芝生の雪は消え残り、裏木戸への飛び石はどこなのか定かではありません。気が付きますと岩を噛むように音を立てて流れ落ちていた滝が枯れています。水音が無い静けさは冬の荎草園の紹介文の「侘び寂びの雪景色を堪能」そのものです。
湧き水が満たされているためでしょうか、お池の面には強い凍みこみにもかかわらず結氷せずに水鏡を作っています。辯天様を祀る祠へ渡る反り橋が降り積もった雪とともに写り込んでいます。錦鯉がゆっくり泳いで彩を添えています。
足裏が凍えるような冷たい畳張りに陽射しが届きました。午前10時をやや過ぎた時刻です。お庭の前の斜面につながる山越しにようやく届く光です。周辺の雪が融けてなくなっていますが、この地形が雪解けを遅くしているのです。
お庭のところどころに下草が見え、白一色ではありません。それでも四季それぞれのうち冬バージョンの景色をしかと見ることはできますので、足元から冷気が忍び寄ってくる中、しばらくガラス越しのお庭を見せてもらいました。
てっそう園に面した部屋に通りました。屋根の雪の重さに耐えるための臨時の支持柱が部屋に設置されていることと、廊下のガラス戸はこの時期には取り外せない旨話がありました。てっそう園は陽射しが届きにくいところにあるので、たくさんの雪が残る景色を想像していました。
慈恩禅寺境内の松は大雪にも枝おれせず堂々とたっていました。松の根元には庭や屋根からの雪が山のようになっています。お庫裡さんはようやく雪が止んだばかりで片付けが間に合っていないと申し訳なさそうに話しました。
今日訪れるのはこの慈恩護国禅寺ワンポイントに決めてきました。さすがに山の陰に近いので、除雪の山はまだあちこちに見えます。このお寺さんのお庭の四季を観察したいと思っていましたが、雪のある風景は今回が初めてなのです。
郡上インターには家から1時間足らずで行き着きます。高速道路から見る郡上八幡城周辺にはすっかり雪が無くなっているように見えました。本当はもっと雪がたくさんある風景を見たかったのですが少し遅かったようです。
雪の心配がなくなりましたので郡上八幡まで足を延ばしてみました。郡上インターの先はまだ滑り止め対策が必要です。美並インター手前でキョロちゃんがこれから先で工事をしているから気を付けるよう注意していました。(2月27日撮影)