JR九州・平成23年春のダイヤ改定で、全体的に充実した特急網のダイヤ。一方、地域の足である快速・普通列車については、福岡都市圏で増量ダイヤとなる一方で減便のニュースも多く、くっきり明暗の分かれた姿になりました。
新博多駅ビル「JR博多シティ」の集客につながるダイヤを指向しつつ、車両総数を増やさない苦心の跡がうかがえる!?ダイヤと言えそうです。別項でお伝えした久留米周辺以外の快速・普通列車のダイヤについて、気になった点をピックアップしました。
通勤時間帯の輸送力アップ、今回は博多以南で
2年前のダイヤ改定で、通勤時間帯の輸送力アップが実現した、鹿児島本線の博多以北。今回は博多駅から南の区間で増結を実施。3本の列車で増結が実施され、輸送力が5%アップします。
2年前まで竹下~笹原駅間に住んでいて、通勤でもお世話になっていた鹿児島本線ですが、この時間の電車は混雑していました。座れないとしても、毎日の「痛勤」は少し緩和されそうです。
福間~二日市間、データイムに快速・普通7本/1h運行
JR博多シティへの買い物客をターゲットに、鹿児島本線ではデータイムの普通電車を増発。福間~二日市間では、普通電車4本、快速電車3本の陣容になります。ただし、これと引き換えに、赤間始発の博多方面行きの電車は、福間始発に短縮。赤間起点では1時間5本運行へ減量されます。
この他、買い物客の増加を見込んで、土休日のデータイムに周辺から博多へ向かう列車が増えます。
福北快速は1時間2本に、北九州市内の列車本数も減少
データイムの、福北ゆたか線から門司港に乗り入れる直通電車を、黒崎までに短縮。引き換えに現在、赤間~折尾間を各駅停車で走っている準快速の各停区間が、福間~小倉までに拡大され、「福間まで快速」として運行されます。また小倉~門司港間の列車も、1時間に1本減少します。
この結果、北九州市内の門司港~黒崎間では、普通のみ停車の駅では現状維持。快速停車駅では1本減便という、減量のダイヤ改悪になります。北九州市内の鉄道需要も旺盛な印象なのですが、博多周辺の増発のため、車両を回す必要が生じたのかもしれません。
福北間の快速2本/1h化はかなり大きな姿勢の変化で、博多シフト・特急シフトを明確に映したダイヤになりました。
大分都市圏の普通列車も減便へ
「大分4方面作戦」と称し、増発や終電延長など積極的な取り組みが続いていた大分都市圏ですが、今回、日豊本線南北、豊肥本線、久大本線と4方面すべてで「運転本数の見直し」が実施されます。
豊肥本線の熊本口では、特急「有明」廃止と引き換えに快速電車が走ることになっており、この車両を捻出するための削減か!?という見方もできそうです。
普通電車が1時間に1本となる、鹿児島本線荒木~熊本間を始め、なかなか厳しい内容も含まれるダイヤ改定。九州ではしばしば問題になる、福岡への一極集中を体言したダイヤといえそうです。