教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

発達状況に応じた保育について【5歳児】

2011年06月20日 23時55分55秒 | 幼児教育・保育

 今日は早朝から次々と問題発生。ここまで無理してやってきたツケが回ってきた様子。何とか対処し切ったのはいいのですが、昼過ぎまでそれらへの対応で終了。教材開発しようと思っていた時間がすっかりなくなってしまって…
 思うようにいかない時は、よくある。失敗から教訓を得て、次の計画に活かせばよい。というより、それしかない。


【5歳児ならではの経験の例】
 5歳児の一般的な発達状況は、次のようなものがある。例えば、身体のコントロールが巧みになり、足が地面から離れても身体をコントロールできるので、自転車・竹馬・鉄棒・うんてい・なわとび・とび箱などの運動を楽しめるようになる。
 「~したら~する」ということを自分で調整し、子どもだけでのルール遊びができるようになる。勝ち負けのおもしろさを理解し、時間をかけた変化への長期的見通しを立てるようになり、ルール遊びの展開も多様になる。「同じ」の見極めが高度化し、見かけだけでなく、質への注目が始まる。二分法(前後、大小、長短)だけでなく第三の世界を捉える(前-間-後、大-中-小)ことができるようになることにより、目標に向かう過程で工夫したり、「ちょっとだけ」や「どっちでもない」などの微妙な違いの理解・表現や、「まあいいよ」という妥協・譲歩ができるようになる。目標を協同で追求し、友達の得意・不得意を見極めて役割分担をして、責任をもって役割を果たしたり、何度も練習したり、相手の立場に立って考えたり、教えたりできるようになる。
 また、上位概念を形成できるようになり、色と道具、形と食べ物などのように言葉を関連づけて構造化できるようになる。文字への関心が高まるとともに、語尾を伸ばしたり「えっとね」「あのね」などを使ったりして文と文をつなぐようになる。ある程度系統的に思考するようになり、ストーリーのあるごっこ遊びを楽しむようになるとともに、逆にストーリーの筋道を大きく変化させる「大どんでん返し」を楽しめるようにもなる。いずれ論理的思考となる基礎を形成していく時期でもある。
 保育者は、5歳児の保育をどのように進めるべきか。5歳児では、集団になって時間をかけて何かを作り上げることを十分楽しみ、努力していけるようになる。そのため、行事を節目や目標にして、みんなで行事を作り上げていくことを楽しみ、着実に有意義な経験を積んでいける。また、子どもたちが自分たちで意見を調整してルールを変えていくようになるため、子どもたちのアイディアを集団遊びのルールなどに加えて、多様な展開をするようにねらっていきたい。もちろん、5歳児といえども、これらのことが最初から最後まで子どもだけでできるわけではない。保育者は、観察やかかわることによって、子どもたちに任せられるところと支えるべきところを見極め、必要に応じて支援・指導していく必要がある。

<主要参考文献>
心理科学研究会編『育ちあう乳幼児心理学―21世紀に保育実践とともに歩む』有斐閣コンパクト、有斐閣、2000年。

(以上は、白石崇人『保育者の専門性とは何か』幼児教育の理論とその応用2、社会評論社、2013年に所収しております)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする