この日もぐるっとパスを持って東京駅近くのブリジストン美術館と東京国立近代美術館フィルムセンターに行った。予定では、フィルムセンターの後、相田みつお美術館に寄り、東京駅周辺の近代建築を見て回ることになっていたが、フィルムセンターで予定以上に時間を費やし、いつの間にか相田みつお美術館の閉館時間になってしまったので諦めた。
ブリジストン美術館は、主に19世紀の印象派から現代までのヨーロッパ美術作品と明治以降の日本の美術作品を約1600点所蔵している美術館で、名作も多い。この日は所蔵作品約160点を展示した常設展が開催されていた。過去に当美術館を何度も訪れているが、この日初めてオーディオガイドを借りた。作品解説がない館内では、オーディオガイドの解説は非常にためになった。館内には人が少なかったので、心行くまで作品を鑑賞できた。以下に印象に残った作品を一部掲載。
コロー「ヴィル・ダヴレー」(1835~40年)。コローらしい、銀灰色を帯びた追憶的な雰囲気の風景画。画面から森のさわやかな空気が感じ取れる。見ていて飽きない。ヴィル・ダヴレーは、パリとヴェルサイユの間に位置する森と池のある景勝地で、コローの父の別荘があった。コローはこの村を愛し、ここで多くの作品を制作した。
ルノワール「座るジョルジェット・シャルパンティエ嬢」(1876年)。愛らしいモデルはルノワールの初期のパトロンの娘。おめかししておしゃまに足を組んで座る姿が微笑ましい。モデルへの画家の優しく暖かいまなざしが感じられる。
モネ「睡蓮の池」(1903年)。池には睡蓮が咲き、その水面には柳と夕暮れ時の空が映っている。この作品は同じ構図の連作の一つ。
ゴッホ「モンマルトルの風車」(1886年)。ゴッホがパリで住み始めて間もないころの作品。モンマルトルにあった風車は街の裏側から描かれている。歓楽街の喧騒が全くなく、寂寥に満ちている。
セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」(1904~06年)。描かれているのはセザンヌの故郷エクス・アン・プロヴァンスにある山。セザンヌはこの山を繰り返し描いた。見た目は無骨だが、大自然の澄んだ空気が感じられる風景画。
モディリアーニ「若い農夫」(1918年頃)。細長い顔、長い首、なで肩、瞳のない目、ほとんど書き込まれない背景・・・とモディリアーニらしさが表われている作品。モデルのかすかに悲しげな表情が印象的。
ピカソ「腕を組んで座るサルタンバンク」(1923年)。かつてこの作品はピアニストのホロヴィッツが所蔵していた。作品は、ピカソがキュビズムを打ち立てた後の、1910年半ばから1920年代の「新古典主義時代」と呼ばれる時期に描かれた。サルタンバンクとは軽業師のこと。モデルは、彼の職業イメージとは正反対に、腕を組み、物思いにふけりながら静かに椅子に座っている。古代ギリシア彫刻を思わせるような静かで端整な顔立ちが印象に残る。写真から分かりにくいが、画面左上にはかつて女性像が描かれた跡が残っている。
エジプト「聖猫」(紀元前950~660年)。ブロンズでできた像の内部は空洞になっている。当時の人々は、像の中に動物の遺骸を収め、神殿に奉納した。当時聖なる動物だった猫の表情は凛としている。長く引き伸ばされた体からはしなやかさが感じられる。
(後編に続く)
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ブリジストン美術館は、主に19世紀の印象派から現代までのヨーロッパ美術作品と明治以降の日本の美術作品を約1600点所蔵している美術館で、名作も多い。この日は所蔵作品約160点を展示した常設展が開催されていた。過去に当美術館を何度も訪れているが、この日初めてオーディオガイドを借りた。作品解説がない館内では、オーディオガイドの解説は非常にためになった。館内には人が少なかったので、心行くまで作品を鑑賞できた。以下に印象に残った作品を一部掲載。
コロー「ヴィル・ダヴレー」(1835~40年)。コローらしい、銀灰色を帯びた追憶的な雰囲気の風景画。画面から森のさわやかな空気が感じ取れる。見ていて飽きない。ヴィル・ダヴレーは、パリとヴェルサイユの間に位置する森と池のある景勝地で、コローの父の別荘があった。コローはこの村を愛し、ここで多くの作品を制作した。
ルノワール「座るジョルジェット・シャルパンティエ嬢」(1876年)。愛らしいモデルはルノワールの初期のパトロンの娘。おめかししておしゃまに足を組んで座る姿が微笑ましい。モデルへの画家の優しく暖かいまなざしが感じられる。
モネ「睡蓮の池」(1903年)。池には睡蓮が咲き、その水面には柳と夕暮れ時の空が映っている。この作品は同じ構図の連作の一つ。
ゴッホ「モンマルトルの風車」(1886年)。ゴッホがパリで住み始めて間もないころの作品。モンマルトルにあった風車は街の裏側から描かれている。歓楽街の喧騒が全くなく、寂寥に満ちている。
セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」(1904~06年)。描かれているのはセザンヌの故郷エクス・アン・プロヴァンスにある山。セザンヌはこの山を繰り返し描いた。見た目は無骨だが、大自然の澄んだ空気が感じられる風景画。
モディリアーニ「若い農夫」(1918年頃)。細長い顔、長い首、なで肩、瞳のない目、ほとんど書き込まれない背景・・・とモディリアーニらしさが表われている作品。モデルのかすかに悲しげな表情が印象的。
ピカソ「腕を組んで座るサルタンバンク」(1923年)。かつてこの作品はピアニストのホロヴィッツが所蔵していた。作品は、ピカソがキュビズムを打ち立てた後の、1910年半ばから1920年代の「新古典主義時代」と呼ばれる時期に描かれた。サルタンバンクとは軽業師のこと。モデルは、彼の職業イメージとは正反対に、腕を組み、物思いにふけりながら静かに椅子に座っている。古代ギリシア彫刻を思わせるような静かで端整な顔立ちが印象に残る。写真から分かりにくいが、画面左上にはかつて女性像が描かれた跡が残っている。
エジプト「聖猫」(紀元前950~660年)。ブロンズでできた像の内部は空洞になっている。当時の人々は、像の中に動物の遺骸を収め、神殿に奉納した。当時聖なる動物だった猫の表情は凛としている。長く引き伸ばされた体からはしなやかさが感じられる。
(後編に続く)
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まあ、顔は普通でしたが。