教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

「帝国議会開設前の教育社会」を認識する

2008年05月14日 00時28分18秒 | Weblog
 『科学史研究』の初校は完了し、すでに編集委員会に送り返しました。目下、17日(土)の発表を準備中です。まだ出来ていませんが、まずまず面白いものが出来つつあると思われます。今日明日中には…できるハズ。手のかかる仕事が重なってなくてよかった。
 東北での発表は、題目「全国教育者大集会の開催背景―帝国議会開設前の大日本教育会における『東京』と『関西』の問題」というかわった題目です。論じたいことを簡単に述べてみましょう。すなわち、明治23年の帝国議会開設前に輿論形成の体制を整えなくてはならなかった教育社会では、大日本教育会における輿論形成体制の問題として、「東京」と「関西」の問題が浮上してきました。この問題を背景として、大日本教育会は全国教育者大集会を開催します。従来は「東京」での輿論形成で満足していた(ふりをしていた?)教育社会が、帝国議会開設による国レベルでの議会政治の開始と地方の教育関係者の輿論形成主体としての意識の芽生えという時代状況に従って変化していく歴史の一コマを論じようというのが、本発表内容です。
 私たちは「教育社会」という言葉を知っていて、そこに一つの意思を感じます。「教育社会」というものは確かに存在するようですが、では「教育社会とは何か」と問われると、答えられそうで答えられないように思います。「日本の教育社会とは何か」を追求する研究は、「教育とは何か」という教育学の問いにつながる重要な問いだと思います。この問題意識に基づき、「帝国議会開設前の教育社会」という空間・意味を、出来る限り認識できるように論じてみよう、というのが今回の発表の根本的な動機です。
 レジュメにはなかなか著しがたい根っこの部分なので、ここで練り出してしてみました。
コメント (2)
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