矢野顕子リサイタル BREEZE 3DAYS with GUEST

2009年02月19日 | Live

2月15日(日) 曇り。
サンケイホールブリーゼで行われた「矢野顕子リサイタル BREEZE 3DAYS with GUEST」を聴きに行った。
日替わりでゲストを迎える矢野顕子のピアノ弾き語り公演。15日のゲストは清水ミチコだった。
ちなみに13日は岡林信康、14日は細美武士。

ステージ上には2台のグランド・ピアノが向き合って置いてあった。
リサイタルとは独演会のこと。最初は矢野顕子のピアノ弾き語り。
矢野顕子は黄色のヒラヒラした衣装、細いパンツといったかっこう。
下手側のピアノに座り弾き語りが始まった。
1曲目は「Dreaming Girl」と意外な選曲だった。
9.11直後の2002年に発表された『reverb』に収められた曲でシングルにもなった。
"昨日のことはもう思い出の中 明日しか見てない"
こんな大不況の時代に聴くと希望がわいてくる。

サンケイホールブリーゼは912席という収容数のこじんまりとしたホール。
ヴォーカルもピアノも不自然に大きく増幅されていない。
ステージ上で床を踏んでリズムを取る音が聞こえるほど。
音響は生音を重視した音作りなのかもしれない。

2曲目は「春咲小紅」。
梅が咲く季節。数日暖かい日が続いてたので春が近いように感じる。
糸井重里の書いた歌詞が木綿のように心地よい。
心は春でいっぱいという気持ちになった。

「ゲストを迎えたコンサートを大阪でするのはほとんどなかった」と矢野顕子は話した。
いつも東京でばかり。
昔、渋谷にジァンジァンという劇場があって、
よくそこでこんなふうなコンサートが行われていた。
いつか聴きに行ってみようと思っていたがジァンジァンはもうなくなってしまった。
このサンケイホールブリーゼはこけら落し公演が演劇だったこともあり、
ジァンジァンとよく似た会場なのかもしれない。
矢野顕子は今回の公演が楽しかったらしく、
「よし、この劇場お買い上げだ。でもちょっと頭金が足りない(笑)」と話していた。

3曲目は最新アルバム『akiko』から「Missing and Dropping」。
サビだけ日本語ヴァージョンの「しまった」となっていた。
4曲目は「湖のふもとでねこと暮らしている 」。
1991年のアルバム『Love Life』に収められた宮沢和史との共作曲。
RCサクセションの「山のふもとで犬と暮らしている 」のアンサー・ソングで、
この曲を聴いたキヨシローが
「湖は"ふもと"ではなくて"ほとり"って言うんだよ(笑)」と言ったことを思い出した。
この曲もライヴで聴くのは久しぶり。

喉の調子が気になったのか、矢野顕子はのど飴を口に入れた。
ホワイエにあるドリンク・バーのメニューを開演前に見たそうで、
コーヒーやドーナツといった定番のメニューの中に、なぜかのど飴があったことを話した。
100円だったとか。お金に余裕のある方は帰りに注文してみてくださいと話した。
終演後、ドリンク・バーは営業してなかったが物販売り場でのど飴の特別販売があった。
「あっこちゃんお薦めののど飴100円」
ブリーゼブリーゼで最も安い商品かもしれない。

5曲目の「My Love」は友人が書いた曲だということだった。
ほぼ5年おきにピアノ弾き語りのアルバムを作ってきた矢野顕子。
レパートリーも増えて来たし、バンドで録音してない新曲もあるので、
そろそろまた発表したいと考えているそうだ。
「椅子」という曲は弾き語りのレパートリーの1曲で、
次に弾き語りのアルバムを作るなら入るかもしれない曲なのだとか。
続いて「やしの実」を歌って前半が終了した。

今夜のゲスト清水ミチコは矢野顕子のモノマネをすることで知られている。
2005年のアルバム『歌のアルバム』には「相合傘」のカヴァーが
矢野顕子のライヴ・ヴァージョンという形で収められている。
2007年の夏にデビュー20周年記念のライヴが行われて、
僕は聴きに行ったがそこでも披露されていた。

矢野顕子は上手側のピアノに移り、清水ミチコが下手側のピアノへ。
向き合うかっこうで共演がはじまった。
清水ミチコがモノマネして歌う「丘を越えて」。最初から大ウケ。
そっくりに歌うので本物の矢野顕子が歌っても笑いが起きる。
「おおパリ」はイッセー尾形に提供した曲。
うっかりしているとどちらが歌っているのかわからなくなる。
清水ミチコは本当に矢野顕子をリスペクトしているらしく、
共演の最中に素に戻り感動したかのようなじんわりとした表情を
一瞬うかべていた。

トーク・コーナーが間に挟まれていて、
「銭形平次」と「水戸黄門」のテーマを同時に弾くという清水ミチコのネタが
矢野顕子のリクエストにより披露された。
ほかには田中眞紀子や森山良子のモノマネもあった。
矢野顕子の話題ではNHKのオーディションに落ちた話や、
ラジオ番組「若いこだま」はピアノを弾きながら収録していたとか、
お酒を飲んで放送しているんじゃないかという投書があり、
本番中に局の上の人が確かめにきたという話が交わされた。

「いもむしごろごろ」は即興演奏の代表曲だがこの曲も清水ミチコと共演。
もちろんリハーサルをしているのだろうが、素晴らしい演奏となった。
観客から大喝采が起こった。

共演が終わり、また下手側のピアノに戻り弾き語り。
最新アルバム『akiko』から僕のお気に入りの「変わるし」。
くるりの「ばらの花」は3日間通して演奏されたのはこの夜だけだったらしい。
僕はこの曲を歌う日にうまい具合にあたるみたいだ。
毎回毎回同じではない。いつも違うピアノ演奏と歌。
しみじみとした情感があって素晴らしかった。
最後の曲は最近定番となりつつある「Rose Garden」。
途中で「いもむしごろごろ」が挿入されていた。

アンコールは清水ミチコと共演で「ひとつだけ」。
キヨシローが飛び入り出演する妄想と戯れる。
たぶん「湖のふもとでねこと暮らしている」を聴いたせいだ。
本当に楽しいライヴだった。思わず立ち上がって拍手してしまった。
スタンディング・オベイションとはならず、恥ずかしいなと思ったが、
最後に矢野顕子が気づいてくれて手を振ってくれた。


■矢野顕子リサイタル BREEZE 3DAYS with GUEST
2009年2月15日(日) サンケイホールブリーゼ
1階C列26番

矢野顕子(Vocal, Piano)
清水ミチコ(Vocal, Piano)

Set List
01 Dreaming Girl
02 春咲小紅
03 Missing and Dropping
04 湖のふもとでねこと暮らしている
05 My Love
06 椅子
07 やしの実
08 丘を越えて(with 清水ミチコ)
09 おおパリ(with 清水ミチコ)
10 いもむしごろごろ(with 清水ミチコ)
11 変わるし
12 ばらの花
13 Rose Garden
Encore
14 ひとつだけ(with 清水ミチコ)

・会場に届けられた花



・のど飴





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