旅の4日目は、2013年(民国102年)も押し迫った12月31日。台北市内を巡り、新年を迎えました。
まずは、昨夜散歩した台北駅の南側を改めて散策。近代的な街並みの中にも、日本時代の近代建築が点在しています。
手前の建築物は、1922年竣工の旧三井物産ビル。近代文化遺産として残されているわけではなく、今もオフィスとして使われています。日本が作った建築物ながら、2階部分が道路に張り出す台湾スタイルです。
そして隣接する建物は、第一勧業銀行から台湾土地銀行を経て、現在は台湾博物館の分館になっています。
通りに面して、美しく並ぶ列柱。天井には、精巧なレリーフで飾られています。
入場は無料で、館内撮影の許可も貰えました。吹き抜けの空間には恐竜の化石が展示され、3階のカフェでは、化石を眺めながらサンドイッチのブレックファーストを食べられました。
金庫室は銀行時代の資料館になっており、時代の変遷とともに歩んだ建物の歴史を知ることができます。大切に使われている建物で、書き置きコーナーに感謝の言葉を綴っておきました。
午前の陽に輝く総統府。4日目にして、ようやく南国らしい晴れの天気に恵まれました。
通りを挟んだ区画には、玄関が大きく張り出した裁判所。
界隈には威厳ある近代建築物が並び、霞が関を歩いている気分になったのでした。
中正記念堂駅から、MRTで移動します。市内中心部のMRTの駅は2層が吹き抜けになったものが多く、解放感があります。
写真は小南門線の電車ですが、他線と同じ青い帯。ラインカラーが採用されているMRTですが、電車そのものは共通運用のようです。
各駅では、台北101で行われるカウントダウンへ「2線でアクセス」「4駅へ退場」の呼びかけが、広く行われていました。
どれほどの混雑になるのか怖いようで、興味深くもあります。
新興繁華街である、市政府駅で下車。ショッピングゾーンだけではなく、2017年のユニバーシアードに向けドーム競技場の整備も進んでいます。
競技場の工事現場の仮囲いが緑化されているのは、いい配慮。景観上も好ましいし、ヒートアイランド抑制にも効果があるのでは?
市政府駅から徒歩5分の、松山文創園区へ。75年前に作られ、15年前まで現役だった煙草工場を再生した複合文化施設です。
豊かな亜熱帯の植物の森と、古びた工場建築。
イベントの一環で、香港の2階建路面電車を模した豆汽車が往復していました。
古い建築を利用した新しい施設ですが、建設当時の面影を色濃く残しています。
廊下の床のひび割れはそのまま。
トイレは便器こそ最新式にものに取り替わっていますが、モザイクタイルの床や腰壁は昔のままです。
さすがに、外部に面した窓の多くはアルミサッシに変わっていましたが、それも状態のよいものは木製建具のままになっていました。
室内も壁面の塗装を施した程度だけど、カラフルなチェアでポップな空間に。
日本だと、近代建築物の再生ではフルリノベーションされる事例も多いのですが、古いものも極力古いまま、磨きこんで使っていくのが台湾流のようです。
館内には「台湾設計館」があり、「設計?図面の博物館かな?」と思っていましたが、英訳すればデザインミュージアム。設計=デザインなんですね。入場料100NT(370円)を払うとリストバンドを巻かれ、文創園区内に点在する展示室を見られます。
世界と台湾の工業デザインの変遷が、一同に会する展示室。戦後の台湾製品にも多くの日本語が見られるのは、興味深いところです。
ここも建物に施された装飾は、床のカーペットと壁・天井への塗装くらい。
機械修理工場は、琉璃工房(ガラスアートギャラリー)のギャラリー兼ショップに。小山堂というレストランも併設しており、最低消費額300NT(1,100円)はなかなかの値段ですが、この空間でゆったりしたくて席につきました。
中洋折衷メニューの角煮リゾットは、かなりのボリューム。
食後のコーヒーは、ミュージアムカフェでゆったりと。この日はいい天気でしたが、結局朝から昼過ぎまで、日本時代の近代建築物の中で過ごしたことになります。
