夕凪の街 桜の国

2007年08月20日 | 映画

夕凪の街 桜の国
2007年8月14日(火) 晴れ。
シネ・リーブル梅田シアター1で『夕凪の街 桜の国』を観た。

あらすじ
・夕凪の街
原爆投下から13年経った広島。平野皆実は母と二人で暮らしている。水戸に疎開した弟の旭は、疎開先の友達と離れがたく、広島には戻らず、叔母夫妻の養子になった。原爆は家族を奪ってしまった。皆実にはあの日に亡くなった妹・翠の声が今も聞こえる。自分だけ生き残ったことが彼女を苦しめ続ける。そのことを誰にも言い出せなかった。なぜなら周りの人たちは誰一人として原爆のことを話さなかったからだ。

ある日、皆実は会社の同僚打越から愛を告白された。うれしかったが、原爆の悪夢が彼女を襲い、「私一人だけが幸せになっていいのか」と打越に問うた。彼女の苦しみすべてを聞いた打越は「生きとってくれて、ありがとう」と言うのだった。その言葉は皆実を勇気付けた。原爆の悪夢はどこかに消えていきそうだった。

しかし、次の日、皆実は体調を崩してしまう。原爆症を発症したのだった。髪の毛が抜け、どす黒い血を吐いた。血の中に塊のようなものがあった。内臓の一部が溶けて出たのだ。皆実の身体に黒い斑点が出た頃、弟の旭が見舞いにやってきた。

旭は彼が赤ん坊の頃に撮られた家族写真を皆実に見せた。写真を毎日見ていたから、亡くなった父も翠のことも知ってるのだと旭は言うのだった。「私のことも忘れんといてね」と言う皆実。その日、皆実は息を引き取った...

・桜の国
平成十九年、夏の東京。石川七波は最近、父・旭の様子がおかしいと感じていた。弟・凪生に相談するが、その間に父は黙って家を飛び出した。それに気がついた七波は父を尾行することにした。

駅に向かった父は電車に乗り遠くまで行くようだった。お金の持ち合わせがなかった七波だったが、偶然、小学校時代の同級生だった東子と出会う。彼女の協力を得て東京駅まで後をつけて来たが、父はそこから夜行バスに乗り広島に向かうようだった。尾行はここまでだと思った七波だったが、なんと東子は広島まで付き合うと言い出す。そうして尾行はまだ続くのだった。

夜行バスの中で東子との会話から小学校の時に住んでいた桜並木の街の団地生活を思い出す七波だったが、それはあまり思い出したくない過去だった。その街で七波は祖母の平野フジミと母を失った。祖母は八十過ぎまで生きたが、晩年は記憶が混濁し、七波を娘の翠の友だちだと思い込んでいた。

母は四十代前半で亡くなった。母の突然の死について誰も何も教えてくれなかった。だが、七波は母が広島出身だということが死因と何か関係があるんじゃないかと思っていた。

朝になり広島に着いた。父の後をつける七波と東子。父は年老いた女から何かを受け取り、その女性が持ってきた洋服を見て涙を流した。不審に思う七波。東子は飽きてしまったのか、せっかく広島に来たのだから、原爆ドームに行ってくると、ケータイの番号を書いた紙切れを七波に手渡して行ってしまった。

その紙切れは弟・凪生が東子に宛てて書いた手紙のようだった。東子の両親は凪生との交際を快く思ってなくて別れるように言ってるらしく、凪生は東子の両親の言い分に理解を示していた。戦後62年、広島の戦争は終わってなかった...
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原作はこうの史代の漫画。監督は『チルソクの夏』、『出口のない海』の佐々部清。主演は田中麗奈、麻生久美子。

昨年観た『紙屋悦子の青春』のことを思い出した。前半の『夕凪の街』はもう涙、涙だった。アソクミが素晴らしい。何度も何度も泣いてしまった。原爆で亡くなった妹・翠のくだりは胸が締め付けられた。皆実、旭の母役の藤村志保も良かった。
『桜の国』ではプリプリの「ダイアモンズ」が劇中で上手く使われていた。佐々部監督は『チルソクの夏』ではピンクレディーの歌を上手く使っていた。
クライマックスの部分は漫画らしい展開なのだが、旭役のマチャアキの最後の台詞にはやられた。最後の涙は、でも、苦しかった。

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