矢野顕子 さとがえるコンサート2005

2005年12月04日 | Live

会場に入るとドアーズがながれていた。ひしひしと迫るサイケデリック・ロックの「Break On Through」、「ハートに火をつけて」、「水晶の船」、「Riders On The Storm」...。ジム・モリソンのヴォーカルを聴いていると奇妙な世界に紛れ込むような錯覚をしてしまう。曲が「Hello, I Love You」になった時、もうそろそろはじまるんだなと思った。

矢野顕子は紫紺のドレスに身を包んで現れた。ステージにはグランドピアノと花瓶に電球の花が挿してある電気スタンドがあるだけ。この舞台デザインを手がけたのはいつものように立花ハジメだ。ステージの中盤からは電灯管(75本!)を並べて正方形にしたミニマムな舞台装置も登場した。現代アートの粋といった素晴らしいものだった。

弾き語りコンサートの場合、矢野顕子はゆったりとそして自由にピアノを弾いて歌う。昨年のさとがえるコンサートと曲が重ならないように、開演5分前までセットリストを考えていたそうだ。「Watching You」は久し振りに聴いたような気がする。

映画『誰がために』の音楽「誰がために」を担当した矢野顕子は「とっても哀しい曲」と言ってテーマ曲を歌った。映画では歌が入ってないそうだ。東京での公開は終了したようなのだが、大阪は来年の1月にテアトル梅田で上映されるとのこと。

テレビCMで歌を担当した消臭剤「リセッシュ」の話題に触れ、最初にオンエアされたヴァージョンはクレームがついて差し替えになったことを打ち明けた。なんでも「我が家のオトコはなんだか臭う」とやっちゃったらしい。

そんな話題の後は歌う曲に困り、急遽歌ったのが「椰子の実」だった。ホントは「David」を歌うところだったようだ。「David」は本邦初公開の英語ヴァージョンだった。

会場となったNHK大阪ホールでライヴをするのがはじめてだという矢野顕子。会場のピアノが気に入ったらしくて、「ずっと弾いていたい」と話していた。そんなわけでいつもよりアドリブ演奏が多いような気がした。

来年の3月にはデビュー30周年記念のミニ・アルバムを発売するという。その中で小田和正とTHE BOOMの「中央線」をレコーディングしたようだ。FM802のイベントで共演し「中央線」を演奏したことがきっかけになったという。

そんなわけで最近のマイブームは「小田和正」で、ライヴでも1曲歌ってくれた。ピアノで音を取ってからアカペラで歌ったのはオフコース時代の名曲「秋の気配」だった。その後、世界遺産レイ・ハラカミのエレクトロニカをフィーチャーした「気球に乗って」の英語ヴァージョンを歌った。

新しいカヴァー・ソングもあった。ELLEGARDEN(エルレ・ガーデン)の「右手」という曲(『My Own Destruction』収録曲のようだ)。くるりの「ばらの花」に続く名作になりそうなしっとりとした雰囲気を持つカヴァーだった。

そのくるりの岸田繁との共作で、iTMSで先行ダウンロードされた新曲「PRESTO」も披露された。パッケージ版はDVD付きのシングルとなる予定だとか。

来年はさとがえるトリオでの公演を約束して、本編最後は今年槇原敬之がカヴァーした「ごはんができたよ」(『Listen To The Music 2』収録)。

アンコールでは衣装を変えて、ヘアー・スタイルもまっすぐに伸ばして登場した。デザイナーは宇津木えり。非常に若々しいスタイルで通称「パンダ」らしい。最後は上原ひろみ作の「Green Tea Farm」を披露した(『Brain』収録曲)。

■矢野顕子 さとがえるコンサート2005
11月29日(火) NHK大阪ホール
1F F6列 034番

矢野顕子
(Vocal, Piano)

Set List
01 BAKABON
02 想い出の散歩道
03 Watching You
04 誰がために
05 椰子の実
06 David
07 機関車
08 おおパリ
09 秋の気配
10 気球に乗って
11 電話線
12 右手
13 PRESTO(新曲)
14 ごはんができたよ
Encore
15 Super Folk Song
16 Green Tea Farm
コメント (2)
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