日本の手を離れて60年、これらはしっかり台湾の地に根付き、台湾の建築物として活躍する姿を頼もしく思ったのでした。
信義線から淡水線に乗り継ぎ、北投温泉を目指します。温泉は一人で行っても寂しいので、ルームメイトさんと待ち合わせて行くことにしました。
示し合わせたわけでもないのに、北投駅で乗り換えた新北投支線の電車の中で落ち合うことができました。
淡水線を走る電車のうち、新店線から直通してくる電車は終点の淡水行きですが、信義線からの直通電車は北投止まり。だったら北投~新北投間の区間電車も信義線に直通すればいいじゃん!と思っていましたが…
この1駅間の区間電車は、北投温泉へ向かう観光客を意識した特別仕様。この電車を走らせたいんですね!タッチパネルで情報を得ることもできて、なかなか便利そうです。
新北投駅前はありふれた電車の駅前でしたが、川沿いを遡って行くと、どことなく温泉地の風情が沸いてきました。
高層ビルのホテルが林立していて、秘湯というよりは大規模な温泉旅館街の趣です。
川沿いの、市立図書館北投分館。木をふんだんに使った、窓の大きい居心地の良さそうな図書館です。
後刻、中まで入ったところ、窓が大きく開放的ながら、低い天井が落ち着きを感じられる空間。館内では飲み物を飲めるようで、コーヒーを片手にしゃれた空間でくつろぐ市民の姿は、武雄図書館を思い出しました。
川では、足湯を楽しむ人々の姿が。温泉旅館からの廃湯も流れ込んでいるので、あまり推奨はされていないようですが…
地獄谷へ。青い湯から、もうもうと湯気が立ち込めます。
別府や島原の地獄に比べれば規模は小さなものですが、逆に日本の地獄に台湾からの観光客が訪れる理由も分かった気がしました。
ガイドブックを見つつ、どこの温泉に入ろうか、熱海大飯店(笑)がお手頃な値段だなと向かってみたら、熱海の横に新しい温泉施設ができていました。
その名も百楽涯温泉酒店。唐破風の玄関が日本風を演出してて、聞いてみれば、台湾式の水着着用ではなく裸で入れる日本式ということで即決しました。280NT(1,040円)となかなかいい値段ですが、この界隈ではお手ごろな方です。
脱衣所と浴室の仕切りがないのは台湾式と言われますが、別府や沖縄の公衆浴場でも見られるスタイルです。ただ土足と裸足の床が入り組んでおり、湯上りの時には足のよごれが気になるかも。
湯の浴槽が2つに、水風呂とミストサウナがあるだけのシンプルな浴室。白濁した湯は温泉成分がふんだんに入っている感じです。温度はやや熱めでよく温まり、疲れもすっと抜けていきました。テラスからの風景も温泉地らしくて、和みます。
これまた日本時代の遺産である温泉博物館は、残念ながら閉館時間を過ぎていました。
背後に立つのは、日本から進出してきた純日本式旅館「加賀屋」。かなりのお値段らしいのですが、ちょうどチェックインの時間とあって、次々に部屋に明かりが灯っていました。
MRTで市内へと戻ります。北投のホームで見た淡水行きの電車は、なんとJR東日本の広告電車。日本企業も頑張っています。
午後6時を過ぎた台北駅は、昨日までの同時刻とは比べ物にならない混雑に。昨日までは見かけなかった、「ここに立ち止まらないで」「トイレはこちら」のぶら下がり看板も設置されていました。
年越しに向けて、街はざわつき始める時間です。
ドミの部屋からは、昨日までは もやに隠れ見えなかった台北101が姿を現していました。年越しに向かって、30分ごとに電飾が灯ります。
秋葉原ビルの屋上も解放されるとかで、ここから見ようかなと心動きかけましたが、近くまで行っても意外と混まないし、台湾の人たちと迎える年越しがおすすめというルームメイトさんの進言に従い、街中に乗り込むことにしました。
タクシーに乗れば意外と道は混んでおらず、歩道を歩く人を横目に、市政府駅まで乗りつけることができました。
テレビ局の中継車もやってきています。(女子アナさん、きれいだったな~!)
