2019年04月21日プレイリスト
「男性裏声シンガーで棚からひとつかみ Part 1」
1. 悲しみのJODY / 山下達郎 "メロディーズ" "オーパス" '83
2. HEY THERE LONELY GIRL / EDDIE HOLMAN '68
3. LET HIM RUN WILD / THE BEACH BOYS "SUMMER DAYS (AND SUMMER NIGHTS)" '65
4. LET'S PUT IT ALL TOGETHER / THE STYLISTICS '74
5. PEANUTS / THE FOUR SEASONS "SHERRY & 11 OTHERS" '62
6. LET ME DOWN EASY / THE ISLEY BROTHERS "HARVEST FOR THE WORLD" '76
7. MR. LONELY / THE LETTERMEN "PORTRAIT OF MY LOVE" '65
8. OOO BABY BABY / THE MIRACLES '65
9. LOST WITHOUT U / ROBIN THICKE '07
10. TOUCH ME LIGHTLY / 山下達郎 "ムーングロウ" '79
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■内容の一部を抜粋
・近況
レコーディングは今週が締切なのでがんばっているとのこと。
・男性裏声シンガーで棚からひとつかみ Part 1
今週は二月に一度の聴取率週間。今日は「男性裏声シンガーで棚からひとつかみ」。先週、選曲をはじめてリストアップしたところ星の数ほどあり頭が痛くなってきたという。オールディーズの番組なので新しいものは選曲せずに'60年代、'70年代、'80年代という感じで選んだとか。代表的なものを中心に割とベタなプログラム。一週間じゃ間に合わないので二週間やることにして今日は「男性裏声シンガーで棚からひとつかみ Part 1」。今週は裏声を売り物にしているシンガーを中心にヴォーカル・グループも含めて上手い人をずらっと並べたそうだ。
・悲しみのJODY
達郎さんは日本のポピュラー・ミュージックの世界で裏声を比較的多用している、今はもう少しスタイルが違うけれど、'70年代、'80年代は割と珍しいパターンの歌を作ってきたので、まずは山下達郎の曲から。1983年の「悲しみのJODY」。
・HEY THERE LONELY GIRL
エディ・ホルマンはニューヨーク、フィラデルフィア、イースト・コーストで活躍した。'60年代の頭、十代のときからミュージカルに出たりして活躍。「HEY THERE LONELY GIRL」は1970年の春に全米2位。ルビー&ザ・ロマンティックスのヒット曲のカヴァー。達郎さんはライヴでよくやっていたとか(1978年のアルバム『IT'S A POPPIN' TIME』に収録されている)。
・LET HIM RUN WILD
達郎さんの世代で裏声といえばビーチボーイズのブライアン・ウィルソン。1965年のアルバム『SUMMER DAYS (AND SUMMER NIGHTS)』から珠玉の名曲「LET HIM RUN WILD」。
・LET'S PUT IT ALL TOGETHER
ロックンロール、R&Bの世界だから'50年代ぐらいから裏声で歌う人が出てくる。多くはヴォーカル・グループのトップをやる人。その人がリードも兼ねるかたちで裏声で歌う。ドゥー・ワップにそれが多く見られて、その前はゴスペル・ミュージックとかそういうものもあった。裏声中心に歌うスタイルのシンガーはヴォーカル・グループから出てくる人が大多数。ヴォーカル・グループのリード・シンガーとしての裏声シンガーがたくさんいる。スタイリスティックスのヴォーカリスト、ラッセル・トンプキンス・ジュニアはそうしたなかでも日本で最も有名な人。1974年のヒット・ナンバー「LET'S PUT IT ALL TOGETHER」。当時の邦題は「祈り」。
・PEANUTS
現代の裏声で歌う人と比べるとみんなタッチが強い。この頃はまだマイクの性能が発達してなかったので地声がちゃんと届く裏声。録音技術が発達したため最近の人はもっとマイクに近づけて弱いニュアンスでもオケに乗るという具合になってきている。そういう意味では裏声で歌ってもパワー全開だったのはフランキー・ヴァリ。1962年のフォー・シーズンズのデビュー・アルバム『SHERRY & 11 OTHERS』に収められている「PEANUTS」。もともとは1957年のリトル・ジョー&ザ・スリラーズのヒット・ソングのカヴァー。ドゥー・ワップのカヴァーだったがフォー・シーズンズのカヴァーは優れていて、後にフォー・シーズンズのヴァージョンをカヴァーする人が出てくる。
