昨年の1月23日(日)、佐野元春のTHE SUN TOURが神戸国際会館こくさいホールで開催されました。僕と友人はライヴがはじまる前に神戸の街を歩きました。村上春樹の『辺境・近境』を片手に、それぞれ地震の記憶をよみがえらせながらいろいろと話しました。
『辺境・近境』の「神戸まで歩く」で村上春樹は西宮、夙川あたりから二日かけて三宮まで歩きます。それは地震で被災した故郷を巡る旅でした。村上春樹は以下のように思いを綴っています。
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地震のあと僕は神戸の街を何度か訪れ、言うまでもなく、その傷跡の深さにショックを受けた。でもそれから二年を経過して、ようやく落ち着きを取り戻したかのように見える町が、実際にどのような変貌を遂げたのか、そしてあの巨大な暴力が町から何を奪い、何を残していったのか、自分の目で見届けてみたかったのだ。それはおそらく僕自身の今の存在とも少なからず関係したことであるはずなのだから。
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僕たちは午後にJR三宮駅で待ち合わせ、大まかにその日歩くルートを決めました。時間に余裕があるわけではなかったので、神戸高校から新神戸まで歩くことにしました。そして阪急六甲からバスに乗り神戸高校に向かいました。
バス停から神戸高校の門まで急な坂道を上りました。300メートルくらいあったでしょうか、息が切れました。山の斜面を平たくして作られたグラウンドではラグビーの試合が行われていました。グラウンドの向こうには港が見えました。
写真は通称「地獄坂」を登りきったところにある神戸高校の門。『辺境・近境 写真篇』に掲載されている写真と同じアングルで撮りました。