あと2時間!
歩行者に開放された道を埋める、人、人、人…ただ押し合いへし合いするわけでもなく、座り込んで和やかにその時を待ちます。
昨日までの寒さはだいぶ和らぎ、凍えずに済むのはありがたいこと。地面に寝ころび待つ人もいました。
通りから1段上がった位置にある市政府の公開緑地が、通りから目に付かないようで意外な穴場。2時間前というやや出遅れた時間だったにも関わらず、特等席をゲットしました。
1時間前、日本はすでに新年を迎えた時間です。大勢のカメラマンたちと共に、その時を待ちます。
テレビ局のイベントステージに行けば次第にボルテージが上がって行ったのでしょうけど、やや遠巻きに眺めていた僕らにとっては、唐突にカウントダウンがスタート。ビルのてっぺんの数字が「3、2、1…」となった瞬間…
なんじゃこりゃ! 想像していたよりも、何倍ものスケール感の「横向き打ち上げ」花火です。派手なだけでなく、ビルの外周を螺旋状に打ち上げたり、ビルの電飾と組み合わせたりと、芸術的です。
YouTubeにアップされている、他の方が撮影された動画です。あの時の興奮を、今も思い出します。
『HAPPY NEW YEAR 快楽 台北101 敬祝 新年』。ビルに現れるメッセージに、周りの台湾の人々とともに新年を迎えた喜びを共にして、4分間の一大エンターテイメントは幕を閉じました。
台北101に隣接して高層ビルが立つ計画があり、来年以降は開催するにしても、規模の縮小は避けられないと言われているカウントダウン花火。しかし隣接のビルと協力して、今以上の花火を演出することも不可能ではないはずです。きっと、また来ます!
残煙を流しつつ、美しく輝く台北101。
一斉に、帰路につく人々。しかし焦った雰囲気はなく、時々101をバックに写真を撮りつつ、イベントの余韻を楽しんでいる雰囲気でした。押す人も、騒ぐ若者もおらず、警備にあたる警察官の姿すらほとんど見られません。
いつもはきれいな街ですが、さすがにこの日は路上に多くのゴミが残されていました。ゴミを集めるのは、黄色いベストを来た高校生たち。深夜にボランティアさせていいの!?と思いますが、危険はないのでしょう。新年早々、とても気持ち良くなる光景でした。
北側の永吉路まで出れば、タクシーの空車が群がっていました。1台目は「1人200NT!」もふっかけられましたが、2台目で親切なタクシーにあたり、定価の180NTで台北駅へ。ドミに戻った時間は1時前、想像よりはるかにスムーズでした。
部屋に戻ると、シャワーの音。湯上りにビルの中から見たの?と聞いてみたら、真下まで行って、市政府駅からMRTで帰ってきたとのこと。終了後すぐに駅に向かったら、2本待って乗れたとのことです。
大混雑でかなり待つと聞いていたMRTですが、信義線開通のおかげもあり、だいぶスムーズになったようでした。翌日のニュースでは、名物の誘導員が今年は「倍返しだ!」をパロって誘導している姿が流れており、和やかに大輸送作戦が行われたようです。
今年は116万人の人出だったというカウントダウンですが、少ない警備でスムーズに終わり、驚愕という他ありません。花火そのものもきれいでしたが、台湾の人々の高き「民度」を見られたことも、大きな思い出になりました。
年明けの興奮で早寝するのもなんだか惜しく、部屋では2時頃まで盛り上がってしまいました。2014年の幕開けとともに、僕の旅も第2幕へと移ります。
まずは、昨夜散歩した台北駅の南側を改めて散策。近代的な街並みの中にも、日本時代の近代建築が点在しています。
手前の建築物は、1922年竣工の旧三井物産ビル。近代文化遺産として残されているわけではなく、今もオフィスとして使われています。日本が作った建築物ながら、2階部分が道路に張り出す台湾スタイルです。
