ノーカントリー

2008年04月24日 | 映画

4月6日(日) 晴れ。

TOHOシネマズ梅田シアター10で『ノーカントリー』を観た。
http://www.nocountry.jp/

■ノーカントリー
ジョエル&イーサン・コーエン監督作品。
第80回アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞(コーエン兄弟)、最優秀脚色賞(コーエン兄弟)、最優秀助演男優賞(ハビエル・バルデム)、4部門受賞作品。

[STORY]
1980年代のテキサス、メキシコ国境近くの荒野で、ベトナム帰還兵のモスは死体の山に囲まれたピックアップトラックを発見した。麻薬取引のもつれから銃撃戦となったようで現場には大量のヘロインと200万ドルが入ったバッグが残されていた。危険な金だと知りながらモスは出来心でバッグを奪ってしまった。金を奪われた麻薬組織は殺し屋シガーを雇い現場から逃げた男を捜がしていた。そこで置き去りにされたモスの車を発見し、モスはシガーから追跡されることになってしまった...

久しぶりに金を出して観たいと思った映画。見終わった後の何とも言えない重い気分。映画館を出てしばらく歩いて、iPodで佐野元春の「コヨーテ、海へ」を聴いたが、重い空気を追い払うことはできなかった。血と暴力が苦手だという人は見ないほうがいい。北野武監督のように殺人シーンは省略されているとはいえ、かなりキツい。上映中、女の人がひとり出て行ってしまった。一体何人死んだんだろう。

原作はコーマック・マッカーシーの『血と暴力の国』。コーエン兄弟はほぼ原作通りに映画を撮った。ただ映画は唐突なラストが不可解さと居心地の悪さを残す。一体、トミー・リー・ジョーンズの保安官はどうしてしまったのだろうと。

原作ではラストが丹念に描かれているそうで、僕は映画のパンフレットを読んでようやくこの映画の意味が理解できた。原作者のマッカーシーは「死の問題と取り組まない作家はシリアスな作家ではない」と言う。シガーという殺し屋には彼なりのルールがあり、それに沿って人の命を奪う。それは「突然の不条理な死」ともいえるが、人生にはそもそも「死」があらかじめ用意されていて、人は誰も自分の死を予期することはできない。それ故にシガーは形骸化した「死」を現実化させる存在だともいえる。

一方でラストのトミー・リー・ジョーンズの保安官が見た夢の物語は原作では「希望」として描かれているそうだ。映画ではその部分がわかりにくい。「突然の不条理な死」だけが大きくクローズアップされた形で、それが不可解さと居心地の悪さを残したのだと思う。

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