぐことなし
                         夕庵さん
★ホスピスの窓をいろどる遠花火 亡き母ともに楽しみし日よ
                         みっちっちさん

☆ころころと柿の花落つ雨の道 実らぬ恋のありし事など
                         夕庵さん
★切れ切れの夢にさ迷ふ昨夜(きそ)の雨 実らぬ恋の悔ひのひとつも
                         みっちっちさん

☆もともとは鹿の住居の山なれば侵入したのはわれら人間
                         水仙さん
【詞書】奈良公園は今、春の出産期を迎えてバンビの可愛い姿が見られます。
★優し瞳でバンビと跳ねる鹿の居る奈良公園はベビーラッシュで
                         夕庵さん
★神様の鹿と鹿嶋神宮と奈良公園の鹿は愛さる
★神様の鹿も各地で増えすぎてジビエ料理の食材となる
★能勢町のジビエ料理の食材は地元で捕れるイノシシと鹿
★残酷と人は言へども増えすぎる鹿とイノシシ食はねばならぬ
                         水仙さん
【詞書】本島は瀬戸内海にある過疎の島です。
★アオサ消え浅蜊も捕れぬ本島にいずこより来たヌートリア達
                         夕庵さん
★ヌートリア増えて消えたる本島のアオサ、浅利のニュース聞く朝
                         水仙さん

☆鹿に餌をやるのはすべて外つ国の人であること鹿も知りたり
                         夕庵さん
★外つ国の「子鹿のバンビ」とふ映画見た記憶あり子供の頃に
★生きるため命いただく人間の原罪おもふときのあるべし
                         水仙さん

☆けむるがに咲きみだるるやジャカランダ すさぶ梅雨をも 柔らかく受け
                         ポエット・M
★憧れは南の国のジャカランダ いつの日か訪う経路を辿る
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆

☆年波を晒す紫陽花その生を 丸ごと好きと妻のつぶやき
                         ポエット・M
【解説】
 梅雨に叩かれながらも鮮やかに咲き誇った紫陽花も、時の流れの中でいつしか最盛期の
 輝きを
なくし、萎れていくものも散見されます。散歩の折、そんな紫陽花の萎れた姿にふれ
 「散らないで生を
全うする、そんな姿が好きよ」と呟く妻。その言葉に触発されて、
 そんな紫陽花に寄せて詠んでみました。


      「がく紫陽花」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著(32)
  
8.薔薇の花束(1)
 
   これが薔薇だ
      ここで踊れ   ヘーゲル「法の哲学」より

   詩人なら
     こぞって詠い
       画家ならば
         こぞって描く
          汝れが名は薔薇

              愛も血も
               持ってはいない
                   唯一の
                    真紅の色は
                      薔薇の花だけ

                         ひんやりと
                           拾う手に沁む
                              ひらひらの
                               夜露に濡れた
                                  薔薇の花びら

          梅に桃
           林檎に桜
              山査子に
                吾亦紅まで
                   嬉しや薔薇科

     これが薔薇だ
        ここで踊れと
          言うほどの
            歌を詠いて
              死にたきものよ


     「薔薇 クリスチャンディオール」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 チョウキチさんからのコメントです
   ★さむしろに衣かたしき今宵もや我をまつらん宇治の橋姫
  この歌は、改めてみると随分勝手な歌ですね。心の奥に思いやりが潜んでいればいい
  のですが・・・。

 ポエット・Mの応答コメント
   ★さむしろに衣かたしき今宵もや我をまつらん宇治の橋姫
  この古今和歌集の歌は、直訳すると・・・
  「今頃狭い敷物の上で、衣の片側を敷いて寂しく一人寝をしながら、今夜も私が来るのを
   待っているのだろうか、あの橋姫にも例えたくなる宇治に住む私の恋人は」となります。
  橋姫伝説等の背景も含めて、この歌の解釈には諸説ありますが、私はこの歌の作者である
  藤原良経は
恋人(妻)を偲ぶ哀しみを詠ったと思っています。その意味で深い思いやりを
  感じます。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。なお、ブログの
    字数制限(コード30,000字)により、コメント等編集させて頂く場合もあります。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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