そして隣接する建物は、第一勧業銀行から台湾土地銀行を経て、現在は台湾博物館の分館になっています。
通りに面して、美しく並ぶ列柱。天井には、精巧なレリーフで飾られています。
入場は無料で、館内撮影の許可も貰えました。吹き抜けの空間には恐竜の化石が展示され、3階のカフェでは、化石を眺めながらサンドイッチのブレックファーストを食べられました。
金庫室は銀行時代の資料館になっており、時代の変遷とともに歩んだ建物の歴史を知ることができます。大切に使われている建物で、書き置きコーナーに感謝の言葉を綴っておきました。
午前の陽に輝く総統府。4日目にして、ようやく南国らしい晴れの天気に恵まれました。
通りを挟んだ区画には、玄関が大きく張り出した裁判所。
界隈には威厳ある近代建築物が並び、霞が関を歩いている気分になったのでした。
中正記念堂駅から、MRTで移動します。市内中心部のMRTの駅は2層が吹き抜けになったものが多く、解放感があります。
写真は小南門線の電車ですが、他線と同じ青い帯。ラインカラーが採用されているMRTですが、電車そのものは共通運用のようです。
各駅では、台北101で行われるカウントダウンへ「2線でアクセス」「4駅へ退場」の呼びかけが、広く行われていました。
どれほどの混雑になるのか怖いようで、興味深くもあります。
新興繁華街である、市政府駅で下車。ショッピングゾーンだけではなく、2017年のユニバーシアードに向けドーム競技場の整備も進んでいます。
競技場の工事現場の仮囲いが緑化されているのは、いい配慮。景観上も好ましいし、ヒートアイランド抑制にも効果があるのでは?
市政府駅から徒歩5分の、松山文創園区へ。75年前に作られ、15年前まで現役だった煙草工場を再生した複合文化施設です。
豊かな亜熱帯の植物の森と、古びた工場建築。
イベントの一環で、香港の2階建路面電車を模した豆汽車が往復していました。
古い建築を利用した新しい施設ですが、建設当時の面影を色濃く残しています。
廊下の床のひび割れはそのまま。
トイレは便器こそ最新式にものに取り替わっていますが、モザイクタイルの床や腰壁は昔のままです。
さすがに、外部に面した窓の多くはアルミサッシに変わっていましたが、それも状態のよいものは木製建具のままになっていました。
室内も壁面の塗装を施した程度だけど、カラフルなチェアでポップな空間に。
日本だと、近代建築物の再生ではフルリノベーションされる事例も多いのですが、古いものも極力古いまま、磨きこんで使っていくのが台湾流のようです。
館内には「台湾設計館」があり、「設計?図面の博物館かな?」と思っていましたが、英訳すればデザインミュージアム。設計=デザインなんですね。入場料100NT(370円)を払うとリストバンドを巻かれ、文創園区内に点在する展示室を見られます。
世界と台湾の工業デザインの変遷が、一同に会する展示室。戦後の台湾製品にも多くの日本語が見られるのは、興味深いところです。
ここも建物に施された装飾は、床のカーペットと壁・天井への塗装くらい。
機械修理工場は、琉璃工房(ガラスアートギャラリー)のギャラリー兼ショップに。小山堂というレストランも併設しており、最低消費額300NT(1,100円)はなかなかの値段ですが、この空間でゆったりしたくて席につきました。
中洋折衷メニューの角煮リゾットは、かなりのボリューム。
食後のコーヒーは、ミュージアムカフェでゆったりと。この日はいい天気でしたが、結局朝から昼過ぎまで、日本時代の近代建築物の中で過ごしたことになります。
日本の手を離れて60年、これらはしっかり台湾の地に根付き、台湾の建築物として活躍する姿を頼もしく思ったのでした。
