教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

発達状況に応じた保育について【4歳児】

2011年06月16日 23時55分55秒 | 幼児教育・保育

 仕事というのはさせればよいというものではない。仕事をしているのは機械ではなく、人間である。疲れれば仕事のでき具合は悪くなる。
 ううむ、疲れすぎて集中力が…


【4歳児ならではの経験の例】
 4歳児の一般的な発達状況は、次のようなものがある。例えば、「~しながら~する」ことができるようになり、力を込め続けて体重を支えながら上り棒を登ることができるようになる。また、利き手が決まるなどの身体の機能分化が進み、紙を回しながらハサミで切ったり、形を切り抜いたりすることが巧みになる。イメージ通りに自分なりに体を動かすことを楽しむとともに、逆にイメージ通りにできず苦手意識を持つようにもなる。
 適切な援助を自分から求めたり、相手に教えたりお手伝いしたり(ただし少し手伝うことはできず、全部やってしまう)、相手の主張や意図を踏まえつつ根拠ある自己主張をするようにもなる。他者とイメージを共有して行動することが顕著になり、イメージを共有していることを前提としてわざと間違えて楽しむこともできるようになる。「~したいけど…」や「~はいやだが…」のような気持ちの揺れを経験するが、葛藤を調整することはまだ難しい。また、生活再現のごっこ遊びにおいてそれぞれの役割を意識するようになり、役割設定や「する/される」を交代させるような役割交代をするようになる。
 因果関係を理解する。それまでの経験の積み重ねによる自信や自己信頼感に基づき、次や明日に期待したり、気持ちを調整して立ち直ったり、自制したりする。語彙が1500~2000語程度に増えるとともに、「いつ」「どこで」「だれが」「~した」といった語りの様式を使えるようになる。大人の手助けを得ながら、言葉や自分の気持ちをコントロールし、次第に自分たちで問題解決を進めるようになる。また、丸だけでなく、角を表現するようになり、場面を囲って1枚の紙に複数の場面を表現することができるようになる。短期記憶量が増え、4つの数を復唱したり、10くらいまで数えたりする。
 保育者は、4歳児の保育をどのように進めるべきか。4歳児では、相手の意図を考慮しつつ自分の考えを調整したり、役割を意識したり交代したり、次に期待することができるようになる。そのため、鬼ごっこのような役割交代を含むルール遊びを楽しめるようになる。また、毎日の世話が必要な、動物の飼育や花の栽培なども楽しめるようになる。ただし、それらはまだ一人や子どもたちだけでは十分にできない。保育者は、このような機会を意図的にねらっていくとともに、適宜、支えていく必要がある。

 <主要参考文献>
心理科学研究会編『育ちあう乳幼児心理学―21世紀に保育実践とともに歩む』有斐閣コンパクト、有斐閣、2000年。

(以上は、白石崇人『保育者の専門性とは何か』幼児教育の理論とその応用2、社会評論社、2013年に所収しております)

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