九州新幹線の開業から10ヶ月以上が経ち、順調に利用を伸ばす駅、低迷する駅の明暗が分かれてきました。特に、全国的にも例を見ない短い間隔で3つの駅が設置された筑後平野の各駅も、それぞれ異なった歩みを進めています。
そこで1月も間もなく終わる28日、筑後船小屋から久留米、鳥栖と3駅の様子を眺めに行ってみました。
慢性的な駐車場不足が続く【筑後船小屋駅】
7~9月の実績でも1日の乗降客数が700人と、なかなか伸びが見られない筑後船小屋駅。大幅割引の「日帰り2枚きっぷ」導入で、巻き返しを図っているところです。
昼12時過ぎ、駅前駐車場に入ろうとしましたが、やはり満車でした。毎日のことかは分かりませんが、僕が訪れる休日昼間は必ず満車状態です。
この駐車場は駅レンタカー九州が設けた民間駐車場であり、わずか157台分の規模しかありません。他の駅のような公営の駐車場は設けらておらず、キャパ不足の感があります。これでは駐車場が当てにできず、利用低迷の原因の一つになっているのでは?
駅裏にはようやく臨時駐車場の造成が始まっていましたが、工期末は3月。こうしている間にも、利用者の逸走は進んでしまいます。
駅前は丁寧に手入れされていますが、相変わらず人影がありません。
…?(笑)
13時16分発・つばめ347号、博多発熊本行。乗車20人、下車15人。
13時22分発・つばめ344号、熊本発博多行。乗車50人、下車3人。
この日は船小屋温泉で会合でも開かれたのか、上下列車とも会社員らしきグループが乗り込んでいく姿が目立ちました。これも新幹線効果の一つ!?
列車自体は、自由席・指定席もほどほどに乗っていました。指定席はビックリつばめ2枚きっぷの効果も大きいようで、博多~熊本間の「さくら」よりも混んでいるようです。
駅前では、芸術交流施設の建設が進んでいました。ガラスドームのある、斬新な形の建物になるようです。
駅から車で5分ほど離れた筑後広域公園の船小屋温泉寄りでは、温泉施設の建設が進んでいます。ただここ、本来は10月1日にオープン予定でしたが、致命的な施工不良が見つかり やり直し工事中という、なんとも不運な施設。筑後船小屋駅の利用増にも寄与すると目されている施設なのですが、駅本来の本領を発揮できる環境がなかなか整いません。
規模は公営にしては小さめで、「ホンモノの温泉」を楽しめる施設であることを願います。
併設の「川の駅」は先行オープン、買い物客で賑わっていましたが、ほぼ100%がマイカーで訪れていました。
船小屋で話題なのが、実験浴場「すずめ湯」。船小屋温泉本来の炭酸湯を楽しめます。
オープン1年半にして、この年季。炭酸ガスによる中毒を防止するため、窓を開けなければならないというほどの温泉です。充分、全国区で通用するだけの泉質で、船小屋温泉の活性化や、ひいては筑後船小屋駅の利用を伸ばすだけの実力を秘めている!?…かも。
利用は順調、駅周辺の活性化が課題【久留米】
1日2800人と、目標を上回る利用がある久留米駅。春のダイヤ改定では大阪直通の大幅増便も決定し、目下順調な走りを続けている駅です。
在来線の駅と一体になった自由通路には、多くの人が行き交います。
そんな久留米駅の課題は、駅周辺の活性化。昨年新たに設けられた西口ですが、「駅裏」だった頃に比べてだいぶ開けてきたとはいえ、まだまだ静かなものです。
駅舎の完成予想図では店舗が並んでいた駅舎下も、今はデッドスペースのまま。
一方、メインの玄関口となる東口も、正面右手の駅ビル用地に槌音が響き始める気配がありません。
駅前タワーマンションの1階部分に当たる「タワーモール」も、まだテナントが埋まっていない状況です。
駅正面左手の「フレスタくるめ」のテナントは埋まっており、周辺も空き店舗は少ないことから、これらの空きスペースも、いずれは埋まってくるのではないかと思っているのですが…新幹線利用者の伸びに合わせて、少しずつ賑わいにつながっていけばと思います。
既設の駅とあって周辺には民間駐車場が多く、おいそれと値下げできない市営駐車場の低迷も、課題の一つです。
乗り継ぎターミナルの面目躍如【新鳥栖】
新鳥栖駅の乗降客も当初こそ低迷したものの、7~9月期では当初想定値の1,700人をクリア。大阪直通便の増便も計画されていますが、古くからの交通の要衝としての歴史を受け継ぎ、今も熊本・鹿児島方面から佐賀・長崎方面への乗り継ぎターミナルとして機能しています。
駅周辺の開発も新駅らしく、大規模な計画が少しずつ進んでいます。
24時間100円の割安な市営駐車場は、今日も好調。キャパは充分で、満車にならない安心感は大切なものです。
九州広域から患者を集めることになるのであろう がんセンターも、だいぶ立ち上がってきました。
広大な開発用地も何区画かあり、1つでは結婚式場の建設が決まっています。
新駅とはいえ、近隣には古くからの住宅と新興住宅街があることから、こんな「地域の駅」としての顔も持っています。
鳥栖でホットな話題といえば、苦節十数年の末にJ1昇格を決めたサガン鳥栖!今シーズンは全国各地から強豪を迎えて、サポーターの動きも活発になるものと思われます。
ただスタジアムは在来線の鳥栖駅前で、遠方から新幹線で訪れるサポーターにとっても、博多で在来線に乗り継ぐ方が便利。新幹線の利用には、どれほど結びついてくれるでしょうか…?
15時22分発・さくら416号、鹿児島中央発博多行。乗車3人、下車50人以上。
鹿児島からやってくる足の長い列車だけに、降りた人数は人波となって、数を捕捉できませんでした。多くの人が、在来線改札口へと流れていったようです。
15時24分発・さくら419号、博多発鹿児島中央行。乗車20人、下車不明。
春のダイヤ改定後は、鹿児島まで入る800系がだいぶ減るようです。
15時33分発・さくら309号、博多発熊本行。乗車2人、下車10人。
速達列車が続くだけに乗車率はいま一つでしたが、下車した人は大荷物の人が目立ちました。博多で5分接続の「のぞみ」からの乗り継ぎ客がメインだったようです。