・LET ME DOWN EASY
これまで聴いてきたパンチのある裏声から'70年代に入ってくるとだんだんソフトな歌い方になってくる。録音技術が発達して今までにない音像が作れるようになってきたから。そんな中でシンガーもスタイルを変えてくる人が出てくる。そんな中のひとりがアイズリー・ブラザーズのロナルド・アイズリー。この人はシャウトしても凄くパワーがあるが裏声で歌っても同様に表現力が出せるオールマイティーなシンガー。1976年のアルバム『HARVEST FOR THE WORLD』に入ってる珠玉の名曲「LET ME DOWN EASY」。
・竹内まりや Music & Life 〜40年をめぐる旅〜 再放送決定
NHK総合で3月26日(火)にオンエアされた「竹内まりや Music & Life 〜40年をめぐる旅〜」。好評につき再放送が決定した。5月4日(土)深夜0時35分から。詳しくは竹内まりや40周年特設サイトにて。
https://www.mariya40th.com
・PERFORMANCE 2019
今年の全国ホール・ツアーが決定した。6月から10月まで5ヶ月間、26都市50公演。4月13日からはじまっていた6月公演分のファミリーマート先行受付チケットは本日4月21日18時まで。詳しくは山下達郎オフィシャル・サイトにて。
https://www.tatsuro.co.jp
・MR. LONELY
男性裏声シンガーで日本で有名なのはレターメン。1965年のレターメンのアルバム『PORTRAIT OF MY LOVE』に収められている「MR. LONELY」。もともとはボビー・ヴィントンのヒット曲。TOKYO FMがFM TOKYOだった時代に、「ジェット・ストリーム」のテーマ曲、フランク・プゥルセル・グランド・オーケストラのヴァージョンの「MR. LONELY」が評判になったので、東芝がレターメンのヴァージョンを発売し大ヒットした。日本以外ではチャートに入ってない。レターメンのスタイルはもともとグリー・クラブというかバーバーショップと呼ばれるリード・ヴォーカルの上にハーモニーを付けている。バーバー・ショップはだいたい4人で、そのベースがなくなったのがレターメンのスタイル。いわゆるカレッジでは一般的なスタイル。
・OOO BABY BABY
'60年代の白人のシンガーは地声から裏声に上げて、裏声から地声に戻していく過程のひっかかる感じを売り物とする特徴があった。R&Bだとちょっとニュアンスが変わってくる。R&Bの世界でウィスパーに近いニュアンスでいちばん最初に画期的な実力を示したのがミラクルズのスモーキー・ロビンソン。'50年代から活躍しモータウンで大成功。スモーキー・ロビンソンは一聴してわかる素晴らしい特徴を持ったシンガー。1965年のミラクルズの代表作「OOO BABY BABY」。スモーキー・ロビンソンやカーティス・メイフィールドなどもともとグループで歌っていた人がソロになると、のちの評論家はグループで歌わないと真価が発揮できない、ソロでやると弱くなるという批判をする。今はネットで柔らかい歌い方をするシンガーの批判など多い。でもそれは録音の変化で今までと違った音像が作れるので、そういうものに合わせていく、ニーズがあるのでそういうふうになるので、時代によって歌い方がいろいろと変わるのを、昔が良かったというように単純に批判しないほうがいいかなと思っている、と達郎さん。
・LOST WITHOUT U
今週は'60年代、'70年代の裏声シンガーを聴いてきたが、今のスタイルとちょっと違うので、最後は割と最近の裏声シンガーの作品から。ロビン・シックの2007年の「LOST WITHOUT U」。スタジオのレコーディングの密室間がよく出ている歌い方と達郎さん。スモーキー・ロビンソンから40年の時間の開きがあるけれど連綿と続いている共通点がある。
・TOUCH ME LIGHTLY
「悲しみのJODY」を作った当時は裏声で歌うシンガーが少なく、差別化という意味でずいぶんと作ってきたそうだ。1979年のアルバム『MOONGLOW』に収められた「TOUCH ME LIGHTLY」はもともとはキング・トーンズのために作った曲でセルフ・カヴァー。
・今後の予定
何しろ数が多いので来週も引き続き「男性裏声シンガーで棚からひとつかみ Part 2」。ロックンロール、R&Bをバランスよく散りばめて。
■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2019年04月28日は、「男性裏声シンガーで棚からひとつかみ Part 2」
http://www.tatsuro.co.jp