教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

講義「広島大学の歴史」についての論文

2013年06月21日 21時04分36秒 | 教育研究メモ

 広島大学文書館の小宮山道夫先生から、たくさんの論文抜き刷りなどをいただきました。いつもありがとうございます。
 さて、その中に自校史教育に関する以下の論文がありました。5月の全国地方教育史学会でお会いした時に、酔っ払いながら、広大史教育についてあれこれ意見交換させてもらったことが原因でしょうか。

1.小宮山道夫「大学生の自校史教育受講に対する期待と需要に関する考察」『広島大学文書館紀要』第13号、2011年3月、104~124頁。
2.小宮山道夫「大学生の自校史教育に対する評価と自校認識の変化に関する考察」『広島大学文書館紀要』第14号、2012年3月、39~54頁。
3.小宮山道夫・西原利典「大学史教育を通じた進学適性の自覚促進に関する研究(2)―中等教育と高等教育の接続関係改善に向けた大学情報提供の在り方について」『広島大学学部・附属学校共同研究機構研究紀要』第39号、2011年3月、375~380頁。
4.西原利典・森脇政泰・小宮山道夫「大学史教育を通じた進学適性の自覚促進に関する研究(3)―中等教育と高等教育の接続関係改善に向けた大学情報の在り方について」『広島大学学部・附属学校共同研究機構研究紀要』第40号、2012年3月、71~76頁。

 ほかにも貴重な論文を送ってくださったのですが、これらは特に興味があったので一気に目を通してしまいました。1・2の論文は、平成13(2001)年から開講されている、広島大学の学部生に対する総合科目(教養科目)である「広島大学の歴史」に対する受講生の反応をまとめたものです。3・4の論文は、平成21(2009)年から開講されている、広島大学附属高等学校の生徒に対する進路学習の一環としての講義「日本の大学の歴史」(広島大学を事例に)に対する高校生の反応をまとめたものです。
 とくに1・2の論文に釘付けでした。広島大学の学生(総合科学部から生物生産学部まですべての学部生)が、広島大学の歴史について興味をもち、自分の通う大学に誇りや愛着を持つに至る様子をリアルに感じられたためです。それまではただ大学に通っていたり、大学の歴史など全く認識せずに生活していたりした学生が、施設の設立趣旨や先人の思いや考えに触れ、「さらにこの大学を良くするために自分に何ができるか」とまで考えるようになっていることは驚きでした。自校史教育の教育的意義について、強く考えさせられました。 

 自分はちょうどこの科目が開講されたとき学部生だったのですが、すでに教養の単位をそろえていたため、まったく見向きもしませんでした(諸事情によりそれどころではなかったのもありますが(苦笑))。本当に惜しいことをした、と今さら悔やんでいます(笑)。学部時代、もっといろいろなことに興味をもって、学びを楽しんでいたら…と悔やんでも悔やみきれません。
 「広島大学の歴史」のシラバスも、開講直後とは変わっているようです。また、受講者数も、開講直後の平成13年に41人であったのに対し、平成21(2009)年に急増し、平成22(2010)年には540人に達しています。おそらく講義内容・方法も、開講直後に比べると進化しているのでしょう。
 ああ、かなうものなら、学生に混じって聴講したいなあ… 

 まあ、おまえは『広島大学五十年史』か広島大学文書館編『広島大学の歴史』を読んでろってところですかね(笑)。 

コメント (1)
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