教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

高師の物理教師・後藤牧太、野尻精一について追加

2008年09月10日 19時04分42秒 | 教育研究メモ
 さて、今日もまた「群像」を更新しました。これで今後書く予定の論文に奥行きができれば、と思っています。
 今日は、「後藤牧太」氏。慶應出身の東京高等師範学校教授です。開発主義的・実験中心の物理学教授法の実践者、かつ「手工教育の開拓者」。大日本教育会・帝国教育会で30年以上も評議員を務め続けたが、その一方で栄達には興味のないサイエンティストにして教育者、という感じの人です(?)。明治期の大日本教育会・帝国教育会の機関誌を繰っていると必ず見かける人だったのですが、今まできちんと調べたことはありませんでした。公徳養成について、第3回全国連合教育会へ提出した帝国教育会案、連合教育会での調査委員、教科用書『公徳養成唱歌』と理論書『公徳養成』の編纂委員、といったように、帝国教育会の公徳養成問題を最初から最後までカバーするとても重要な人だったので今回調査しました。あまり公徳養成に関連する事実はわかりませんでしたが、昨日の野尻氏と同じく、調べたらやっぱり凄かった、という感想をもちました。
 なお、野尻氏についても解説を追加してます。文部省視学官と奈良女高師校長のころの業績について、追加調査しました。文部省時代、清国政府の提学使に、代表して日本の教育制度を説明したらしいというのは、近代中国教育史の研究者には興味深い事実じゃないでしょうか。奈良女高師でも、附属学校や研究科、教育研究部を設置しており、同校の研究体制を整える役割を果たしています。奈良女高師附属小学校は、大正期に木下竹次主事のもとで研究・実践を行い、めざましい成果をあげています。これらの研究・実践にとって、野尻校長の下で整備された体制はどういう意味があるのでしょうか。気になります。
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