music united. vol.2

2006年02月16日 | 佐野元春ポッドキャスティング

このポッドキャスト番組"music united."はJFN (Japan FM Network) が運営するサイト「reco」や、iTunes Music Storeからダウンロードすることができます。

HEAT WAVE 2006 NEW ALBUM PROJECTを立ち上げ、新たな音楽活動に踏み出した山口洋。その決意表明が本人の口から語られる。もともとのアイデアは『able 2』という映画に感激したことだったという。

『able 2』の話題に触れつつ、佐野元春は藤井一彦の時にも言及したヒット曲についてのフィロソフィーを引用して、「ロング・テールである曲が支持され、長い年月でエバー・グリーン化してゆくという曲もある」ことを話し、山口洋が書いた「満月の夕べ」について聞いた。

そして音楽配信されていたHEAT WAVEのアルバムが、突然メーカー側の手によって削除された件を本人の口から説明してもらった。ネットで楽曲を配信するにあたり、レコード会社と実演者には「送信可能化権」が等しく与えられるという法律が作られた。HEAT WAVEが所属していたSMEの見解は、送信可能化権はレコード会社が保有する権利であり、それを承諾するのなら、HEAT WAVEのアルバムすべてを楽曲配信する、というものだった。山口洋はSMEの四角四面な契約書類の通達に異議を唱え、決裂してしまったので、楽曲が配信されなくなったのだと話した。佐野元春は「この時代にhonestであろうとするほど、ポリティカルにならざるを得ないんだ」とencourage(勇気付け)した。

最近は矢井田瞳や古明地洋哉のレコーディングに参加するなどプロデュースの仕事が増えている山口洋。以前、佐野元春にプロデュースしてもらった経験がいま生かされているのだという。出来上がったトラックを聴いて、マイクにガンガン頭をぶつけながら歌いだしたプロデューサーは佐野元春だけだと話した。

最後に山口洋から佐野元春に質問。「こんな時代に歌を書いていてどんな気分?」。佐野元春はアルバム『THE SUN』で自分の思いを14曲に託して、完成した時、いまの時代に生きている気分を表現できたと、1週間ほど悦に入ったけれど、それからすぐにハングリーな気持ちになったと話した。佐野元春は、ひとつは「生存」というものに関係していて、もうひとつは、自分はもう23歳じゃないし、まもなく50になるけれど、何回目かの思春期が訪れようとしているんだ(笑)と話した。「男は思春期は何回もくるぞ。女性はわからん」。

山口洋はニール・ヤングのライヴを見たとき、ニール・ヤングの視野の中に確実に「死」が入っているという意味でのアグレッシブさ、ハングリーさ、オーディエンスを包み込む大きさが感じられたのだという。そして『No Direction Home』を見たとき、現在のディランが凄い目をしていたと話した。

佐野元春は自伝や映画を発表するディランもまとめに入っていて、ニール・ヤングにしても同じなのだと。自分はまだそこまではと思っていても、やはりこういう時代だから、明日どうなるかわからない、20代30代よりももっと切実に感じているのだという。表現者は生きている間にできるだけ多くの表現をしておくべきだと思うし、そこで燃焼する質は20代のそれとは違ってくるのは当然だと思っているのだと。そうした意味で何度目かの思春期がいま訪れようとしているんだと話す。

その「思春期」とはどういったものなのか聞かせてほしいと山口洋は言った。佐野元春は守りとは対極にあるもの、そして約束を破ること、あるいは文脈から外れること、かといってアウトローを気取るのではなく、自分の中でもう一度あらゆる意味での価値の問い直しをする、したい、こういう感じだと話した。
コメント (5)
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