信義線から淡水線に乗り継ぎ、北投温泉を目指します。温泉は一人で行っても寂しいので、ルームメイトさんと待ち合わせて行くことにしました。
示し合わせたわけでもないのに、北投駅で乗り換えた新北投支線の電車の中で落ち合うことができました。
淡水線を走る電車のうち、新店線から直通してくる電車は終点の淡水行きですが、信義線からの直通電車は北投止まり。だったら北投~新北投間の区間電車も信義線に直通すればいいじゃん!と思っていましたが…
この1駅間の区間電車は、北投温泉へ向かう観光客を意識した特別仕様。この電車を走らせたいんですね!タッチパネルで情報を得ることもできて、なかなか便利そうです。
新北投駅前はありふれた電車の駅前でしたが、川沿いを遡って行くと、どことなく温泉地の風情が沸いてきました。
高層ビルのホテルが林立していて、秘湯というよりは大規模な温泉旅館街の趣です。
川沿いの、市立図書館北投分館。木をふんだんに使った、窓の大きい居心地の良さそうな図書館です。
後刻、中まで入ったところ、窓が大きく開放的ながら、低い天井が落ち着きを感じられる空間。館内では飲み物を飲めるようで、コーヒーを片手にしゃれた空間でくつろぐ市民の姿は、武雄図書館を思い出しました。
川では、足湯を楽しむ人々の姿が。温泉旅館からの廃湯も流れ込んでいるので、あまり推奨はされていないようですが…
地獄谷へ。青い湯から、もうもうと湯気が立ち込めます。
別府や島原の地獄に比べれば規模は小さなものですが、逆に日本の地獄に台湾からの観光客が訪れる理由も分かった気がしました。
ガイドブックを見つつ、どこの温泉に入ろうか、熱海大飯店(笑)がお手頃な値段だなと向かってみたら、熱海の横に新しい温泉施設ができていました。
その名も百楽涯温泉酒店。唐破風の玄関が日本風を演出してて、聞いてみれば、台湾式の水着着用ではなく裸で入れる日本式ということで即決しました。280NT(1,040円)となかなかいい値段ですが、この界隈ではお手ごろな方です。
脱衣所と浴室の仕切りがないのは台湾式と言われますが、別府や沖縄の公衆浴場でも見られるスタイルです。ただ土足と裸足の床が入り組んでおり、湯上りの時には足のよごれが気になるかも。
湯の浴槽が2つに、水風呂とミストサウナがあるだけのシンプルな浴室。白濁した湯は温泉成分がふんだんに入っている感じです。温度はやや熱めでよく温まり、疲れもすっと抜けていきました。テラスからの風景も温泉地らしくて、和みます。
これまた日本時代の遺産である温泉博物館は、残念ながら閉館時間を過ぎていました。
背後に立つのは、日本から進出してきた純日本式旅館「加賀屋」。かなりのお値段らしいのですが、ちょうどチェックインの時間とあって、次々に部屋に明かりが灯っていました。
MRTで市内へと戻ります。北投のホームで見た淡水行きの電車は、なんとJR東日本の広告電車。日本企業も頑張っています。
午後6時を過ぎた台北駅は、昨日までの同時刻とは比べ物にならない混雑に。昨日までは見かけなかった、「ここに立ち止まらないで」「トイレはこちら」のぶら下がり看板も設置されていました。
年越しに向けて、街はざわつき始める時間です。
ドミの部屋からは、昨日までは もやに隠れ見えなかった台北101が姿を現していました。年越しに向かって、30分ごとに電飾が灯ります。
秋葉原ビルの屋上も解放されるとかで、ここから見ようかなと心動きかけましたが、近くまで行っても意外と混まないし、台湾の人たちと迎える年越しがおすすめというルームメイトさんの進言に従い、街中に乗り込むことにしました。
タクシーに乗れば意外と道は混んでおらず、歩道を歩く人を横目に、市政府駅まで乗りつけることができました。
テレビ局の中継車もやってきています。(女子アナさん、きれいだったな~!)
