教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

教育再生会議について抽象的意見

2007年06月02日 23時57分05秒 | 教育研究メモ
 教育再生会議がまた物議をかもしてますね。これは私が思うに、20世紀末から引き続く緒改革を無視したものだから、物議をかもしているのだと思います。会議の提言のひとつひとつは、現状に対する対策としてあり得るもの(問題は山積しているものの)だと思います。しかし、いずれの改革も、変えようとしているものがもともとなぜ始められたのか、ということを無視しています。
 ゆとり教育の方針しかり、土曜授業しかり。これらのかつての改革にも多くの批判がありましたが、結局実行され、現場はそれに従って来たのだと思います。しかし、ようやく軌道に乗ってきたところに、現場から離れたところで「やっぱりやめます」と言い始める。前の改革をまじめに実行してきた人が一番わりを食うのに、その人たちは話に加われない。彼らが一番聞きたいのは、おそらく「じゃあ、前の改革は一体何だったんだ?」ということだろうと思います。
 会議の提言が出る度に「拙速」「朝令暮改」と捉えられるのは、そういうことを踏まえていないからでしょう。百歩譲って踏まえているとしても、一面的・一方的なものでしかないので、現場には納得できようもないのではありませんか?
 そもそも最終的な政治的決定を下す会議が先にあるのが話をややこしくしているのです。今の教育問題に対する意識に基づく丁寧な研究調査が先にあって、その精確な事実に基づく必要性に応じて会議は開かれるべきです。研究調査の過程で現場や家庭の声を拾い上げれば、不毛な批判も不毛な提言もなくなるのではないでしょうか?
 抽象的な意見かも知れませんが、やっぱり今の改革の流れは順序が違うと思います。
コメント (2)
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