マタタビ 薬効ある果実

登米市津山町北東部、黄牛川上流の車道脇に車を止め、そこから分岐して山へ
上がっていく林道を、半年振りに歩いてみました。

林道の山側法面から枝垂れるマタタビの蔓には、かなりの実が生っていました。
今の季節でも実が残っているということは、この地域ではマタタビの実の塩漬けとか、
果実酒をつくる習慣が無いのでしょうね。
福島県の会津地方とか新潟県ではとても人気のある果実で、各家庭で塩漬けを
つくっておかずにしたり、酒の肴にしたりと楽しんでいましたから、道路沿いに
マタタビの蔓があっても、その実は摘み取られているのが常でした。




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二枚とも2016.8.14撮影

マタタビの果実には２種類あって、１つは正常に結実した長楕円体のものです。
二番目の写真の果実ですね。もう１つは虫癭果(ちゅうえいか)と呼ばれるもので、果実と
いうよりも虫こぶなんですが、花の時期に「マタタビアブラムシ」が寄生したために子房
にあたる部分がふくれ、一番目の写真のように不整形な扁球となったものです。
割合としては正常果が２割で、虫癭果が８割と言ったところでしょうか。

この虫癭果を木天蓼(もくてんりょう)、正常果を木天実と呼んで共に生薬として
用いられます。 有効成分はマタタビ酸、マタタビラクトン、アクチニジン、ポリガモール
などで、体を温めて血行を良くし、強心、利尿などの効き目があるとされます。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2016.8.14撮影

マタタビ科マタタビ属の落葉つる性木本で、北海道～九州に分布する。
丘陵から山地の林縁や、沢筋などの半日陰を好んで自生し、 雌雄異株。
つるの樹皮は紫黒色で、楕円形や線状の皮目が入る。
若枝は蔓状に長く伸びて樹木等に絡み付き、５～10mの高さまで登る。
葉は互生し、葉身は広卵形で長さ６～15cm、幅3.5～８cm。先端は鋭く尖り、
基部は円形～切形で、葉柄は２～７cm。縁には刺状の小さな鋸歯がある。
初夏から夏にかけて、枝の上部に付く葉は表面が白色になる。
花期は４～５月で、本年枝の中部付近の葉腋に、白色の５弁花を下向きに付ける。
雄株は集散花序を出して、直径２～2.5cmの雄花が１～３個付き、雌株には同形の
両性花が１個付く。花弁は広楕円形で長さ１～1.2cm。
雄しべは多数で、葯は黄色。萼片は５個。
両性花の花柱は線形で多数あり、放射状に開出する。
果実は液果、長楕円体で長さ２～2.5cm、先端はくちばし状に細くなり、10月に橙黄色
に熟す。中には長さ1.5mmほどの種子が多数入っている。