あと2時間!
歩行者に開放された道を埋める、人、人、人…ただ押し合いへし合いするわけでもなく、座り込んで和やかにその時を待ちます。
昨日までの寒さはだいぶ和らぎ、凍えずに済むのはありがたいこと。地面に寝ころび待つ人もいました。
通りから1段上がった位置にある市政府の公開緑地が、通りから目に付かないようで意外な穴場。2時間前というやや出遅れた時間だったにも関わらず、特等席をゲットしました。
1時間前、日本はすでに新年を迎えた時間です。大勢のカメラマンたちと共に、その時を待ちます。
テレビ局のイベントステージに行けば次第にボルテージが上がって行ったのでしょうけど、やや遠巻きに眺めていた僕らにとっては、唐突にカウントダウンがスタート。ビルのてっぺんの数字が「3、2、1…」となった瞬間…
なんじゃこりゃ! 想像していたよりも、何倍ものスケール感の「横向き打ち上げ」花火です。派手なだけでなく、ビルの外周を螺旋状に打ち上げたり、ビルの電飾と組み合わせたりと、芸術的です。
YouTubeにアップされている、他の方が撮影された動画です。あの時の興奮を、今も思い出します。
『HAPPY NEW YEAR 快楽 台北101 敬祝 新年』。ビルに現れるメッセージに、周りの台湾の人々とともに新年を迎えた喜びを共にして、4分間の一大エンターテイメントは幕を閉じました。
台北101に隣接して高層ビルが立つ計画があり、来年以降は開催するにしても、規模の縮小は避けられないと言われているカウントダウン花火。しかし隣接のビルと協力して、今以上の花火を演出することも不可能ではないはずです。きっと、また来ます!
残煙を流しつつ、美しく輝く台北101。
一斉に、帰路につく人々。しかし焦った雰囲気はなく、時々101をバックに写真を撮りつつ、イベントの余韻を楽しんでいる雰囲気でした。押す人も、騒ぐ若者もおらず、警備にあたる警察官の姿すらほとんど見られません。
いつもはきれいな街ですが、さすがにこの日は路上に多くのゴミが残されていました。ゴミを集めるのは、黄色いベストを来た高校生たち。深夜にボランティアさせていいの!?と思いますが、危険はないのでしょう。新年早々、とても気持ち良くなる光景でした。
北側の永吉路まで出れば、タクシーの空車が群がっていました。1台目は「1人200NT!」もふっかけられましたが、2台目で親切なタクシーにあたり、定価の180NTで台北駅へ。ドミに戻った時間は1時前、想像よりはるかにスムーズでした。
部屋に戻ると、シャワーの音。湯上りにビルの中から見たの?と聞いてみたら、真下まで行って、市政府駅からMRTで帰ってきたとのこと。終了後すぐに駅に向かったら、2本待って乗れたとのことです。
大混雑でかなり待つと聞いていたMRTですが、信義線開通のおかげもあり、だいぶスムーズになったようでした。翌日のニュースでは、名物の誘導員が今年は「倍返しだ!」をパロって誘導している姿が流れており、和やかに大輸送作戦が行われたようです。
今年は116万人の人出だったというカウントダウンですが、少ない警備でスムーズに終わり、驚愕という他ありません。花火そのものもきれいでしたが、台湾の人々の高き「民度」を見られたことも、大きな思い出になりました。
年明けの興奮で早寝するのもなんだか惜しく、部屋では2時頃まで盛り上がってしまいました。2014年の幕開けとともに、僕の旅も第2幕へと移ります。